19/04/16
バブル、家なき子、セクハラ、人生100年…ドラマのような激動を見せた平成の日本経済を振り返ってみた
新元号が発表され、「令和」という新しい時代の到来に一喜した4月1日。それと同時に、平成という時代が終わりを迎えつつあります。
今回は、私たちが生きてきた「平成」が、どのような時代であったのかを振り返ってみたいと思います。
女性の勇気ある行動がスタートした「平成の幕開け」
20~30歳代の読者が多い本サイトですのであえて取り上げたいと思いますが、平成元年(1989年)の流行語大賞は、「セクシャル・ハラスメント」でした。
男女雇用均等法が制定されてからまだ4年後のことのことです。今では職場で女性が活躍するのも、各ハラスメント行為にNOと声を上げることも当たり前の時代になりましたが、「ハラスメント」という言葉が世間に知られるようになったのは、平成元年でした。
そして、平成4(1992)年4月に国内で初めて「セクハラに関する賠償」を求めて裁判が起こりました(福岡セクシャル・ハラスメント事件)。
平成の幕開けは、女性が社会に対して異議を唱えた最初の時代でもあったのですね。
同じく平成4(1992)年は、今では耳馴れした言葉である「人生100年」を、いち早く経験されていた100歳の双子姉妹「きんさんぎんさん」が流行しました。翌平成5(1993)年には日本で初めてサッカーのプロリーグ「Jリーグ」が発足しました。
さらに翌年、平成6(1994)年にはドラマ・映画で「家なき子」が大流行。「同情するなら金をくれ」という台詞は、みなさんも覚えていることでしょう。
ドラマのような激動を見せた日本経済
平成の日本経済も、まさにドラマだったと言えます。
平成元年はバブル景気まっただなか。日経平均株価も上昇し、平成元年末には日経平均史上最高値3万8957円44銭をつけました。これはいまだに記録として残っています。
しかし翌年年明けと同時にバブルが崩壊し、わずか1年で日経平均は約40%下落しました。
とはいえ日経平均が下落した後、すぐに日本経済が冷え切ったわけではありませんでした。多くの見解では平成4(1992)年あたりまでは好景気で、国内消費もしっかりとしていたとみられています。
たとえば、消費者の物価上昇に対する意識を調査した内閣府『「物価の見通し」調査』では、消費者に、今後物価が高くなると思うかどうかを質問しています。それに対し、平成4(1992)年12月の調査までは、「高くなる」「やや高くなる」とした回答が合計60%以上あります。物価の上昇は、巡り巡って景気がよくなることにつながると考えられます。景気の拡大を信じる人も多かったのですね。
しかしその後、当時四大証券会社の一つであった山一證券が倒産し、三洋証券、北海道拓殖銀行と続く「金融機関の破たん」という最悪のシナリオが、日本中に経済的不安を広めました。
世紀をまたいだ平成13(2001)年、米国で同時多発テロが発生。米国のみならず日本の金融市場も、政治的リスクから一気に冷え込みました。記憶に残っている方も多いでしょう。
その後、平成18(2006)年の日銀の量的緩和政策で株価は一時回復しますが、平成20(2008)年9月、今度は米国の証券会社リーマンブラザーズの破たんにより一気に下落。同年10月にはバブル崩壊後の最安値、日経平均6994円90銭を記録しました。これが「リーマンショック」です。
「令和」が明るい時代でありますように
平成はバブル絶頂とその崩壊とともに始まり、約20年の間「株安・デフレ」の波が引くことはありませんでした。俗に「失われた20年」と言われますが、これは平成の厳しい経済環境のことを指しているのです。
いわゆるアベノミクス以降、日経平均株価は回復し2万円台となっていますが、いずれマイナス金利政策の終焉が来るとき、株価や景気がどのように動くのか、私たちは注意深く見守る必要がありそうです。
とはいえ新しい時代の幕開け、改元とともに、経済も景気も明るい時代を期待したいものです。「令和」が日本にとって、世界にとって、平和で幸せに満ちた時代になることを、筆者は祈ります。
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佐々木 愛子 ファイナンシャルプランナー(AFP)、証券外務員Ⅰ種
国内外の保険会社で8年以上営業、証券IFAを経験後、リーマンショック後の超低金利時代、リテール営業を中心に500世帯以上と契約を結ぶ。FPとして10代のうちから金融、経済について学ぶ大切さを訴え活動中。
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