18/06/21
税金を減らしてお金を増やすキーワードは「所得控除」にあり
この記事は2016年7月に出版された『税金を減らしてお金持ちになるすごい!方法』(河出書房新社)からの内容を抜粋したものになります。
※以下、書籍より抜粋
「源泉徴収票」をきちんとチェックしてみよう
年末になると、会社から源泉徴収票が渡されます。見てみると、たった一枚の紙切れに、さまざまな情報が記載されていることはわかりますが、肝心の「読み方」がわからないという人が少なくありません。
源泉徴収票には、1年間に会社から支払われた給与、そして、社会保険料、所得税などの総額が記載されています。源泉徴収票を受け取ったら、まず、自分がどれだけ税金を支払っているのかを確認しましょう。
所得税は「収入ではなく、さまざまな控除額を差し引いた金額」に対してかかります。会社員に支払われる給与において控除されるのは、基礎控除、社会保険料控除、扶養控除、配偶者控除、住宅借入金等特別控除(ローンを借りた初年度は確定申告が必要)などです。万が一、申告し忘れたものがあれば、会社員でも確定申告をすることにより、払いすぎた税金が還付されるので、覚えておきましょう。
具体的な源泉徴収票の項目について、どこに何が記載されているのかを知っておくことも大切です。
住所と氏名は「支払いを受ける者」の欄に記載されています。「種別」には給与など支払われたお金の種類、「支払金額」には1月~ 12月までに支払われた、または支払われる予定の給与の総額が記載されています。
この「支払金額」は手取りではなく、税金や社会保険料が引かれる前の「額面の金額」です。1年の途中で転職した場合は、以前に勤めていた会社からの給与も含まれています。
そして、「給与所得控除後の金額」が、給与から必要経費にあたる給与所得控除額を差し引いた金額。「所得控除の額の合計」が社会保険料や配偶者控除、扶養控除などの合計金額となります。支払った所得税は「源泉徴収税額」で確認することができます。
税負担を軽くする「14の所得控除」をチェック!
所得税は、1月1日から12月31日までの暦年の所得に対して課税されます。といっても、1年間の収入の金額から、そのまま所得税の額を計算するわけではありません。
簡単に説明すると、まず、収入から「その収入を得るために使った費用」などを差し引いて「所得金額」を計算します。
つぎに、その人や家族の状況、あるいは災害や病気などを考慮した14種類の「所得控除」を引いて、「課税所得金額」を求めます。この課税所得金額に所得税率を掛けて、所得税が求められるのです。
所得控除とは、本人や家族の状況、災害や病気といった個人の事情によって、税の負担を軽くする制度です。内容を理解して、受けられるものは漏れなく受けるようにしましょう。
所得控除は全部で14種類。まず、所得が少ない人に重い税負担がかからないよう、課税最低限を保障するものとして「基礎控除」「配偶者控除(または配偶者特別控除)」「扶養控除」があります。
つぎに、個人の事情を考慮して税負担を軽くするものとして、「障害者控除」「寡婦控除」「寡夫控除」「勤労学生控除」があります。障害者控除は、本人または配偶者、扶養親族が該当する場合に受けることができ、それ以外の控除は、本人が該当する場合に加算されるものです。
さらに、社会政策上の必要性から「社会保険料控除」「小規模企業共済等掛金控除」「生命保険料控除」「地震保険料控除」「寄附金控除」があり、病気になったり被災したりした人の税負担を軽くする「医療費控除」「雑ざつ損そん控除」もあります。
そして、所得控除を差し引いて税額を計算したあと、さらに税額そのものからマイナスできるものがあります。これを「税額控除」といいます。
所得控除の場合、所得から控除額を差し引き、その額に所得税率を掛けた額が節税額となります。いっぽう、税額控除は、控除額をそのまま所得税から差し引くことができます。
たとえば、住宅ローンを組んでマイホームを購入した場合、所得税が軽減されます。控除額は、居住を開始した年や控除を受ける年によって異なりますが、住宅ローンの年末残高に対して、一定割合の税額控除を原則10年にわたって受けることができます。住宅ローン控除額が10万円なら、所得税を直接10万円分減らすことができるのです。
『税金を減らしてお金持ちになるすごい!方法』
頼藤太希・高山一恵 著
多くの人にとって、税金は「納めている」とか「払わされている」というイメージが強く、「税金を減らして、お金を貯める」イメージは、なかなか湧きにくいもの。
「自分で支払った税金を取り戻す、または支払う予定の税金を少なくする」
たったこれだけのシンプルなことを行なうだけで、何百万円ものお金が貯まる。
本書では、税金を味方につけることでお金を増やす、目からウロコの運用術をわかりやすく解説。
【税金を減らしてお金持ちになるシリーズ】
・第1回「税金を減らしてお金を増やすキーワードは「所得控除」にあり」
・第2回「意外と申請し忘れがちな「扶養控除」を活用して税金を取り戻す」
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頼藤 太希 マネーコンサルタント
(株)Money&You代表取締役。中央大学商学部客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に現会社を創業し現職へ。ニュースメディア「Mocha(モカ)」、YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」、書籍、講演などを通じて鮮度の高いお金の情報を日々発信している。『はじめての新NISA&iDeCo』(成美堂出版)、『定年後ずっと困らないお金の話』(大和書房)、『マンガと図解 はじめての資産運用』(宝島社)、など書籍100冊、累計170万部超。日本証券アナリスト協会検定会員。宅地建物取引士。ファイナンシャルプランナー(AFP)。日本アクチュアリー会研究会員。X(旧Twitter)→@yorifujitaiki
高山 一恵 ファイナンシャルプランナー
(株)Money&You取締役。一般社団法人不動産投資コンサルティング協会理事。慶應義塾大学卒業。2005年に女性向けFPオフィス、(株)エフピーウーマンを設立。10年間取締役を務めたのち、現職へ。女性向けWebメディア『FP Cafe』『Mocha(モカ)』や登録者1万9000人超のYouTubeチャンネル『Money&YouTV』を運営すると同時に、全国で講演活動、執筆活動、相談業務を行ない、女性の人生に不可欠なお金の知識を伝えている。明るく親しみやすい性格を活かした解説や講演には定評がある。『はじめての新NISA&iDeCo』(成美堂出版)、『マンガと図解 定年前後のお金の教科書』(宝島社)、『11歳から親子で考えるお金の教科書』(日経BP)など書籍100冊、累計170万部超。ファイナンシャルプランナー(CFP®)。1級FP技能士。X(旧Twitter)→@takayamakazue
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