23/03/11
住民税非課税世帯はどんな世帯?給付金がもらえない場合もある
長引く新型コロナウイルスの影響拡大や物価高に対する支援などで、給付金が支給されることがあります。この給付金の対象としてよく挙げられるのが、住民税非課税世帯です。本記事では、住民税非課税世帯とはどんな世帯なのか、住民税非課税世帯が受けられる優遇措置にはどのようなものがあるか、そして給付金がもらえない場合があることを紹介します。
住民税非課税世帯とはどんな世帯なのか
住民税は、収入のある人が納めなければならない税金ですが、一定の収入以下の人には住民税がかかりません(税金がかからないことを「非課税」といいます)。
世帯全員が住民税を課税されていない世帯を「住民税非課税世帯」といいます。世帯とは同居・別居に関わらず同一の生計を営んでいる家族ごとの単位のことです。同じところに住んでいても、生計を別にしている場合は別世帯として扱われます。一人暮らしでも、独立した生計を営んでいれば一つの世帯(単独世帯)となります。
なお、住民税には所得割と均等割の2つがあり、住民税非課税世帯に該当するためには、所得割と均等割のどちらも非課税でなければいけません。また、世帯のうち1人でも住民税の課税者がいれば、住民税非課税世帯とはなりません。
住民税非課税世帯のメリット
住民税非課税世帯の人は基本的に収入が少なく、生活していくには厳しい面があります。そのため、補助や給付金が受けられるなど、住民税非課税世帯にはさまざまな優遇措置が設けられています。自治体ごとに詳細は異なりますが、住民税非課税世帯に対する優遇措置には、以下のようなものがあります。
●給付金の支給対象になる
たとえば2021年・2022年には、新型コロナウイルスの影響が長期化したことにより、住⺠税⾮課税世帯などに対して、1世帯あたり10万円の臨時特別給付金が支給されました。
また、2022年には、最近の電力・ガス・食料品などの価格高騰に対する支援として、住民税非課税世帯などを対象に現金5万円が支給されました。
これら以外にも、各自治体が支給する給付金の対象となることがあります。
●国民年金や国民健康保険料負担の軽減
住民税非課税世帯の人は、国民年金や国民健康保険料の負担が通常より軽くなるように設定されています。
●高額な医療費(高額療養費)の自己負担限度額の軽減
1ヶ月に支払った医療費が高額になった場合、一定の金額(自己負担限度額)を超えた分はあとで払い戻される「高額療養費制度」という仕組みがあります。住民税非課税世帯は、1か月の医療費自己負担の上限が低く設定されています。
●介護保険料負担の軽減
介護保険料の額は、年金のほか給料や事業による所得などの収入に応じて、段階的に設定されています。住民税非課税世帯の介護保険料は、最も低い水準に抑えられているため負担が軽減されます。
●0歳から2歳児の保育料免除
2019年10月に幼児教育の無償化が開始され、幼稚園、保育所、認定こども園などを利用する3歳から5歳までの全ての子どもたちの利用料が無償化されました。住民税非課税世帯に限り、0歳から2歳児の利用料も無料になります。
住民税非課税世帯でも給付金がもらえない場合がある
住民税非課税世帯が対象であっても、条件によっては給付金をもらえない場合があります。
とくに、家族や親族から扶養を受けている場合は注意が必要です。扶養とは、自身の収入だけでは生計を立てられない家族や親族に対して、経済的な援助をすることを指します。
世帯全員が住民税非課税であっても、扶養する別生計の親族が住民税課税者である場合には給付金を支給しないと定めているケースがあります。
上で紹介した臨時特別給付金の場合、「住民税が課税されている方の扶養親族等のみからなる世帯を除く」という規定があります。
たとえば、年金生活者で住民税が非課税となっている両親が、別世帯である息子や娘(住民税課税者)から仕送りを受けているとします。このとき、息子や娘がこの両親を扶養親族として申告していると、両親は給付金がもらえません。
反対に、大学生(住民税非課税)などで親元を離れて生活しており、親(住民税課税者)に扶養されている場合も、大学生は給付金がもらえません。
「もらえると思った給付金がもらえなかった」ということのないよう、確認が必要です。
まとめ
住民税非課税世帯に該当すると、住民税が非課税となる以外にも、さまざまな優遇措置を受けることができます。今回ご紹介した優遇措置以外にも、独自の優遇措置を設けている自治体もあります。これらの優遇措置を受けるためには、あらかじめ申請が必要なケースもあります。給付金によっても支給の対象者や条件が異なります。詳細はお住まいの自治体の窓口やホームページなどで確認してみましょう。
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目黒 桂 ファイナンシャルプランナー
税理士事務所勤務後、企業にて経理・経営企画業務に従事。その後、出版社に転職し雑誌編集に携わる。金融・税務関連の執筆を中心に雑誌やWEB媒体でも活動中。
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