25/10/07
公務員の年収が高い都道府県・市区町村ベスト10はどこ?

公務員は基本的に倒産という概念がなく、行政サービスに携わることで市民の生活を支えるやりがいのある仕事という意味でも、就職先として根強い人気があります。しかし、一口に公務員といっても、どこの自治体で働くかによって年収がかなり異なるのも事実です。そこで今回は、公務員の年収が高い都道府県・市区町村ベスト10を調べてみました。
公務員の年収が高い都道府県ベスト10
まず、公務員の年収が高い都道府県ベスト10は以下のとおりです。年収は一般行政職の「(平均給与月額×12)+平均賞与額」の合計で算出しています。また、平均賞与額は「期末手当」と「勤勉手当」の合計。一般企業と違い、公務員の賞与は法律や条例で支給することが定められています。
<公務員の年収が高い都道府県ベスト10>

総務省「令和6年地方公務員給与実態調査」より筆者作成
トップは東京都で、平均給与月額も平均賞与額も頭ひとつ出ている印象です。以下、神奈川県、静岡県、愛知県、大阪府と続きます。公務員の給与は年功序列で、長く勤めるほど上がるため、平均年齢が高い自治体のほうが高くなりやすいことには注意が必要です。
公務員の年収が高い市区町村ベスト10
次に、公務員の年収が高い市区町村ベスト10を見てみましょう。
<公務員の年収が高い市区町村ベスト10>

総務省「令和6年地方公務員給与実態調査」より筆者作成
トップは神奈川県厚木市で745万円。2位以下には東京都の市部や兵庫県が目立ちます。このランキングには東京23区が含まれているのですが、意外にもトップ10には入りませんでした。なお、このランキングには政令指定都市が含まれていません。
公務員の年収が高い政令指定都市ベスト10
公務員の年収が高い政令指定都市ベスト10は、次のようになっています。
<公務員の年収が高い政令指定都市ベスト10>

総務省「令和6年地方公務員給与実態調査」より筆者作成
政令指定都市のトップは川崎市で747万円。市区町村のトップ、厚木市の745万円より多いので、川崎市が「もっとも公務員の年収が高い自治体」といえるかもしれません。
なお、ここまで紹介したデータはあくまで平均です。人物・地域・各種手当などの違いにより実際の金額とは差があることはご了承ください。
年収が高い都道府県や市区町村の特徴は?
ここまでのデータを見ていると、年収が高い都道府県や市区町村の特徴がいくつか浮かび上がってきます。
まず、人口が多い都道府県や市区町村であれば、比例して公務員の年収も高くなるということです。たとえば東京都の人口は、2025年8月時点で1,426万8,182人にも達しています。一方、年収が最も低かった青森県の人口は2025年4月現在で117万5,964人であり、東京都の10分の1にも達していません。人口が多いほど、税収も高くなるため、結果として公務員の年収が高くなることは十分に考えられます。
また、物価の高い地域であれば、生活費もかかることから、公務員の年収も高くなることが考えられます。総務省「消費者物価地域差指数-小売物価統計調査(構造編)2024年(令和6年)結果-」によれば、消費者物価地域差指数(全国の平均物価を100とした場合のその地域の物価の割合)が最も高い水準にあったのは東京都区部(104.9)、川崎市(104.2)、横浜市(104.0)及び相模原市(102.3)などの自治体でした。東京都区部除く自治体はすべて「公務員の年収が高い政令指定都市ベスト10」にランクインしています。
その地域独自の理由で公務員の給与が高いこともある
富裕層が多く住む自治体も、それだけ税収が上がることから、公務員の給与が高くなる可能性は十分にあるはずです。たとえば、「公務員の年収が高い市区町村ベスト10」で10位にランクインした兵庫県芦屋市は日本でも有数の高級住宅街「六麓荘町」があるなど、兵庫県内でも富裕層が多く住む場所です。この場所は個人の住宅もしくは別荘として使う一戸建てのみしか建てられないうえに、1区画の敷地として400㎡以上を確保しなくてはいけません。当然、それだけの土地を購入し、建物を建てられるだけの資金が必要になるため、おのずと富裕層が多く住むようになります。
また、大企業の本社がある自治体も、相応の税収が見込めることから公務員の給与も高くなる傾向があります。たとえば、「公務員の年収が高い市区町村ベスト10」で5位にランクインした愛知県豊田市には世界的な自動車メーカー・トヨタ自動車の本社があります。いわゆる「企業城下町」と言える場所でもあるため、愛知県内でも名古屋市に次いで2位の税収を誇る自治体です。
基本的に「物価が高くて人口が多い」なら高め
ここまでの結果をまとめると、地域によって細かい事情の差はあるものの「物価が高くて人口も多い」場所であれば、公務員の平均給与は高くなる傾向にあると考えてかまいません。
この記事がきっかけで、ご自身がお住まいの自治体の公務員の平均給与に興味がわいたなら、ぜひ調べてみてくださいね。
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荒井美亜 金融ライター/ファイナンシャル・プランナー
立教大学大学院経済学研究科を修了(会計学修士)。税理士事務所、一般企業等の経理を経験して現在は金融・マネー系の記事を主に手掛けるライターとして活動中。ゲームを通じて全国の高校生・大学生に金融教育を行うプロジェクト「Gトレ」の認定ファシリテーター(講師)として教壇にも立つ。取得資格はAFP(日本FP協会認定)、貸金業務取扱主任者(試験合格)、宅地建物取引士(試験合格)

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