20/06/19
大幅減の2020年夏ボーナス、みんなのボーナスの平均は?
6月の楽しみといえば夏のボーナス……というのが毎年の恒例なのですが、2020年は新型コロナウイルスの影響で、みんなのボーナスも大幅減が予想されています。いったい、夏のボーナスはどうなってしまうのでしょうか。調査データをひもといて紹介します。
大手平均は92万円、6%のマイナス
経団連(日本経済団体連合会)によると、2020年夏のボーナスは、第一回集計で大手企業(従業員500人以上の一部上場企業21業種257社)にて、支給額の総平均は925,947円でした。
最も低い業種は「鉄鋼」で569,679円、最も高い業種は「建設」で1,512,446円です。
(日本経済団体連合会「2020年夏季賞与・一時金 大手企業業種別妥結状況」より)
コロナの影響で、全体で見ると6%のマイナスです。業種別には、鉄鋼がマイナス25.01%と大きく落ち込んでいます。逆に紙・パルプがプラス7.57%と増加しています。
民間企業の一人当たりボーナスも大幅マイナスに
確かに金額は減少していますが、そこはやはり大企業。「こんなにもらえないよ」と思う方もいるでしょう。そこで、各社のリサーチをひもといて、みんなのボーナスの平均に迫ってみましょう。
みずほ総合研究所「2020年夏季ボーナス予測」では、民間企業の2020年夏の一人当たりボーナスの金額は34万6480円と予測しています。これは前年比マイナス9.2%の大幅な下落。世界的な金融危機となったリーマンショック後(2009年夏)の下落幅(マイナス9.8%)以来の水準だといいます。
ボーナスの支給額は、1か月当たりの所定内給与に支給月数を掛けて算出されることが多くなっています。同調査では、この所定内給与も支給月数も減ると予測しています。
これに対して、公務員(国+地方)の一人当たりボーナス支給額は前年比プラス0.6%の74万499円と予測。プラスを維持してはいますが、2019年の増加率(プラス4.2%)に比べると、大幅に鈍化しています。プラスとなったのは、公務員の給与やボーナスが前年の民間の水準を基準にしているから。また、夏と冬の支給額を均等化(冬が多かったのを夏冬均等に)したことも、影響があるといいます。
(みずほ総合研究所「2020年夏季ボーナス予測」より)
また、三菱UFJリサーチ&コンサルティング「2020年夏のボーナス見通し」でも同様に、民間企業の一人当たり支給額は35万2366円(前年比マイナス7.6%)、国家公務員68万7600円(前年比プラス1.3%)と、民間企業は大幅減少、公務員は小幅ながら増加と予想しています。
業種別に見ると、製造業49万3650円(前年比マイナス4.3%)、非製造業32万2817円(前年比マイナス8.7%)と、コロナの影響が大きな非製造業の方が下落幅が大きいと見ています。
さらに、コロナの影響は、夏だけにとどまりそうにありません。
先のみずほ総合研究所のレポートでは、緊急事態宣言による休業要請や外出自粛による業績悪化によって、2020年冬のボーナスは夏以上に落ち込む可能性が高いとしています。
ボーナスを使うときに気をつけておきたい3つのポイント
本稿執筆中も、ボーナスを半額カット・全額カットする会社のニュースが聞かれました。もらえるだけでもありがたい、増額は見込めない……そんな時代だといえそうです。
だからこそ、ボーナスがもらえるのであれば、大切にしたいところ。ボーナスを使うときに気をつけておきたい3つのポイントを紹介します。
①少なくとも半分は貯蓄する
コロナのせいで、ボーナスどころか、雇用自体が不安定になったり、収入が減ったりすることもありえます。まさかの事態に備えるため、少なくとも半分は貯蓄することをおすすめします。貯蓄がそもそもない、少ないという方ならば、さらにたくさん残しておくといいでしょう。
② 低金利の住宅ローンなどは、繰り上げ返済が本当に必要か考える
「ボーナスを住宅ローンの繰り上げ返済に充てる」というのは、住宅ローンの金利が高かったころの話です。住宅ローンの金利が低い今は、50万円~100万円程度を繰り上げ返済しても、利息の押し下げ効果はそれほど高くならない場合もあります。費用対効果を考えて、繰り上げ返済するかを決めましょう。
③ 投資にも目を向ける
ここでいう投資は、株式投資や投資信託といった、お金を増やす資産運用と、自らのスキルを伸ばす自己投資の両方があります。何かと不安定な時代に頼りになるのは、お金だったり、自分自身のスキルだったりします。コロナ禍でリモートのオンラインセミナーが人気だと聞きます。こうした中でも、努力している人はしています。
もちろん、自分の好きなものを買うなというわけではありません。しかし、せっかくのボーナスですから、「貯蓄」「意義のある消費」「投資」ができるよう、よく考えて使うようにしましょう。
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畠山 憲一 Mocha編集長
1979年東京生まれ、埼玉育ち。大学卒業後、経済のことをまったく知らないままマネー本を扱う編集プロダクション・出版社に勤務。そこでゼロから学びつつ十余年にわたり書籍・ムック・雑誌記事などの作成に携わる。その経験を生かし、マネー初心者がわからないところ・つまずきやすいところをやさしく解説することを得意にしている。2018年より現職。ファイナンシャル・プランニング技能士2級。教員免許も保有。趣味はランニング。
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