19/02/17
確定申告で間違いやすいポイント5選
会社員の場合、勤務先が年末調整という手続きで1年間の所得税の精算をしてくれるので、確定申告は関係ないと思っていらっしゃる方も多いと思います。
でも、会社員でも確定申告をしないと損をすることがあるのです。
今回は、確定申告の間違いやすいポイントについて、わかりやすく説明します。
確定申告の間違いやすいポイント
(1) 医療費控除は10万円未満でもできるのに、しなかった
医療費には、病院でかかった入院費用や治療費、薬代のほかに、出産費用や入院時の食事代、風邪やけがを治すために購入した市販薬などがあります。
医療費控除は医療費の合計が10万円を超えたらできる、と思っている方が多いのですが、医療費の合計が10万円未満の場合でも、医療費控除が受けられないわけではありません。正確なルールは、「10万円、または総所得の5%を超えた金額」が控除できるというもの。ですから、総所得が200万円未満であれば、総所得×5%を超えた部分は医療費控除の対象となります。
ただし、出産育児一時金や医療保険金などをもらう場合は、それらを医療費合計から差し引くことをお忘れなく。
(2) 医薬品の購入費が年間1万2000円を超えたら使える所得控除を知らない
健康診断やメタボ検診などを受けている人だけが適用できる所得控除として、セルフメディケーション税制があります。本人や家族が購入した市販の医薬品のうち、国が定めたもの(スイッチOTC医薬品)が対象です。年間(1月1日~12月31日)合計で1万2000円を超えた金額(8万8000円が限度)が所得控除できます。
セルフメディケーション税制のメリットは、対象となる医薬品の合計が1万2000円を超えればよいという点です。しかも、家族の分も含めてよいというところもメリットといえます。
セルフメディケーション税制の対象となる医薬品かどうかわからないときは、厚生労働省のホームページを調べるか、販売店に尋ねてみましょう。
なお、医療費控除とセルフメディケーション税制は、どちらか一方のみ適用できます。控除額が大きいおトクな方を選びましょう。
(3) 年末調整後に控除証明書が出てきた、新たに保険に加入したという場合、控除できないと思い込んでいる
うっかりしていて、必要書類が年末調整後に出てくることも少なくないはずです。そんなときもあきらめる必要はありません。確定申告をすればしっかり税金を戻してもらえます。
また、11月や12月に新しく保険を契約した場合は、年末調整までに控除証明書が間に合わないことも多いでしょう。保険の所得控除は、年内に支払った保険料が対象になるので、年末調整後に支払いがあれば控除の対象です。支払いが確認できる証明書類は、捨てずにとっておくようにしましょう。
(4) 年末調整後に結婚した、親族を扶養することになったという場合も、控除できないと思っている
年末調整後に結婚した場合や、親族を扶養することになった場合は、配偶者控除や扶養控除の検討をお忘れなく。(3)の保険と同様、12月31日時点で結婚・扶養しているかが判断基準です。
配偶者の給与収入が201.42万円以内であれば、配偶者控除または配偶者特別控除のどちらかを適用することができます。また、親族の給与収入が103万円以下であれば、親族の年齢により扶養控除額を判断します。
(5) 過去の間違いに気づいても後の祭り。もう直せないと思っている
例えば「過去に多額の医療費がかかっていたことを思い出した」という場合、必要書類がそろっていれば税金が戻ってくる可能性があります。
年末調整で所得税の精算がおわり、そのあとに確定申告していない場合、5年前までさかのぼって確定申告することができます。
また、過去に確定申告をしている場合は、5年以内であれば過去の確定申告を訂正することができます。これを更正の請求といいます。
例えば、過去に確定申告をした年度に、他に医療費があったことがわかった場合は確定申告のやり直し(税金を取り戻す)となり、更正の請求に該当します。
反対に、確定申告した後に保険給付金の支給がわかり、医療費合計から差し引いていなかった場合は、税金を納める方になりますので、修正申告になります。
確定申告する際は、提出した書類と同じものを控えとして保管しておくようにしましょう。
提出した内容がわからなければ、間違いかどうかも気づくことができません。
まとめ
年末調整をした方(確定申告義務のない人)が、確定申告をして税金が戻ってくるケースを還付申告といいます。還付申告は、確定申告時期(2月16日~3月15日)にかかわらず、1月1日からできます。
確定申告の結果、税金が戻ってくる方でも、副業などで確定申告義務がある人は、申告期限は2月16日(2019年は2月18日)~3月15日です。
確定申告時期は税務署も大変混雑します。年末調整された方で、税金が戻ってくるのであれば、早めに申告にとりかかることで、スピーディーに指定口座へ入金されることでしょう。
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山田 香織 中小企業診断士、 1級ファイナンシャル・プランニング技能士
FP歴10年。会計事務所で11年間、経営・税務相談業務を経験した後、FP事務所を開業。
個人から中小企業者まで経営に関する相談実績がある。現在は、会計・税務の経験を活かして、家計・経営相談を受ける。執筆活動も積極的に行う。
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