21/09/02
お金が一向に貯まらない人が陥る間違った3つの節約
「先生、がんばってお金を貯めようとしているのに貯まらないんです」。18年ファイナンシャルプランナーをしていて、何人からこの相談を受けてきたことでしょう。一見がんばっているように思えても実は無駄遣いに繋がっていることも多いようです。がんばっているのにお金が貯まらない人の間違った節約術を3つ紹介します。
間違った節約術①:冷暖房を極力使わない
夏暑い時に冷房を使わない、冬寒いのに暖房をつけず風邪をひくなど体調を崩してしまうと、結局病院代がかかったり、仕事を休んで有給休暇を使ったりすることになるため節約に繋がりません。かといって、電気代がもったいないからとカフェに行くのはかえってお金がかかります。
たとえば、あるエアコン(14畳用)の冷房の1時間あたりの消費電力は1.35kWです。1kWあたりの電気料金が27円だとした場合、1時間のエアコン代は1.35㎾×27円×1時間=36.45円。約37円で済んでしまうのです。
3時間冷房をつけても37円×3時間=111円、スタバでラテ1杯374円で3時間ねばるよりお得ということになります。また体調を崩すようでは本末転倒ですし、医療費もそれなりにかかってしまいます。
●貯まる節約術へのアドバイス
必要に合わせ冷暖房を使い方はメリハリをつけて使います。カフェは気分を変えるなど目的をもって利用するならOKです。しかし、光熱費節約目的なら割高です。また、冷暖房を無理に我慢せず、健康管理に気を付けると医療費・薬代を節約できます。
間違った節約術②:底値買いを徹底してまとめ買い
モノを安く買うことは節約に繋がります。しかし、底値であることを理由にまとめ買いをして、結局賞味期限切れにしたり使いきれなかったりしたら無駄遣いになってしまいます。
1丁100円の豆腐が3丁で240円だった場合、1丁あたり80円になるのでお得です。しかしそのうちの1丁が使いきれずに破棄してしまったら、2丁で240円かかったことに。1丁あたり120円になってしまい割高になるのです。
調味料類、乾物類も使わず消費期限切れで捨てていませんか?せっかく底値で買っても使いきれなければ節約になりません。
●貯まる節約術へのアドバイス
使い切れる量だけ購入し使い切れば、無駄な支出を減らせるだけでなく、食品ロスを減らすことにも貢献できます。いつまでに使い切るのか、最後まで使い切れるのか、よく考えてから購入しましょう。
間違った節約術③:無料サービスをとことん使う
お金がかからないことは究極の節約のように思えます。無料で試せるサービスもたくさんあります。しかしボランティア以外で、企業が無料サービスをするのには、目的があります。
たとえば、1ヶ月会費無料のAmazonプライム会費(年間4900円または月額500円)。注文した商品の配送も早くなりますし、プライムビデオも観られるし、他の特典も充実しています。しかし、1ヶ月だけ使ってすぐやめようと思って登録しても、うっかり解約手続きを忘れてそのまま数ヶ月会費を払っていたという経験はありませんか? もちろん、そのサービスに納得して利用するのであればいいのですが、使わないのに会費を支払うのはもったいないですね。
他にもYouTubeプレミアム、Huluなどのサブスク、クレジットカードの初年度年会費無料なども要注意です。節約しているつもりが無駄遣いに繋がります。筆者はサブスクの場合、カレンダー、手帳、Googleカレンダーで「この日に解約手続きする」とトリプル管理してやっと無料で終わらせることができました。相当意識しないと流されて会費を払い続けてしまうのがサブスクです。
また、保険ショップの無料相談にも目的があります。もちろん、保険に加入してくれそうな見込み客の獲得です。親身に相談にのってくれると思いますが、保険に加入してもらわなければ収入にならないので、対応はどうしても保険加入に誘導する内容になりがちです。
実際、無料保険相談のセカンドオピニオンをしてほしいと筆者のもとにあった相談では、老後資金形成に向けてiDeCoがベストなのになぜか年金保険を提案されていたことも。また、大切な退職金1500万円のうち1000万円を外貨保険に加入させられてしまったケースもありました(しかも10年は解約すると損してしまうものでした)。
●貯まる節約術へのアドバイス
無料サービスを利用する時は「その目的は何か?」と、サービスの提供側として考えてから利用しましょう。サブスクなら「自動継続させることが目的だな」、無料の試飲・試食は「買ってもらうことが目的だな」、無料相談なら「ここのモノを買ってもらうことが目的だな」ということです。目的を把握してから無料サービスを利用すれば、意図せぬ出費にならない意識が生まれるはずです。「ただほど高いものはない」という戒めを意識することが大切です。
貯めているのに貯まらないワケは
毎月決めた金額を貯めることは貯金の大原則です。しかし、その金額に無理があると結局家計費の補填などで取り崩してしまい、一向に貯金残高は増えていきません。こうなるとお金を「貯めている」のではなく「場所を移す」だけ。つまり「貯めているのに貯まらない」ことになるのです。
ですから、普段の家計やりくりで無理のない金額で毎月コツコツ貯めましょう。習慣が大切なので最初は数千円でも構いません。取り崩さなくてもよい金額で貯めたお金は「場所を移した」だけではなく「貯めている」お金となり貯金額が着実に増えていきます。そうして、徐々に貯める金額を増やしていけばいいのです。目標は手取りの10~20%が目安です。
まとめ
少し意識を変えるだけでも節約で生まれるお金は増えていきます。ここに挙げた3つ以外でもがんばっているのにお金が貯まらないと感じることがあれば、何か問題点があるかもしれません。がんばった節約術を貯金残高にしっかり反映させていけるよう、振り返ってみては?
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稲村 優貴子 ファイナンシャルプランナー(CFP︎︎®︎)、心理カウンセラー、ジュニア野菜ソムリエ
大手損害保険会社に事務職で入社後、お客様に直接会って人生にかかわるお金のサポートをする仕事がしたいとの想いから2002年にFP資格を取得し、独立。現在FP For You代表として相談・講演・執筆活動を行っている。日経ウーマン、北海道新聞などへの記事提供、テレビへの取材協力など各メディアでも活躍中。著書『年収の2割が勝手に貯まる家計整え術』河出書房新社。趣味は、旅行・ホットヨガ・食べ歩き・お得情報収集。FP Cafe登録パートナー
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