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20/05/14

資産運用・経済

100兆円を超える日本の予算、何に使われている? 本当に無駄遣いなのか

2020年の春は、新型コロナウイルスの話題で持ち切りです。国はこの状況を乗り切ろうと、 3月末に成立した2020年度の予算に対して、4月7日に補正予算を組みました。
日頃は税金を納めても、その使い道までは関心がなかった人も多いと思います。個人で解決できない問題が発生すると生活に直結するだけに、税金をどのように支出していくのかが注目されます。

国の予算はどうやって決めるのか?

日本という国で生活したり経済活動したりする私たちは、所得税や消費税、法人税などの税金を納めています。そして、その税金を使って、生活に関係する公共サービスを受けています。その税金の使い道は、各省が見積書(概算要求)を出し、財務省で予算案を作り、その案を内閣で検討し、国会に提出します。衆議院で可決された後、参議院で可決すると次の年度の予算が成立します。

また特別な事情によって、当初の予算どおりには税金が使えないと判断したときには、もともとの予算の内容を変更するように組まれるものが「補正予算」になります。

国会というと遠い存在に感じてしまいますが、国会では国会議員が話し合って政策を決めます。その国会議員は、私たちが選挙で選んだ代表なので、間接的には国民が税金の使い道を決めていることになります。

2020(令和2)年度の予算はどうなっている?

2020年度の予算(一般会計総額)は、102兆6580億円となっています。

予算の総額は8年連続で最大を更新しており、2年前にくらべて5兆円ちかく増加しています。

その一般会計の3分の1を占めるのが、社会保障費です。
医療や年金、介護、社会福祉のために使われています。2020年度の予算では、「子供たちからお年寄りまで、全ての世代が安心できる社会保障制度」にしていくため、少子化対策に多く支出します。

次に多い国債費は、国が国民から借りたお金を返すための費用です。利子以外にも国債を発行して償還するまでに負担する諸費用を含みます。

3番目に多い地方交付税交付金は、格差のない公的サービスを提供するために財政力を調整するために支出するものです。都道府県や市区町村はその地域の経済状況によって、財政力に違いがあります。警察や消防費、医療費の公費負担、ゴミ処理などに使われています。

2020年の予算は「新経済・財政再生計画」のもとに、基本方針として「経済再生」と「財政健全化」を目標に掲げ、経済の成長を後押しするものとなっています。こうした背景には、経済が伸びなければ、いろいろな目的を達成できないし、財政の健全化にもつながらないという考えがあるようです。

主な取り組みとしては、
・社会保障の充実
消費税の増税分を活用した、幼児教育・保育の無償化や高等教育の無償化
・景気を落ち込ませないための対策
 キャッシュレス決済によるポイント付与
 マイナンバーカードを活用した個人消費の下支え
 防災のためのインフラ整備
・歳出を改革する取り組み
 国債の発行を8年連続で減額
などが挙げられています。

また、「地方再生」として、自動運転車・ロボットなどの技術を活用する取り組みや地方の稼ぐ力を高める事業、さらには外国からの観光客を呼び込む整備、災害からの復興など、さまざまな予算が計上されています。

しかし、社会保障費、地方交付金、国債費が歳出全体の73%を占めています。これでは他の政策に予算を使いたくても、自由に使える予算は少なくなります。こうして考えると、限られた財源の中で、きちんとした効果が上がる税金の使い方が重要になってきます。

税金が無駄なく使われているのかチェック

こうした税金の無駄遣いをチェックする機関が「会計検査院」です。学校で憲法を勉強したときに「会計検査院は国会、内閣、裁判所のすべてから独立した組織」だと教わったことを覚えている方もいるかもしれません。

会計検査院は、1年間にわたって検査したよくない税金の使い方をまとめ、毎年11月に「検 査報告」という1000ページにもおよぶ報告書を作って、国会に提出します。

2018(平成30)年度には、1002億円もの税金の無駄遣いが指摘されています。
全体の指摘件数が最も多かったのは厚生労働省で91件、指定金額が最も多かったのは経済産業省の203億円でした。過去10年間で件数はもっとも少ないそうですが、それでも多く感じるかもしれません。

会計検査院は、細かな点も厳しくチェックしています。
たとえば、会計検査院の「平成30年度決算検査報告の概要」によれば、経済産業省では次 の不当事項がありました。

山口県下松市では、「地域・まちなか商業活性化支援事業」でカルチャーセンターを整備しました。しかし、補助金の交付を受けて整備したにも関わらず、整備した施設の一部の設備や器具を無断で取り壊していました。
本来なら商店街と地域交流を強化し、少子・高齢化対策に役立てるものでした。ここでは無断で取り壊された施設の国庫補助金相当額763万円が不当であったと報告されています。
作ってすぐに壊すくらいなら、最初からよく地元住民の声を聞いて、利用の増大を図れるものを整備する必要がある、というわけですね。

まとめ

税金は、私たち国民が毎日一生懸命働いて得たお金から納めたものです。2020年の予算には、2019年10月に増税された消費税も使われています。そして、新型コロナウイルスの対応では、リーマンショックや東日本大震災とは違い、企業の法人税や消費税の申告・納税を猶予する特例を創設するなど税収確保も困難になりそうです。

大変なときだからこそ、無駄遣いをせずに予算の目的にそった効果が得られる政策の実行が求められます。

池田 幸代 株式会社ブリエ 代表取締役 本気の家計プロ®

証券会社に勤務後、結婚。長年の土地問題を解決したいという思いから、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)を取得。不動産賃貸業経営。「お客様の夢と希望とともに」をキャッチフレーズに2016年に会社設立。福岡を中心に活動中。FP Cafe登録パートナー

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