20/03/23
正社員と非正規社員では生涯賃金は1億円以上違う! 賃金では見えない差も大きい
女性の場合、結婚や出産を機に正社員の仕事を辞め、パートやアルバイト、派遣などの非正規雇用で働くことを選ぶ人も多くなっています。
今回は、正社員と非正規社員とでは年収や生涯賃金がどれくらい違うのかを検証してみます。仕事を辞めるべきかどうか悩んでいるなら、ぜひ参考にしてください。
女性の年収、正社員と非正規社員でどれくらい差がある?
まず、正社員と非正規社員の平均年収を見てみましょう。国税庁が行っている民間給与実態統計調査(平成30年分)によると、1年を通じて勤務した給与所得者のうち、女性の正規労働者の平均給与は386万円、非正規労働者の平均給与は154.1万円です。すべての年齢層を合わせた平均値のデータではありますが、正規と非正規とでは200万円以上の年収の差があります。
なお、男性の正規労働者の平均給与は559.9万円、非正規労働者の平均給与は236万円ですから、こちらは300万円以上の年収の差があることがわかります。
国税庁「民間給与実態統計調査」(平成30年分)
非正規の中にはフルタイム労働の人もいれば短時間のパート勤務の人もいるので、同じ時間労働した場合を比べると、これほどの差は出ないでしょう。しかし、非正規社員の場合にはボーナスがないことが多いので、同じ時間働いた場合でも正社員より年収が少ないのが一般的です。
正社員のメリットは給料だけではない!
年収の金額にはそれほどこだわらないので、非正規社員でもいいという人もいるかもしれません。ですが、正社員の場合、仕事を休んでも相応の補償があるため、収入が大きく減ってしまうことがないというメリットもあります。正社員なら法律で定められた有給休暇を取得することができるので、休んだら直ちに給料がなくなるということもないでしょう。
また、正社員なら社会保険に加入しているはずですから、病気やケガで長期的に休まなければならない場合でも、最長1年6か月の期間、健康保険から傷病手当金を受給できます。さらに、産休中には健康保険から出産手当金を、育休中には雇用保険から育児休業給付金をもらうことが可能です。
一方、非正規社員の場合、労働条件によっては有給が取得できなかったり、社会保険に加入できなかったりします。休んだ分給料が減ってしまうこともあるので、急な病気やケガで生活に支障が出てしまう可能性もあります。
正社員と非正規社員で生涯賃金の差は1億円以上!
正社員と非正規社員の生涯賃金はどれくらい違うのでしょうか。独立行政法人労働政策研究・研修機構がまとめている「ユースフル労働統計2019」では、厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」をもとに一般労働者の生涯賃金を計算しています。これによると、大学卒業後60歳まで勤務を続けた女性の生涯賃金(退職金含めず)は、正社員の場合2億2000万円、フルタイムの非正規社員の場合1億2000万円となっています。この数字だけ見ても、1億円の差です。
なお、男性は正社員2億7000万円、非正規社員1億6000万円となっています。1億1000万円の差が生まれるということです。
女性の場合、実際には出産や育児で働けない期間がある人が多いと思います。休んでいる期間中の補償の有無を考えると、正社員と非正規社員の生涯賃金の差はもっと大きくなることもあるでしょう。非正規社員の場合、生涯賃金が少ない分、貯金の額も少なくなってしまい、老後に十分な資金が用意できない可能性もあります。
一般に、一度正社員という身分を手ばなしてしまうと、年齢が高くなるほど正社員として雇われるのは難しくなってしまいます。子育て中など仕事との両立が大変になる時期もありますが、安易に仕事を辞めてしまうのはもったいないと思います。働き方を選ぶときには、長い目でメリット、デメリットを考えておきましょう。
まとめ
最近は、以前と比べて育休や時短勤務の制度を利用しやすくなっています。出産後も働ける環境があるのなら、できるだけ正社員の仕事を続けた方がお金の面では得になります。
結婚している女性が仕事を続けていく上では、夫の協力も欠かせないでしょう。日ごろから夫婦でライフプランやマネープランについてよく話し合っておくことも大事です。
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森本 由紀 ファイナンシャルプランナー(AFP)・行政書士・離婚カウンセラー
Yurako Office(行政書士ゆらこ事務所)代表。法律事務所でパラリーガルとして経験を積んだ後、2012年に独立。メイン業務の離婚カウンセリングでは、自らの離婚・シングルマザー経験を活かし、離婚してもお金に困らないマインド作りや生活設計のアドバイスに力を入れている。
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