21/01/11
年金手帳、2022年4月から廃止! 今後は年金手帳の代わりはどうなる?
国民年金の加入者が持っている年金手帳ですが、これが2022年(令和4年)4月以降は廃止されることが決定しました。大切に持っていなければいけないものとされてきた年金手帳は、今になってなぜ廃止されることになったのでしょうか?
そこで今回は、年金手帳の役割を振り返りながら、年金手帳廃止になる理由と今後の動向について解説します。
年金手帳の役割って何?
20歳になると誰もが国民年金の被保険者となり、役所から国民年金資格取得届が郵送されてきます。それに必要事項を記入して返送すると、後日、年金手帳が送られてきます。こうして20歳以上の人は年金手帳を手にすることになるのです。
年金手帳は年金制度の移り変わりを反映しています。国民年金制度が創設された昭和35年10月から昭和49年10月までに国民年金の資格を得た人は茶色や水色、薄橙色の国民年金手帳を持っていました。
昭和49年11月から平成8年12月までに資格を得た人はオレンジ色の年金手帳を持っています。この頃は、国民年金と厚生年金は別の記号番号が付けられていましたが、平成9年1月には国民年金と厚生年金の記号番号が一本化されて、新たに1人ひとりが「基礎年金番号」を持つようになりました。
このタイミングで年金手帳も新しくなり、平成9年1月以降に国民年金の資格を得た人は青色の年金手帳を持っています。
では、昭和35年10月から現在に至るまで交付されてきた年金手帳には、どんな役割があるのでしょうか?
年金手帳には、
・基礎年金番号の本人への通知
(平成8年12月までは国民年金・厚生年金の記号番号の本人への通知)
・国民年金の種別の記録(第1号・第3号)
・厚生年金保険の加入・脱退の記録
といった役割があります。
会社を退職したときや、結婚して名字や住所が変わったときは役所へ届け出ますが、その際、年金手帳にも国民年金の種別や名前の変更が記録されます。
ただ、あるものの登場で年金手帳がその役割を終えようとしています。
それは、平成27年10月から交付されている「マイナンバー(個人番号)」です。
情報の一元化で廃止される年金手帳
平成27年10月から、1人ひとりにマイナンバー(個人番号)が交付されています。このマイナンバーとは、社会保障、税、災害対策の分野で、個人を迅速に特定して個人情報を確認するために利用されるものです。マイナンバーによって行政手続きが簡素化し、役所での行政手続が効率的に行えるようになりました。
個人でも、マイナンバーと紐づけされたポータルサイト「マイナポータル」によって、行政手続の検索やオンライン申請ができたり、税情報や世帯情報、予防接種の履歴などが確認できたりするようになっています。こうして、マイナンバーによって、個人情報がシステム管理されるようになったのです。
これまでは、年金制度などの行政手続に年金手帳に記載してある基礎年金番号が必要でした。しかし、マイナンバーが導入されたことで、今では年金手帳の必要性がなくなってしまったのです。
そこで、令和2年6月5日に、「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律」が公布されました。その中で、令和4年4月以降は年金手帳が廃止されることが決まったのです。
今後、年金手帳はどうなるの?
現在の年金制度が持つ機能を強化させるための一環として、2022年(令和4年)4月から年金手帳がなくなるのですが、何かその代わりとなるものは出てくるのでしょうか?
2022年4月以降に国民年金の第1号および第3号被保険者になる人は、年金手帳が交付されなくなります。その代わりに、1人ひとりへ「基礎年金番号通知書」が送られてくるようになります。
では、すでに年金手帳を持っている人はどうなるのでしょうか?
新しい年金制度への移行に向けた経過措置として、現在持っている年金手帳は、基礎年金番号を明らかにする書類が必要になったときに、そのまま利用できます。ただし、年金手帳を失くした場合は、再交付されないことになっています。
厚生労働省によると、年金手帳に代わる基礎年金番号通知書は、新しい年金制度の象徴となるようなシンボリックなものになるようです。
また、政府は2022年にはマイナンバーカードを全世帯に普及させることを目指しています。年金手帳が廃止になった後は、どんなときに基礎年金番号通知書が必要になるのか、あるいはマイナンバーカードがあれば基礎年金番号通知書を使わなくてもすべての行政手続が完了するのかは、現時点では未定ですが、今後明らかになるでしょう。
2022年4月以降の基礎年金番号通知書の動向を見守りたいものです。
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前佛 朋子 ファイナンシャル・プランナー(CFP®)・1級ファイナンシャル・プランニング技能士
2006年よりライターとして活動。節約関連のメルマガ執筆を担当した際、お金の使い方を整える大切さに気付き、ファイナンシャル・プランナーとなる。マネー関連記事を執筆するかたわら、不安を安心に変えるサポートを行うため、家計見直し、お金の整理、ライフプラン、遠距離介護などの相談を受けている。
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