20/05/05
「税金が払えない」と役所に相談するとどんな対応をしてくれる?
税金の納付書などによく「支払いが難しいときは相談してください」などと書かれていますが、なんとなく聞きにくいですよね。そこで今回は、もし相談したらどんな処置をしてくれるのか、相談しなかったらどうなるのかを紹介します。
税金の支払いが苦しいときはどうしたらいいの?
今回の新型コロナウイルス感染症の影響で収入が大幅に減ったなど、国に払う税金の支払いができなくて、さらに次の要件すべてにあてはまるときは、迷わずにすぐに所轄の税務署に相談しましょう。納付期限の6カ月以内に猶予申請書を提出することで、待ってもらえる可能性があります。
●税金の猶予の要件
・税金を一度に払うことで事業の継続や生活の維持が困難になるかもしれない
・納税する気持ちがある
・対象となる税金以外の税金に滞納がない
令和元年分の所得税なら、令和2年4月16日が納付期限でした。つまり10月15日までに猶予申請書を出さないといけません。相談は電話でも受け付けてもらえるので、早めに連絡しましょう。
相談したらどんな対応をしてくれるの?
上の要件すべてにあてはまる場合、原則1年以内の期間に限って「猶予」が認められます。猶予とは、待ってもらえるということなので、税金を払わなくてもいいわけではありませんが、気持ちはずいぶん楽になりますね。また、状況に応じてはさらに1年間猶予される場合もあります。
猶予を受けると、延滞利息のような「延滞税」が軽減されます。さらに猶予の理由が、新型コロナウイルス感染症に関連することが原因なら、原因がわかる必要書類を提出することによって、猶予期間中の延滞税の免除を受けることができるケースもあります。つまり延滞税がかからないということになり、その差は大きな金額となります。
とにかくまずは税務署に電話相談です。
相談せずにほうっておくとどうなるの?
相談せずにほうっておくと、納付する気がないとみなされ、滞納者となります。
滞納者には納付期限を守って納付した人との公平性の観点から「延滞税」という延滞利息がかかります。
令和2年の延滞税率は、法定納期限の翌日から2カ月を経過する日までは年2.6%、法定納期限を2ヵ月経過する日の翌日以降納付日までは年8.9%となっています。
たとえば、本来納付する所得税50万円を、もし猶予申請をせずにほうっておいて、結局11月1日に納付した場合、いくらの延滞税がかかるのでしょうか?
令和元年分の所得税の納付期限(法廷納期限)は、4月16日でした。
【延滞税の計算式】
・法定納期限から2カ月以内分
{50万円×2.6%×(14日+31日+16日)}÷365=2172円
・法定納期限から2カ月後から納付日まで分
{50万円×8.9%×(14日+31日+31日+30日+31日)}÷365=16702円
2,172円+16702円=18800円(100円未満切り捨て)
法廷納期限から2カ月以内の分と、2カ月後以降の分では、延滞税の税率が変わります。2カ月後以降のほうが税率が増えます。ここでは、合計1万8800円もの延滞税を支払うことになりました。
猶予申請をしておけば支払う必要のなかったかもしれないお金です。くやしいですね。
かならず早めに税務署に相談しましょう。
なおこの計算は、申告は4月16日までに終えていて、納付のみ遅れた場合の延滞税です。申告自体ができていない場合は、さらに無申告加算税がかかります。
ただし、申告ができていない原因が新型コロナウイルス感染症に関することであれば、こちらも現在延期の措置がされていますので、税務署に問い合わせてください。
まとめ
今回は国に支払う税金について書きましたが、都道府県や市区町村に払う税金もほぼ同じ扱いになります。また、国民年金保険料なども猶予措置があります。詳細はそれぞれの行政機関で異なるので、早めに問い合わせてみましょう。
国も市区町村も、いままでちゃんと納税義務を果たしていて、納税する気持ちがある人には、事情を察してそれなりの対応をしてくれます。ただ、こちらからアクションを起こさないと自分が困っていることはわかってもらえません。
自分の暮らしを守るために、まずは電話ですぐに相談してほしいです。
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小野 みゆき 中高年女性のお金のホームドクター
社会保険労務士・CFP®・1級DCプランナー
企業で労務、健康・厚生年金保険手続き業務を経験した後、司法書士事務所で不動産・法人・相続登記業務を経験。生命保険・損害保険の代理店と保険会社を経て2014年にレディゴ社会保険労務士・FP事務所を開業。セミナー講師、執筆などを中心に活躍中。
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