お金持ちになるための七つ道具とは〜『漫画バビロン大富豪の教え』

この100年間で経済やビジネスモデルは大きく変わり、新たなテクノロジーの登場で人々の暮らしは激変しましたが、「どうやったらお金持ちになれるのか」という悩みは100年たっても変わらないもの。

『バビロン大富豪の教え』は、100年にわたって世界中の人に読み継がれてきたお金の名著。銀行員や会社経営者、オリエンタルラジオの中田敦彦さんも絶賛しています。2019年にコミック版『漫画バビロン大富豪の教え「お金」と「幸せ」を生み出す五つの黄金法則』が出て、より読みやすくなりました。

題名のバビロンとは、紀元前3000年頃に現在のイラク南部で栄えたバビロニア王国の首都のこと。バビロニアは歴史上初めて穀物や家畜の貸付を行った国で、銀行の起源と言われています。この本は、一人の貧乏な少年が都で一番の大富豪になる方法を教えてもらい、実現させるストーリー仕立てになっています。

誰もが知りたい、お金持ちになるための七つ道具

「なぜお金持ちと貧乏がいるのか？」「どうしたらお金持ちになれるのか？」
いつもお金に翻弄される私たち。お金持ちになる方法があったら、誰だって知りたいですよね。問いかける少年に、バビロンの大富豪は「お金を持っている者がお金持ちではない」と教えます。

えっ、どういうこと？

大富豪にとってお金持ちとは、お金の増やし方を知っている人だそう。どうやら大富豪はただお金を持っているのでなく、増やし続けているようですね。

大富豪が少年に教えたのは、富を築くための黄金の七つ道具でした。

1.　収入の10分の1を貯金せよ
2.　欲望に優先順位をつけよ
3.　貯えた金を働かせよ
4.　危険や天敵から金を堅守せよ
5.　より良きところに住め
6.　今日から未来の生活に備えよ
7.　自分を最大の資本にせよ

お金を貯めて考えて動かすこと、居心地のいい家に住むこと

紀元前の少年には初耳のことばかりかもしれませんが、現代の私たちにはなるほどと思える内容ですね。1は貯金、2は浪費禁止、3は運用、4はリスク回避、6は貯金と運用。
5番目の「より良きところに住め」は浮いているような気がしますが、これは皇居やお城のそばに住めということや、ヒルズ族になれということではありません。狭くても不便でも、自分にとって居心地のいい場所に身を置くことが重要という考えです。
生活と密接に関わる住まい。住む満足は幸せに繋がり、貯金や投資のモチベーションになります。家賃が安ければ、あるいは高ければいいという金額の問題ではないようです。

また、7番目の「自分を最大の資本にせよ」は、7つの中で一番重要な教えです。たとえ大富豪にいい教えをもらっても、聞くだけでは何も生み出せません。大切なのはやるか、やらないか。「自分を最大の資本にする」とは、行動することを意味します。リスクを最小限におさえながら挑戦することが大事です。

100年たっても変わらない五つの黄金法則

七つの道具をさらに昇華させたのが、タイトルになっている五つの黄金法則です。まとめると、こういうことになります。

1. 収入の10分の1を貯金すると、黄金は膨らんでいく
2. 賢い者が動かすと、黄金はよく働く
3. 黄金の専門家のアドバイスに耳を傾けた者から、黄金は離れない
4. 黄金の専門家のアドバイスを無視してやみくもに商売に手を出すと、黄金は離れていく
5. 自分を過信してありえない利益を出そうとしたり、甘い言葉につられて儲け話に乗ると、黄金は逃げていく

1〜3はすべきこと、4〜5はしてはいけないこと。七つ道具と五つの黄金法則のどちらか、もしくはどちらも頭においてお金と付き合うのが、お金持ちになるコツのようです。

お金持ちと貧乏人の違いは、お金のあるなしではないことが新鮮ですね。つまり「いま」ではなく「将来」を見据えた金銭感覚を持つことが必要。そしてバビロン大富豪の教養の深さからは、思慮深く立派な人がお金持ちになれるようにも思えます。

お金の真理は時代を超えても変わらないもの。100年前のバビロン大富豪の教えは、令和の私たちにとっても大いに参考になります。「貯金が習慣化できない」「投資の仕方が分からない」「お金持ちになる心得を知りたい」という人にお勧めの一冊です。