25/10/13
10月からもらえる年金額が増える人・減る人

2025年10月15日は年金支給日ですが、人によっては10月から年金額が増える・または減るかもしれないのをご存じでしょうか。本記事では、10月から年金額が増える人・減る人はいったいどのような人か解説します。
税金や社会保険料が増えることで年金の手取りが減る
2ヶ月に1度支給される公的年金は、税金や社会保険料が天引きされたものが振り込まれています。税金や社会保険料は前年の所得をもとに決まるため、所得が増えていれば引かれる金額も増え、その結果、年金の手取りが減ってしまいます。
ただし、前年の所得が確定するまでには時間がかかるため、4月、6月、8月はいったん前年度2月と同じ金額を仮で天引きすることになっています(仮徴収)。前年度の所得が確定し、正式な税金額や社会保険料額が決まった10月、12月、2月は、仮徴収で支払った分を差し引き、残りを3で割った金額が天引きされるようになります(本徴収)。そのため、前年度の所得が多いと、10月からの年金手取りが減るのです。
例えば、前年に退職金を受け取った、前年度からアルバイトを始めた、といった理由で所得が増えている人は、10月から年金の手取りが減る可能性があります。
在職老齢年金によって年金の額面金額が減る
在職老齢年金とは、厚生年金を受け取りながら会社等で勤務している人の給与と年金の合計額が基準を超えた場合に、年金の支給額が減る仕組みのことです。
正確には、
①加給年金額を除いた老齢厚生年金額の月額(基本月額)
②その月の標準報酬月額+その月以前1年間の標準賞与額の合計を12で割ったもの(総報酬月額相当額)
①と②の合計が51万円(2025年度)を超えている期間、超えた分の半額が支給停止されます。
在職老齢年金で支給停止される金額は、総報酬額月額相当額が変わるたびに変動します。つまり、10月から給与収入が増えた人は、在職老齢年金の支給停止額も増え、もらえる年金が減ってしまうことになります。
ただし、在職老齢年金は前月から引き続き働いている人が対象と定められています。そのため、定年退職して1年ほどゆっくり過ごし、10月から再就職で働き始めたことで①と②の合計が51万円を超えた人は、11月分から在職老齢年金で支給額の一部が停止されます。
在職定時改定で年金の額面金額が増える
在職定時改定とは、65歳で定年して年金を受け取るようになってからも、70歳まで厚生年金に加入して年金保険料を納めながら働き続けることで、もらえる年金額を増やしていくことができる仕組みです。
在職定時改定では、9月1日を基準日として、その前日からさかのぼって1年の間に支払った年金保険料を反映し、その年の10月から年金額が増額されます。
年金生活者支援給付金の支給要件から外れることで年金の額面金額が減る
年金生活者支援給付金とは、年金を受け取っている人の収入金額や所得が一定基準以下の人が受け取れる給付金で、年金に上乗せされて支給されます。
年金生活者支援給付金は、以下の3つをすべて満たしている人が受給できます。
①65歳以上の老齢基礎年金の受給者である。
②同一世帯の全員が市町村民税非課税である。
③前年の公的年金等の収入金額とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後に生まれの方は909,000円以下、昭和31年4月1日以前に生まれの方は906,700円以下である。
年金生活者支援給付金は、引き続き支給要件を満たしているかどうか、毎年再判定が行なわれます。要件を満たしていれば、2年目以降は特に手続きは必要なく継続して支給されます。要件を満たさなくなった場合「年金生活者支援給付金不該当通知書」が届き、支給は終了します。
支給判定の結果は、10月分から翌月9月分までが反映されます。そのため、年金生活者支援給付金の支給要件から外れた人は、厳密にいうと12月分から年金支給額が減ることになります。
10月から年金が増える人・減る人に当てはまっていないか確認しよう
前年度に所得が増えて税金や社会保険料が増えた人、在職老齢年金の対象となった人、年金生活者支援給付金の支給要件から外れた人は、10月以降年金が減る可能性があります。一方、定年後も厚生年金に加入して働いている人は、在職定時改定で10月以降年金が増えるかもしれません。
年金の振込額を見て慌てないよう、自分が本記事で紹介した条件に当てはまっていないか確認しておきましょう。
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木下七夏 Webライター
大学卒業後金融機関に勤め、個人のお客さま向けの営業を担当。退職後にFP2級を取得し、フリーライターに。FPで学んだ知識や金融機関勤めの経験を生かして、生活にまつわるお金の疑問を分かりやすく噛み砕いて解説する記事を作成している。

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