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25/01/09

相続・税金・年金

年収1000万円「会社員」と「フリーランス」、負担する税金・社会保険料は全然違う

年収1000万円「会社員」と「フリーランス」、負担する税金・社会保険料は全然違う

年収が同じ1000万円であっても、会社員とフリーランスでは年金の種類や利用できる控除が一部異なります。では、手取りを比較するとどれくらい違いがあるのでしょうか?手取り額を左右する税金や社会保険料などの違いを確認し、会社員とフリーランスの手取りの違いを試算してみます。

会社員の手取り額はいくら?

まずは基礎知識として、「年収」と「手取り」の違いについて見ておきましょう。
年収とは、税金、社会保険料などが差し引かれる前の年間の総支給額のことです。そして、年収から必要経費や税金、社会保険料などを差し引いた額が手取りになります。会社員は源泉徴収票を見れば年収と手取りを確認することができます。

手取り額を計算する際、差し引くものの中に必要経費がありますね。自営業者は事業を行うのにいくらかの経費がかかるものですが、会社員でも経費に相当するものがあります。それは「給与所得控除」です。年収1000万円の人の場合、給与所得控除は195万円。年収から給与所得控除を引いた税込年収は805万円となり、ここから社会保険料や所得控除などを差し引いて課税所得を求めます。これに税率を掛けることで、所得税と住民税が決まるのです。

では、会社員の手取りを試算してみましょう。

【設定内容】

年収1000万円の会社員(年齢38歳・配偶者なし・扶養家族なし)
月収:62万5000円×12ヶ月=750万円
賞与:2ヶ月分を6月と12月の2回 125万円×2回=250万円
収入合計1000万円
※給与所得控除、基礎控除、社会保険料控除のみ考慮して試算。

・給与所得控除:195万円
・基礎控除:48万円(住民税の場合は43万円)
・健康保険料:49万8004円
・厚生年金保険料:90万9510円
・雇用保険料:6万円
・所得税(復興特別所得税):80万9600円
・住民税:62万200円

注)上記は「全国健康保険協会」に加入している人として試算しています。
健康保険料は勤務先の企業が加入する健康保険組合により異なります。

※出典:全国健康保険協会 令和6年度保険料額表(令和6年3月分から)東京都の場合

会社員の手取りは、年収から社会保険料(健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料、40歳以上の人は介護保険料も)と所得税、住民税を差し引いて求めます。

●上記の設定内容から算出した手取り額

1000万円-(49万8004円+90万9510円+6万円+80万9600円+62万200円)=710万2686円

年収1000万円の会社員の手取りは【710万2686円】と試算できました。

自営業の手取り額は経費で変わる

では、年収1000万円のフリーランスの場合、手取りはどのくらいになるのでしょうか?

フリーランスの場合、年収1000万円から経費を差し引き、社会保険料(国民年金保険料、国民健康保険保険料)や基礎控除、青色申告特別控除(青色申告を申請している人の場合)などの所得控除を差し引いて課税所得を算出。これに税率を掛けて所得税と住民税を求めます。フリーランスに認められている経費は上限額が設定されているわけではないため、経費の額によって国民健康保険料や所得税、住民税の額が変わってきます。

ではここで、経費の違いによってどのくらい手取りが変わるのかを見てみましょう。

●経費が0円の場合

仮に、経費が0円だったとしたら、手取りは次のようになります。

<設定内容>

年収(年間の売上)が1000万円のフリーランス(年齢38歳・配偶者なし・扶養家族なし)
1年間にかかった経費を0円と想定。
※青色申告特別控除、基礎控除、社会保険料控除のみ考慮して試算。

・青色申告特別控除:55万円
・基礎控除:48万円(住民税の場合は43万円)
・国民健康保険料:89万円
・国民年金保険料:20万3760円(令和6年度の国民年金保険料は1ヶ月あたり1万6980円)
・所得税(復興特別所得税):120万200円
・住民税:79万7600円

注)国民健康保険料は東京都世田谷区の計算方法を参照。

フリーランスの手取り額は、経費を差し引いた税込年収から社会保険料(国民健康保険料、国民年金保険料、40歳以上の人は介護保険料も)と所得税、住民税を差し引いて求めます。

●上記の設定内容から算出した手取り額

1000万円-(89万円+20万3760円+120万200円+79万7600円)=690万8440円

年収1000万円(経費は0円)の自営業の手取りは【690万8440円】と試算できました。

●経費が100万円の場合

もっとも、事業を行うのに経費が0円ということはまずありえないでしょう。仮に、経費が100万円かかった場合、手取りは次のように変わります。

<設定内容>

年収(年間の売上)が1000万円のフリーランス(年齢38歳・配偶者なし・扶養家族なし)
1年間にかかった経費を100万円と想定。
※青色申告特別控除、基礎控除、社会 保険料控除のみ考慮して試算。

・青色申告特別控除:55万円
・基礎控除:48万円(住民税の場合は43万円)
・国民健康保険料:89万円
・国民年金保険料:20万3760円
・所得税(復興特別所得税):96万7600円
・住民税:69万7600円

注)国民健康保険料は東京都世田谷区の計算方法を参照。

●上記の設定内容から算出した手取り額

1000万円-100万円-(89万円+20万3760円+96万7600円+69万7600円)=624万1040円

年収1000万円(経費は100万円)のフリーランスの手取りは【624万1040円】と試算できました。経費をかけているので、会社員や経費0円の自営業者よりも手取りが少なくなりました。

フリーランスは会社員よりも手取りが減ってしまうのはなぜ?

年収は同じ1000万円でも、会社員とフリーランスでは手取りが異なることがわかりました。その理由の1つは、フリーランスは経費をかけた分、手取りが減ってしまうことです。しかし、理由はこれだけではありません。会社員はフリーランスと比べると、負担する健康保険料や税金の金額が少ないのです。

<手取り額と保険料・税額の比較まとめ>

筆者作成

社会保険料や所得税などに差が生じてしまうのは、会社員ならではの理由があります。それは、会社員の収入から差し引ける給与所得控除の額がフリーランスの青色申告特別控除の額よりも大きいことです。

会社員とフリーランスが利用できる控除のうち、控除額に差が生じているものが給与所得控除と青色申告特別控除です。年収1000万円の会社員は給与所得控除として195万円を差し引くことができます。しかし、フリーランスが差し引ける控除額は、青色申告者に認められている青色申告特別控除の55万円です。e-Taxで確定申告をした場合には65万円に増額できますが、それでも給与所得控除の額には及びません。
このように収入から差し引ける控除額に差があり、それが所得税や住民税の計算にも影響するため、会社員とフリーランスの手取りに差が生じるのです。

自営業者でも手取りを増やす方法

会社員よりも手取りが少ないフリーランスでも、手取りを増やせる方法があります。それは、「所得控除」を活用することです。

所得控除は、所得(年収から経費分を引いた額)の合計金額から差し引くことができるもののこと。使える控除が多いほど、所得税を減らすことができます。所得控除には、基礎控除・社会 保険料控除・配偶者控除・配偶者特別控除・扶養控除・医療費控除・寄附金控除・生命保険料控除・地震保険料控除・障碍者控除・勤労学生控除・寡婦控除・ひとり親控除・小規模企業共済等掛金控除・雑損控除の15種類あります。

所得控除で課税所得を減らすことができれば、所得税、住民税を抑えることができるので、結果として手取りを増やせるようになるのです。このなかで、ぜひ使っていただきたい所得控除は、以下のとおりです。

●医療費控除

年間の医療費が一定額(原則10万円)を超えた場合、その超えた分が所得控除となる。

●セルフメディケーション税制

市販のスイッチOTC医薬品を年間1万2000円以上購入した場合、その超えた分が所得控除となる。

●生命保険料控除

生命保険料や介護医療保険料、個人年金保険料を支払った場合、その金額に応じて一定金額が所得控除となる。

●寄附金控除

ふるさと納税をすると、寄附額から2000円を差し引いた分が所得控除となる。

●小規模企業共済等控除

1)老後資金づくりができるiDeCoに加入すると、掛金全額が所得控除となる。
2)小規模事業者や個人事業主の退職金制度である小規模企業共済に加入すると、掛金全額が所得控除となる

●社会保険料控除

自営業者は老齢年金を補てんするために国民年金基金に加入すると、その掛金全額が所得控除となる。

フリーランスには会社員にはないメリットがある

年収1000万円の会社員とフリーランスを比較すると、フリーランスは会社員よりも手取り額が少なくなることがわかりました。しかし、フリーランスには会社員にはないメリットがあります。

●経費によって節税しやすい

フリーランスは会社員よりも経費の計上によって節税しやすいのがメリットです。
会社員にはフリーランスの経費にあたるものに給与所得控除と特定支出控除があります。給与所得控除は年収に応じた一定額と決まっているので、自由に増やすことはできません。また、特定支出控除は要件が厳しいので気軽に使えるものではありません。

その点、フリーランスは業務を行ううえで支払った費用を経費として計上できます。業務で使うパソコンやソフト、インターネット接続料、書籍や業務に関することを学ぶ研修費用、交通費など、経費として計上できるものは多岐にわたります。また、自宅を事務所として使う場合、家賃や光熱費も家事按分して一部を経費として計上することも可能です。

このように、フリーランスは計上した経費分を売上から控除できるので、課税所得を減らし、節税につなげることができます。会社員は個人として経費を計上しにくいため、経費はフリーランスにとって活用すべきメリットと考えてもよいでしょう。

●働く時間を自分で決められる

フリーランスは働く時間を自由に決めることができます。会社員はたとえば9時から5時半までというように就業時間が決められています。しかし、フリーランスは会社員のように就業時間に縛られることはありません。自分がもっとも集中して仕事ができる時間に働くことができます。

また、働く時間を自分や家族の都合に合わせて決められ、休日も好きな日を選ぶことができるので、柔軟に働くことができます。フリーランスは会社員と比べると自由度が高く、ワークライフバランス(仕事を生活の調和を図り、どちらも充実している働き方のこと)を取りやすい働き方といえるでしょう。

●働く場所を自由に決められる

フリーランスは働く場所も自由に決められます。仕事を請け負う会社の事務所へ出向かなくてもリモートワークで作業できる仕事であれば、在宅はもちろんのこと、近所のカフェなど快適に仕事ができる環境を自由に選べます。また、最近注目されている、余暇を楽しみながら仕事をするワーケーションを導入することも可能です。フリーランスは旅を楽しみつつ、宿泊先などで仕事もできる柔軟性がメリットといえます。

●自分次第で年収を増やせる

フリーランスは自分次第で年収を増やすことができます。専門的知識を身に付け、それを仕事で発揮し、品質の良い成果物を納品し続けることで信頼を得られれば、高単価の仕事を受注できる可能性が増えます。また、仕事を継続的に任されるようになれば、収入アップも見込まれます。フリーランスはスキルを磨き経験を積み上げることで、会社員よりも年収を増やしすいといえるでしょう。

●仕事内容を自由に選べる

フリーランスは自分のやりたい仕事を自由に選べます。会社員は組織の仕事や上司の指示に従って働かなければなりません。その点、フリーランスは自分の得意分野を生かした仕事を選べます。また、スキルや実績があり、経験が豊富な内容であれば、仕事での希望条件を通しやすくなるでしょう。

とはいえ、仕事を選り好みするのではなく、専門的知識を生かせる仕事内容であれば、積極的にチャレンジするとよいでしょう。こうして仕事の選択肢を広げていくことで、実績を積み上げることができます。また、常に品質の良い成果物を仕上げて納品することで信頼を得ることができ、それが収入にも繋がっていくでしょう。

利用できる所得控除をチェック

年収1000万円でも、会社員とフリーランスでは手取り額が異なることがわかりました。フリーランスは事業を行う上でどうしても経費がかかってくるため、その分手取りが少なくなってしまいます。けれども、所得控除を活用すれば、手取りを増やすことも可能です。また、会社員でも利用可能な所得控除を活用すれば、さらに手取り額を増やすことも可能です。利用できそうな所得控除をチェックして、ぜひ活用してみましょう。

前佛 朋子 ファイナンシャル・プランナー(CFP®)・1級ファイナンシャル・プランニング技能士

2006年よりライターとして活動。節約関連のメルマガ執筆を担当した際、お金の使い方を整える大切さに気付き、ファイナンシャル・プランナーとなる。マネー関連記事を執筆するかたわら、不安を安心に変えるサポートを行うため、家計見直し、お金の整理、ライフプラン、遠距離介護などの相談を受けている。

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