19/06/03
2019年4月から確定申告で源泉徴収票の提出が不要に! いったいどう変わる?
税制改正で2019年4月から、確定申告の際に源泉徴収票(給与所得の源泉徴収票)を添付する義務がなくなりました。
収入が給与のみの人は、会社で年末調整をするので、確定申告をする機会は少ないかもしれません。しかし、たとえば働き方改革で副業をはじめ、給与以外にも収入ができたという人は、自分で確定申告をすることになります。
確定申告する人にとって、今回の改正はどう影響するのでしょうか。わかりやすく解説します。
会社からもらう源泉徴収票は保管も不要に
源泉徴収票は、1年間の給与・賞与の支払額や、源泉徴収された所得税の金額などが記載された書類です。会社が給与・賞与として支払った額を公的に証明する書類だといえます。その年に一度でも給与の支払いがあれば、源泉徴収票をもらうことができます。
冒頭でお話ししたとおり、会社員・公務員など、給与所得がある方は、年末まで会社に勤めていれば会社で年末調整という処理が行われます。これで1年間の給与・賞与に対する税金の額が決まり、会社が税金を納めてくれますので、他に収入がなければ確定申告は不要となります。しかし、年中に退職するなどして会社で年末調整をしなかった人や副業など給与以外の収入がある人、税額を安くできる控除を申請する人などは、確定申告をして所得税を精算します。
このとき、これまでは源泉徴収票を添付台紙に貼って提出する必要があったのですが、2019年の税制改正により、源泉徴収票の提出が不要になった、というわけです。もちろん、添付台紙に貼る作業もなくなります。
提出不要になった源泉徴収票は、自宅で保管する必要もありません。ですから、確定申告の手続きが、ちょっとだけ楽になるようです。
ちなみに今回、給与所得の源泉徴収票の他にも、提出不要になった書類があります。具体的には以下の通りです。
・退職所得の源泉徴収票
・公的年金等の源泉徴収票
・オープン型証券投資信託の収益の分配の支払通知書
・配当等とみなす金額に関する支払通知書
・上場株式配当等の支払通知書
・特定口座年間取引報告書 など
確定申告に記載するときには必要
源泉徴収票は、保管の必要はありませんが、確定申告書の作成時には必要です。というのも、確定申告書には源泉徴収票をもとに金額を記載する欄があるからです。
たとえば、会社員・公務員の方が確定申告をする際に提出する「確定申告書A」(第一表)なら、源泉徴収票の金額を以下のように転記します(書式は仮のもので、変更になる可能性があります)。
2019年4月1日以後に提出する確定申告書から、源泉徴収票などの提出が不要になっています。ですから、例えば、何らかの理由でこれから2018年分の確定申告をする場合であっても、源泉徴収票などの提出は不要と考えてよさそうです。
まとめ
確定申告の制度上、源泉徴収票などの書類は提出不要となり、添付する際の手間は減りました。保存義務もなくなりました。
でも、源泉徴収票を処分するのは、ちょっと待ってください。
源泉徴収票は、1年間の自分の稼ぎを示す書類であり、1年間の使えるお金の目安を考えるのに役立つ書類でもあります。収入や手取りの金額を把握することは、今後のライフプランを考えるヒントになるでしょう。また、源泉徴収票は公的な書類なので、たとえばローンを組みたいときなどに、銀行に提示を求められます。
直近のものだけでも保管しておくと便利だと思います。
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山田 香織 中小企業診断士、 1級ファイナンシャル・プランニング技能士
FP歴10年。会計事務所で11年間、経営・税務相談業務を経験した後、FP事務所を開業。
個人から中小企業者まで経営に関する相談実績がある。現在は、会計・税務の経験を活かして、家計・経営相談を受ける。執筆活動も積極的に行う。
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