25/11/19
子どもの金銭感覚を狂わせる、親の行動7つの失敗事例

お金へのイメージや金銭感覚は、育った環境や親との関係から作られるといいます。2022年度から高校でのマネー教育が始まり、家庭科で資産形成の教育が義務化されました。しかし、お金の支払い方法が多岐に渡ってくると、もっと身近なところからお金を上手に道具として使っていくことを教える必要があります。
今回は、親が子どもの金銭感覚を養うためにやってはいけない行動を取り上げていきます。
その1:買った物や食べ物をぞんざいに扱う
限られたお金を大事に使うために、「無駄遣いをしない」とよく言われます。お金を大事にすることは当然ですが、お金が姿を変えた物や洋服、食べ物などへの接し方もお金と同じように丁寧に扱うべきです。
親自身が物への接し方が乱暴で雑だったり、粗末にしていたりすれば、子どもが物を大事にすることは稀です。たとえば、子どもがおもちゃを雑に扱い壊れてしまっても、また別のものを買ってもらえるから大丈夫だと思えば、物を大切にしないでしょう。子どもにあれこれ言う前に、周囲の大人が家の中の物を大切にしている姿を示しましょう。
その2:決済端末でのクレジットカード抜き差し
現金を持ち歩く必要がなく、お財布がかさばらないなどの利便性からクレジットカードや電子マネー、スマホのQRコード決済などのキャッシュレス決済の普及が進んでいます。
キャッシュレス決済はスマートな支払いだけはなく、ポイントがたまるなど、現金払いにはないメリットもあります。
最近では買い物のレジで幼児を連れた親が、クレジットカードの抜き差しを子どもにさせているという状況があるそうです。高額でなければ、タッチ決済ができるカードもあります。「ピッピッ」という音で決済ができるので、子どもにとってはゲーム感覚でおもしろいのでしょう。現場では承認される前にカードを取り出してしまうので、もう一度やりなおすこともあり、迷惑だという声もあります。
子どもの中には、キャッシュレス決済は財布から現金が減らないので、「ピッってやればお金は要らない」と勘違いしていることもあるそうです。しかし、簡単な操作だからといって子どもにさせるのは問題があります。幼児には、クレジットカードはお金の後払いで、家族でも本人以外、勝手にカードに触ってはいけないと教えることが大切です。
また、ATMでお金を下ろすときに「お金はATMからいくらでも引き出せる」「お金は自然に湧いてくるもの」と思っている子どもも多いそうです。預金を銀行の窓口に行かずに下ろせるATMは便利ですが、親が一生懸命働いたお金が入っていて、それを下ろすという説明を子どもにすべきです。普段何気なくしている行動でも、子どもにはお金がどう使われているのか説明しないと、お金の価値がわからないままだという可能性があります。
その3:子どものおこづかいの使い道に口を出す
おこづかいをもらうと、子どもは自分の欲しいものを買うためにお金を使います。それが大人の目から見れば、お菓子のおまけが目的だったり、すぐに壊れてしまうものだったりすることもあるでしょう。そこで親はできるだけ有効なお金の使い方をしてほしいという思うあまり、おこづかいの使い方に口を出したくなります。
しかし、自分の判断でお金を使う経験を積まなければ、どういったものにお金を使うのが有効なのか、満足なのかという価値基準を身に着けることはできません。買って満足したという経験も、買って損したという経験もやってみて初めて得られるものなのです。親がお金の使い道を決めてしまうと、子どもに「どうせ受け入れてもらえない」という勘違いが生まれます。子どもといえどもお互いの違いを認め、尊重しあう気持ちが大切です。
その4:おこづかいの前借りや追加支給を許す
子どもによっては、おこづかいをもらってすぐに使い切ってしまうケースや欲しい物が高額ですぐに買えない場合に、お金がもっとあったら…という場面に直面することがあります。お金を与えることは簡単ですが、子どもにとって、我慢する経験はとても重要なものです。それは、使えるお金は有限であることを感覚として身に着けることができるからです。お金が足りなければ、貯めてから買うことを学ぶことにもつながります。ニーズとウォンツの違いも体験できます。使ってよいお金には限りがあることを理解させ、計画的にお金を使う方法を知ってもらうことが大切です。
すぐにおもちゃやお菓子を買い与える環境では自制心や管理能力を育てることはできません。欲しいものがあった時に、「親にねだればどうにかなる」と学習すれば、相手のお金をあてにするくせがつきます。おこづかいの追加支給や物を買い与えることは簡単ですが、親はそこをぐっとこらえて、自分の力で手に入れる環境を意識的に作っていくようにしましょう。
その5:買い物でストレス発散する姿を見せる
ストレスがたまると、やけ食いをしたり、買い物でストレスを発散して不必要なものまで買ったりする人がいます。買い物をし過ぎてしまう人は、高揚感で買ってしまうことが多く、何かに依存する傾向がある人は、目の前の今だけよければいいと思う心が強いのです。他者からの承認欲求が強い場合は、買う必要がなくてもつい購入してしまう傾向があります。お店の人からチヤホヤされたり、褒められたりすることで自分の欲求が満たされるからです。本来なら、今月使えるお金はこれだけだから我慢しようとなるはずです。しかし、親の思いつきやストレス解消のお金の使い方を見ていては、子どもたちに計画的にお金を使う見本を見せることはできません。買い物でストレスを発散する子どもにならないように、まずは自分のお金の使い方から見直してみましょう。
その6:理由のないお金を子どもに与える
金銭感覚を身に着けさせるお金の教育では、子どもを自立させることとお金の扱い方を学ぶことが中核になります。ですから、理由もなくお金を子どもに与えているようでは、金銭感覚は身に着きませんし、子どもも自立しません。
おこづかいを毎月定額制にして、その中でやりくりさせたり、お手伝いをして出来高制にしたりする試みはとてもよいでしょう。お金が働いて得られるものだという感覚になれば、将来の職業選択にも役立ちます。
また、お金を支出の面からだけではなく、収入面から考える機会を与えてみましょう。たとえば、親の仕事の話を通して、収入を得ることの大切や、お金を報酬の対価として受け取ることが理解できれば、そこから社会を知ることにもつながります。お金を子どもがねだるだけ与えるのではなく、理由があるお金を渡すことにしぼるとお金を大切に扱うことができます。
その7:親が失敗を回避させてしまう
お金での失敗を恐れるあまり「子どもの前ではお金の話をしない」「お金を一切持たせない」というのも考えものです。お金の価値がわからないことが、後にトラブルにつながる可能性があります。他人から教えてもらっても、自分が経験しなければ自分事として捉えることはできません。最近はネット環境が整備されて効率的にできることが多く、失敗したり、迷ったりする経験が減っています。どんな小さなことでも、自分でうまくできれば、達成感を味わうことができます。逆に親が過保護で失敗しないように先回りをすれば、生活力や自信を身に着けることができません。
もちろん、お金のトラブルやリスクを教えることは必要なことですが、失敗をしないようにばかりしていては、自分で選び行動しながらできることを増やしていく経験を摘んでいることと同じことになるのです。ときには失敗から学ばせることも大切です。親は少しずつお金の経験をさせていく勇気を持つことも必要です。
金融教育には強い覚悟が必要
お金持ちの家庭だからといって、何でも買い与えるのではなく、必要なものしか買わないという徹底した教育を実践しているという話も聞きます。金銭感覚がなくて困るのは子ども自身だとわかっているからでしょう。親はお金を通して何を子どもに伝えるのかを考え、だだをこねる子どもとの格闘にも負けない強い覚悟をもって臨むことが必要ではないでしょうか。
そもそも一朝一夕には正しい金銭感覚は身に付きません。親子で買い物に行き、品物と金額を比較したり、予算のことを考えたりしながら、買うときのポイントを話すなど、身近なところからお金の経験を積み重ねていきましょう。
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池田 幸代 株式会社ブリエ 代表取締役 本気の家計プロ®
証券会社に勤務後、結婚。長年の土地問題を解決したいという思いから、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)を取得。不動産賃貸業経営。「お客様の夢と希望とともに」をキャッチフレーズに2016年に会社設立。福岡を中心に活動中。FP Cafe登録パートナー
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