18/05/17
子供の生命保険はいつから入るのが正解?
「子供のために、保険は入っておいたほうが良いのでしょうか?」
この質問は小さな子供がいるご家庭でよく耳にする質問です。
保険営業をしている者にそのような質問をすると、当然「そうですね」から商品提案に進むと思われる方が多いかと思いますが、今回は現在も保険を含めた金融商品販売をしている筆者の「子供の保険についての考え方」を、解説したいと思います。
保険は感情で入ってはいけない
保険に限らず、金融商品に携わる仕事をしている人の中には、顧客と直接関わる業務を日々行う、販売や営業の者と、商品企画や設計・運用業務等、顧客とは面識無く業務を行う者とに分けることができます。
筆者は前者なのですが、長いこと直接顧客に接する仕事をしてきて、口癖になった言葉があります。それは、「理屈で考えてください」です。少し、冷たい言葉のように感じる方もいらっしゃるかもしれませんね。
相談者である母親は「女性」なので、(これは筆者の偏見かもしれませんが)男性よりも感情にウェイトを置く方が多い中、心情的なアプローチで「入っておいたほうがいいですよ」という言葉とは、まったく逆のお声がけをするわけです。
特に「可愛いわが子」のための話をしているのですから、違和感を感じる方がいるのも無理はありません。
筆者がこの話を持ち出したのは、保険加入では、特に「子供の保障・子供のための資金準備」に関しては、親は「感情」で動く傾向が高いからです。
その傾向は顕著で、家族に大病をした人がいる家庭では、たいてい「医療保険」に生後すぐ加入し、兄弟そろってみな同じ保険会社の同じ保障を持つパターンが出来上がります。
学資保険に関しても同じで、本来理屈で考えれば、加入時の予定利率や金利市場の変化に応じて、その都度商品を比較し、加入の有無を含めて検討するのが望ましいところですが、「同じ設計をして」という注文が多いのが、事実です。
子供に生命保険をかけるべきではない
さて、ここからは筆者の考えです。
生命保険に子供を被保険者として、親が加入するべきか。
答えは、ノーです。理由は、各地方自治体によって多少違いはあるものの、保険適用の治療に対する医療費助成制度で十分だからです。
かかった費用で多少の足はでても、その後の生活に支障をきたすほどの、致命的な問題にはならないはずです。
更により正確に回答するとすれば、「現在販売されている商品では、加入する必要なし」です。
がん保険であれば加入余地あり
供に対する保障で懸念材料にあげるとすれば、保険適用外の治療や、国内で治療することのできない難病の手術などを海外で治療させる場合の、治療費・渡航費などですが、現在その保障に限ったリスクヘッジ商品はありません。
現在販売されている商品で、唯一費用対効果から検討に値するかと思うのは、がん保険です。一月数百円で終身加入することができます。保険適用外の治療が考えられる、小児がんも対象に含まれますし、大人になってからも継続的に加入を続けることができます。
加入時期については、加入可能な年齢からすぐに検討されて良いでしょう。
多くの保険会社では、5歳から申込が可能になっています。
また学資保険などの積立金に対しては、その家庭によって考え方がさまざまなところ、ひとつの結論を出すのであれば、「現在の生活にストレスがかからない程度に、やってあげれば良い」というところでしょうか。
大学などの高等教育費用を、親が持つというのは、決して世界水準ではありません。
まとめ
筆者自身、一人の子供を持つ親の立場から「出来る事はしてあげたい」という親心は理解できますが、子供にかけてあげた保険を、子供が大人になって名義変更をし、その後子供が有効に活用している例は、実は見たことがありません。
ショックな話かもしれませんが、親のエゴに過ぎない保険加入は、子供の為になることは少ないようです。いつから加入するのかは、本人が必要性に気づき、自分でコストを負担できる年齢になったとき、というのが筆者の答えになります。
佐々木 愛子
ファイナンシャルプランナー(AFP)、証券外務員Ⅱ種
国内外の保険会社で8年以上営業、証券IFAを経験後、リーマンショック後の超低金利時代、リテール営業を中心に500世帯以上と契約を結ぶ。FPとして10代のうちから金融、経済について学ぶ大切さを訴え活動中。FP Cafe登録パートナー
記事提供:moneliy
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moneliy マネリー
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