24/09/17
スポーツジムで医療費控除が受けられるための3つの条件
「健康を考えてスポーツジムに通いたいけれど、毎月の利用料が気になる」という方も多いでしょう。しかし、ある「3つの条件」を満たせば、スポーツジムの利用料が医療費控除の対象になり、お得に利用できます。
この記事では、医療費控除を受けるための条件やお得になる金額の目安についてご紹介します。
スポーツジム代で医療費控除を受けるための3つの条件
医療費控除は、自分や家族が1年間に支払った医療費が一定額以上になったときに受けられる所得控除のひとつです。所得控除を受けることで、所得税や住民税が安くなります。しかし、病気の予防や健康増進のための費用は原則として医療費控除の対象外。健康のために通うスポーツジム代も、本来は医療費控除の対象外です。
しかし、次の3条件を満たしていれば、スポーツジム代も医療費控除の対象になります。
●スポーツジム代で医療費控除を受ける条件1:厚労省の指定施設を使う
スポーツジム代で医療費控除を受けるには、「運動療法を行うに適した施設」として厚生労働省から指定された「指定運動療法施設」を使う必要があります。
指定運動療法施設は、2022年7月時点で、全国で219施設あります。
「指定運動療法施設」は、厚生労働省のウェブサイト内にある「運動型健康増進施設(認定施設一覧)」から調べられます。
スポーツジムならどの施設でもいいというわけではありません。利用しようと思う施設が「指定運動療法施設」に該当するかどうか、事前に必ず確認をしましょう。
●スポーツジム代で医療費控除を受ける条件2:処方箋をもらう
スポーツジム代で医療費控除を受けるには、「運動療法処方箋」という、医師による処方箋が必要です。たとえば、高血圧症、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病であり、その治療のため、医師の指導のもと、「運動療法処方箋」に基づいて運動を実施していることが条件となります。
生活習慣病でない人や、健康のために自発的にスポーツジムを利用する場合は、医療費控除を利用できないので注意しましょう。
●スポーツジム代で医療費控除を受ける条件3:週1回以上8週間以上通う
さらに、スポーツジム代で医療費控除を受けるには、施設での運動を「週1回以上の頻度」で「8週間以上にわたって継続」して行うことが必要です。生活習慣病などの予防・改善には適度な運動習慣が効果的とされており、運動の習慣化が求められているのです。
対象のスポーツジムに週1回通えない場合は医療費控除を受けられません。定期的に継続して通いましょう。
医療費控除を申請するには確定申告が必要
医療費控除は、1年間(1月1日から12月31日まで)にかかった医療費が10万円(総所得金額等が200万円未満の場合は総所得の5%)を超えた場合に、かかった医療費の一部が戻ってくる制度です。
上の3つの条件を満たすことでスポーツジムの施設利用料が医療費控除の対象となります。しかし、医療費控除の適用を受けるためには確定申告をする必要があります。年末調整では医療費控除の申請はできないので注意しましょう。
スポーツジムの利用料を医療費控除として申請する場合、確定申告時に「医療費控除の明細書」のほか、「運動施設の利用料金領収書」と「運動療法実施証明書」も提出します。なお、「運動療法実施証明書」には、運動療法処方箋を作成した医師による実施証明書の「確認書」も必要ですので、医師に作ってもらうようにしましょう。
医療費控除でいくら税金がお得になるのか
では、医療費控除でいくら税金がお得になるのでしょうか。
医療費控除は、次の計算式で求めます。
医療費控除の額=( 1年間に支払った医療費の総額−保険金などで補てんされる金額)−10万円
たとえば、月額1万5000円のスポーツジムに12ヶ月通った場合
医療費控除の額:((1万5000円×12ヶ月)−10万円= 8万円
となり、所得が8万円減らせます。
所得税の税率は所得によって異なります。たとえば、所得税率が5%の場合、所得税は8万円×5%=4,000円減ります。確定申告することで、払い過ぎになっている所得税が還付されます。また、住民税率は10%ですので、住民税は8万円×10%=8,000円減ります。住民税は、翌年度の分が減額されます。
つまり、合わせて1万2000円節税できてお得になります。
結論:3つの条件クリアでスポーツジムは医療費控除の対象になる
「スポーツジムは医療費控除の対象外」ではありません。条件を満たせばスポーツジム代も医療費控除が受けられることを紹介しました。2022年4月から対象施設となる要件が緩和されたため、現在220程度しかない指定施設が増え、今後さらに活用しやすくなることも期待できます。条件にあてはまるのであれば、制度を上手に利用して健康と節税を目指しましょう。
【関連記事もチェック】
・退職後にやってくる「3つの支払い」、放置で起こり得る緊急事態
・金持ち夫婦が貧乏夫婦に陥る、払ってはいけない5つのお金
・定年後、給与が減っても働き続けた方がいい5つの理由
・「10月の給与が減った」と驚いた人が確認すべき給与明細の項目
・平均年収436万円の人が受け取れる年金額はいくらなのか
目黒 桂 ファイナンシャルプランナー
税理士事務所勤務後、企業にて経理・経営企画業務に従事。その後、出版社に転職し雑誌編集に携わる。金融・税務関連の執筆を中心に雑誌やWEB媒体でも活動中。
この記事が気に入ったら
いいね!しよう