20/01/15
確定申告が必要な人・した方がいい人 まとめ
年が明け落ち着いてくるとやってくるのが、所得税の確定申告。個人事業主の方は考えるだけで気が重たくなってしまうものです。また会社員の方でも、今年は確定申告をした方がいいのだろうかと迷うこともあるでしょう。とはいえ、中には確定申告が必要な人もいますし、確定申告をすれば税金が還付される人もいます。戻ってくる税金があればやる気が湧いてくるのではないでしょうか。
そこで今回は、確定申告が必要な人・したほうがいい人をまとめてご紹介します。
そもそも確定申告とは?
確定申告とは、毎年納める税金の金額を決めるための申告制度です。例年、2月16日〜3月15日が確定申告の期間となっています(土日に当たる場合は翌月曜日)。
毎年1月1日から12月31日までの1年間にその人が得た収入から、その収入を得るために支出した必要経費を差し引いた(控除した)後の金額を「所得」といいます。所得からは、「所得控除」といって、一人ひとりの事情に合わせてさまざまな金額を差し引くことができます。そうして残った所得(課税所得)の金額に応じて、5%〜45%の税率をかけた金額が所得税となります。さらに、所得税を直接差し引く税額控除を引いた金額が、実際に支払う金額となります。
会社員や公務員であれば、年末調整という仕組みによって、会社が所得税の金額を計算してくれます。ですから、基本的には確定申告は不要です。しかし中には、確定申告が必要な人や、確定申告をした方がいい人もいます。以下具体的に紹介しますので、自分が該当しないか確認してみてください。
確定申告が必要な人
以下の人は、毎年確定申告をする必要があります。
●個人事業主
自営業者やフリーランスといった個人事業主は、基本的には確定申告を行う必要があります。所得が38万円を超えると申告が必要になります。
●一定の公的年金をもらっている人
公的年金等の年間の収入金額が400万円を超えると申告が必要です。
●不動産など、そのほかの所得があった人
土地や家などの不動産の譲渡があった場合は申告が必要です。また会社員でも不動産を貸 し付けて収入を得ている場合には、不動産所得になりますので、申告が必要です。
●外国企業から受け取った退職金など、源泉徴収されていないものがある人
給与所得者でも確定申告が必要な場合がある
会社員の大部分の方は、年末調整によって所得税の計算が終わってしまうので、確定申告は不要です。しかし、以下に当てはまる場合には、原則として確定申告をする必要があります。
●給与収入が2000万円を超える人
給与収入が2000万円を超える場合には年末調整がされないので、確定申告が必要です。
●給与を1か所からもらっていて、ほかに20万円を超える収入(給与所得、退職所得を除 く)がある人
会社員をしながら副業などで利益が出た場合などには、確定申告が必要です。
●給与を2か所以上からもらっていて、かつ年末調整が行われていない収入(給与所得、退職所得を除く)が20万円を超えている人
●同族会社の役員や親族などで、その会社からの給与のほかに家賃収入や使用料などを受け取っている人
●災害減免法で源泉徴収税などの猶予や還付を受けている人
災害によって受けた住宅や家財の損害金額がその時価の2分の1以上で、かつ災害にあった年の所得金額が1000万円以下の場合のとき(損害金額は保険金などによって補てんされる金額は除きます)は、確定申告が必要です。ちなみに所得金額が500万円以下の場合には、所得税の全額が免除されます。
●在日外国公館に勤めていて源泉徴収を受けていない人
●その年に転職をしたけれど、前職分を含まずに年末調整をした人
確定申告をした方がいい人
確定申告をする必要がない人でも、源泉徴収された所得税額が計算した所得税額よりも多いときは、確定申告をすることによって、納めすぎた所得税を還付してもらえます。これを還付申告といいます。
還付申告の具体例としては次のようなものがあります。
●年の途中で退職し、年末調整を受けずにその後就職していない人
給与所得者の場合、毎月の給料やボーナスの中から概算で所得税を源泉徴収しています。ですから、年末調整を受ける機会がないままだと税金の納めすぎになってしまいます。所得税がかかるのは年間の課税所得金額が103万円を超える場合です。
●住宅ローンを利用して一定の要件の住宅の新築、取得、増改築等を行った人(住宅借入金等特別控除)
一般的に「住宅ローン控除」と呼ばれています。当初10年間の住宅ローンの年末残高の1%、最大40万円をその年の所得税から還付する制度です。もし、所得税から住宅ローン控除を引ききれなかった場合には、翌年の住民税が減額されます。
購入の翌年は確定申告が必要ですが、会社員は2年目以降、年末調整で手続きが完了します。
●借入金を利用してマイホームに特定の改修工事をした人(特定増改築等住宅借入金特 別控除)
バリアフリー工事、省エネ工事、多世帯同居改修工事を含む増改築をした場合です。
●認定住宅の新築等をした人(認定住宅新築等特別税額控除)
●災害や盗難で資産に損害を受けた人(雑損控除)
●給与所得者で、特定支出控除の適用を受けた人
●多額の医療費を支出した人(医療費控除)
医療費控除は、
(1)実質的に負担した金額が10万円を超えた場合(10万円以下でも控除が受けられる場合あり)
(2)健康診断や予防接種を受けている人が1年間に1万2000円を超えるスイッチOTC医薬品を購入した場合(セルフメディケーション税制)
のどちらかが受けられます。
●特定の寄附をした人
ふるさと納税など、国や地方自治体や特定の団体に寄附をした場合です。ふるさと納税をしてワンストップ特例制度を利用した場合には申告は不要です。
●生命保険料などの控除漏れがあった人
年末調整のときに保険料控除証明書を出し忘れても、確定申告をすれば控除が受けられます。
●アルバイト先などで源泉徴収されている人
確定申告をするとどれくらいお得?
確定申告が必要な人は別として、確定申告をした方がいい人は、申告をするかどうかは本人の意思に任されています。とはいえ、面倒くさいと思ってそのままにしていると、損をするかもしれません。
所得税は、はじめにお話ししたように、税金をかけるもととなる「所得」から「所得控除」を差し引いた「課税所得」に税率をかけて計算します。税率は5%〜45%まで7段階あり、所得が多い人ほどその税率が高いので、戻ってくる税金の金額も多くなります。
また、実は確定申告は、所得税だけではなく、住民税の計算にも影響します。さらに、住民税の税額をもとに計算されている健康保険料や介護保険料などにも波及します。わずかな差が大きく影響するのです。ですから、少しでも控除できる余地があるなら、きちんと確定申告すべきでしょう。
まとめ
確定申告が必要な人・した方がいい人。あなたは当てはまっていたでしょうか。特にこれまで「した方がいい人」だったのに確定申告をしてこなかったという人は、今年は税金の計算をゲームだと思って、どれくらい節税できるのかチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
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池田 幸代 株式会社ブリエ 代表取締役 本気の家計プロ®
証券会社に勤務後、結婚。長年の土地問題を解決したいという思いから、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)を取得。不動産賃貸業経営。「お客様の夢と希望とともに」をキャッチフレーズに2016年に会社設立。福岡を中心に活動中。FP Cafe登録パートナー
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