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21/01/20

カード・ローン

住宅ローン控除の「1%減税」、2022年度税制改正で見直し? 不利になる人続出か

消費税10%の令和時代。マイホームの取得は、消費税だけでも大きな金額になります。それに加えて住宅ローンを組めば、ローンの金利負担も加わります。そのローンの金利負担の軽減を図るための住宅ローン控除の見直しが議論されています。

所得税や住民税が還付される住宅ローン控除

住宅ローン控除とは、一定条件を満たしたマイホームを購入・リフォームするために住宅ローンを借りると、支払った所得税や住民税が還付される制度です。確定申告で手続きすると、住宅ローンの年末残高の1%にあたる金額を、10年間税金から差し引くことができます。一般住宅は年額40万円、認定住宅では年額50万円が最大の控除額ですが、基本的には1年間に支払う所得税・住民税の範囲でしか税金は戻ってきません。

●住宅ローン控除の主な条件

・自ら居住すること
・新築や購入して6か月以内に住むこと
・控除を受ける年の合計所得が3000万円以下であること
・床面積が50㎡以上であること(一部緩和されている)
・既存住宅の場合、耐震性能を有していること
・返済期間が10年以上の住宅ローンなどの借入れがあること

住宅ローン控除は、2019年に行われた消費税増税の影響を緩和するために、控除を受けられる期間が特例で13年間に拡充(延長)されました。
一般住宅の場合、1~10年目は年末の住宅ローンの残高の1%(年40万円が上限)が控除され、10年間で最大400万円になります。加えて、拡充された11~13年目は、
・建物価格の2%×3分の1
・年末の住宅ローン残高×1%
の、いずれか少ない額を年額として控除することができます。

2021年の税制改正大綱で住宅ローン控除も改正

2020年12月に決定した税制改正大綱で、住宅ローン控除も改正されました。
上で紹介した13年特例の適用は、当初2020年末までの入居が条件でした。しかし、新型コロナ感染拡大の影響もあり、注文住宅は2021年9月末、分譲住宅は2021年11月末までに契約を行い、2022年12月末までに入居をすれば、13年にわたって特例が受けられるようになりました。

また、住宅の床面積も50㎡以上から40㎡以上に緩和されて、小規模な住宅取得でも住宅ローン控除が使えるようになりました。ただし、合計所得が1000万円以下の人に限られます。

会計検査院が住宅ローン控除の制度不備を指摘⁉

一方で、住宅ローンの「1%控除」という仕組みには、問題点も指摘されています。というのも、住宅ローンの金利が下がった結果、1%以下で借りている人が多くなっているからです。

戦後、経済が右肩上がりだった時代には、地価の上昇が著しく、1972年に「住宅取得控除制度」や1978年からの「住宅取得促進税制」など国がマイホーム取得を支援する政策を打ち出しました。住宅ローンを利用して住宅購入した人の税負担を軽減してきたのです。

しかし、超低金利の時代には、制度のゆがみが生じてきました。平成30年度の会計検査院の報告では、必要のない人が住宅ローンを利用するなど住宅ローン控除の制度が国民の納得できるものになっていないとの指摘がありました。会計検査院の報告によれば、住宅ローンの金利が1%以下で借りている割合が78.1%であり、「ローン残高の1%」という住宅ローン控除の妥当性が問題視されています。

実際のところ金利低下により、変動金利で住宅ローンを借りると0.5%前後のところが多く、1%分の税金が戻ってきた場合には、その差額分が儲かっているという逆ザヤ現象が起きています。

たとえば一般住宅を購入し、0.5%の金利で3000万円借入をして、35年元利均等返済で返済した場合には、支払利息は1年目から10年目までの合計は130万2223円ですが、住宅ローン控除で戻ってくる金額は最大256万960円になります。金利分より住宅ローン控除が125万円あまりも大きいことになります。

●住宅ローン控除の「逆ザヤ」のイメージ

そのため、この仕組みが変わる可能性も少なくありません。現に、今回の税制改正では2022年度の税制改正で見直すことが決まっています。見直しの内容としては、控除する額を年末のローン残高の1%かその年に支払った利息の総額の少ない方とする方向で調整が進んでいます。つまり、利息を1%以上支払っていないと、1%の控除は受けられないことになります。控除額が減る(=負担が増える)ため、不利になる人が続出することが予想されます。


住宅ローン控除の見直しが予定されていることを考えると、逆ザヤで繰上返済をしたいと思っている人や住宅ローン控除の戻ってきたお金で支出を考えている人は当てが外れてしまいます。今後住宅ローン控除で戻ってくるお金は、適正な金額に縮減されると考えておいたほうがいいでしょう。

なお、控除率の引き下げについては、すでに適用を受けている人は対象にはならない見通しです。住宅ローン控除の制度自体が大きく見直されるタイミングなので、もしかすると2021年はマイホームを購入しようと考えている人にとって、住宅ローン控除の恩恵が受けられる最後の年になるかもしれません。

池田 幸代 株式会社ブリエ 代表取締役 本気の家計プロ®

証券会社に勤務後、結婚。長年の土地問題を解決したいという思いから、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)を取得。不動産賃貸業経営。「お客様の夢と希望とともに」をキャッチフレーズに2016年に会社設立。福岡を中心に活動中。FP Cafe登録パートナー

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