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24/07/03

資産運用・経済

日本のタブー一挙暴露~『書いてはいけない -日本経済墜落の真相』 

日本のタブー一挙暴露~『書いてはいけない -日本経済墜落の真相』

日本では言論の自由が憲法で保障されています。そう小学校で習った時にはとてもすばらしいことだと思いましたが、日本における報道の自由度ランキングは、G7の国の中で最下位の世界第70位だと知っていますか。私たちは実際には自由というにはほど遠い、規制の多い国に生きています。
今回は、経済アナリストの森永卓郎さんがステージ4のがん告知を受け、「どうせ死ぬなら、国民に真実を伝えたい」と書き上げた本をご紹介します。メディアが決して触れない3つのタブー、ジャニーズ性加害・財務省のカルト的緊縮財政・日航機123便墜落事故に鋭く切り込み、日本経済失墜の真相について語られています。

外圧に弱い日本のカルト的財務省

ジャニーズの性加害問題は、日本のマスメディアがこれまで取り上げてこなかったために長い間噂の範疇を出ないものでした。イギリスBBCが問題にしたことから世界で大きな話題となり、ようやく被害者の存在にスポットが当てられましたが、日本は外圧に弱く、内側から変わることが難しい国だということが明らかになりました。
経済面では、先進国の中で日本だけがこの30年間に成長できていません。むしろ以前よりも落ち込んでいるように思えます。日本経済凋落の元凶は財政均衡主義を掲げてカルト化した財務省だと指摘した森永さんの著書『ザイム真理教』はベストセラーになりましたが、大手のマスコミは完全にスルーしています。財務省を批判するのはタブーだからです。
経済成長が止まり、国民所得が増えなくても、税務調査という強力な武器を振りかざして増税を続ける財務省。ただ、こうした事態を招いたことへの責任は、政府に不満があっても、デモもせず、投票にも行かずに現状を受け入れる私たち国民にもあります。日本は民主主義国家ですが、声を上げて行動しないといつまでも状況は変わりません。

日航123便はなぜ墜落したのか

1985年8月に起こり、520人の死者を出した日航機123便墜落事故のことをご存じですか。航空事故調査委員会は事故原因を「尾翼に何らかの飛翔体が衝突したため」と報告しました。ただ森永さんは、政府による不都合な真実を隠すためのでっち上げだとして異論を唱えます。彼の推論は、123便の尾翼と衝突したのは国産巡航ミサイルの洋上飛行実験中の自衛隊。ただ自衛隊の民間機攻撃は国を揺るがすほどの大問題になるため、時の政権の指示で123便を撃墜し、証拠をすべて焼き払って揉み消したというものです。
ちょっと、信じるには荒唐無稽な話に思えます。経済評論家が専門外の日航機墜落事故について語ることにも違和感がありますが、この推論が日本経済失速の原因に深く関係するというのが森永さんの見立てです。

日本経済はなぜ失速したのか

彼の推理は続きます。日本政府は日航機墜落事故の原因をボーイング社のチェックミスにした見返りに、アメリカ政府の申し出を受け入れざるを得なくなりました。同年9月のプラザ合意に至ってから日本円対米ドル為替レートは240円から120円に変動して激しい円高不況となり、絶好調だった日本経済は一気に輸出面で苦境を強いられます。さらに翌年の日米半導体協定、1989−90年の日米構造協議で、政府はアメリカに完全追随し半導体のシェアを失いました。その後も深刻な景気後退は続き、1990年のバブル崩壊後から失われた30年という時代に突入して、現在に至ります。これが日航123便の墜落の後に日本が受け入れざるを得なかった経済政策の顛末だと彼は推測します。

真相はわかりません。映画になりそうな大きな話で一読者の理解を越えていますが、日航機事故の翌月にプラザ合意で日本がアメリカに全面追随していることから、流れのつじつまは合います。そこから好景気だった日本経済の長い失墜が始まったため、そのタイミングで何かがあったと考えてもおかしくありません。この本や彼の著書『ザイム真理教』『国民は知らない「食料危機」と「財務省」の不適切な関係』などが飛ぶように売れているのは、やはり思うところがある読者が多いのでしょう。大きなリスクを背負いながらも自分の推理を世に出すことで、マスコミが抱えるタブーの闇に切り込んだ著者の気概を感じます。

物価の高騰や長引く円安などに日々の暮らしは圧迫されるばかりですが、私たちは仕方がないことだとあきらめて受入れがちです。しかし知られていないのをいいことに、タブーの闇の中で人の命や経済が国の交渉のコマとして動かされているとしたら、たまったものではありません。この本を読むと、森永さんのように国民がもっと社会に疑問を持ち、よりよい未来のために真実を知ろうとする意識を持つことの必要さを強く感じます。一人一人の力は小さくても、その力が集まると国も動かせるパワーになれるはず。デモ参加はハードルが高くても、投票ならできそうですね。少しずつ行動することで、これからの日本をタブーの無い風通しのいい社会に変えていきましょう。


書いてはいけない -日本経済墜落の真相

書いてはいけない -日本経済墜落の真相
(フォレスト出版)

小野寺 理香 おのでら りか

読書ブロガー。好きなジャンルは文学、歴史、アート。ふとしたきっかけで出会い、好きになったら長くつきあう……本との巡り合いは人と同じ。時に味わう〝がっかり〟も、読書のおもしろさのひとつです。ここでは、よりすぐりのすてきな本をお届けします。
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