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19/04/14

相続・税金・年金

参議院選挙、消費税増税、米中貿易摩擦…2019年度の資産運用戦略。傾向と対策は?

新元号が令和(れいわ)に決まり、5月1日に改元を迎えます。新しい時代への期待がふくらみますね。
そんな新しい時代、資産運用を取り巻く環境はどうなるのでしょうか。今回は、2019年度の主な経済イベントや、資産運用にあたっての傾向・対策について紹介します。

新元号への改元:すでに織り込み済み?

改元で直接恩恵を受けるのは印刷会社や印鑑会社でしょう。昭和から平成に変わったときもこれらの会社の売上・利益が伸びたといいます。今は当時と違ってペーパーレス化が進んだとはいえ、印刷物がなくなったわけではありません。これまで平成と書いていたものを令和に直す必要がありますから、そのための印刷や印鑑などの需要が増えるというわけです。
また、間接的ではありますが、改元婚・改元ベビーを目指した結婚や出産なども増える可能性があります。これらに関わる会社は、ある程度の売上増、株価上昇が見込めます。

ただ、今回は事前に改元することがわかっていましたので、すでに株価に織り込まれている可能性も。個人的には、株価はそれほど変わらないのではないかと思います。

参議院選挙:選挙による相場の変動は少なそう

政治の動向も、当面は市場にそれほど大きな影響を与えないと考えます。
筆者は政治の専門家ではありませんが、先だって行われた地方統一選挙の結果からすると、7月の参議院選挙後も自民党の長期政権が続くと考えるのが一般的な見方だと思います。
もちろん、大勝なのか接戦なのかによって、多少の違いはあると思います。しかし、次に説明する消費税の増税は既定路線ですし、為替も長期的な円安トレンドを描くとみていいと思います。

なお、大きな選挙があるときには、選挙関連機材の製造・販売会社やリサーチ会社などが盛り上がる傾向がありますので、おさえておくといいでしょう。

消費税の増税・オリンピック:景気悪化のリスクに備えたい

10月には消費税の税率が10%に上昇する予定です。
過去2回増税を延期した背景には、景気悪化の懸念がありました。今回、政府は軽減税率やポイント還元、プレミアム商品券の発行などによって増税をソフトランディングさせようとしていますが、それらの施策によって景気の減速をどこまでおさえられるのかは未知数です。もし、景気が悪化するようであれば株価下落・円高となります。

こうした動きに備える資産運用先として有力なのが、FX(外国為替証拠金取引)です。
FXでは、異なる2つの通貨を売買して、為替レートの値動きによる利益を狙います。これから円高になりそうならば、外国の通貨を売って円を買う取引をすると、思惑通りに円高になったときに利益が出ます。逆に円安になりそうならば、外国の通貨を買って日本円を売る取引をすることで、円安になったときに利益が出ます。つまり、どちらに動いても対応できるというわけです。

また、金も投資先として有力です。金は昔から「有事の金」などと言われ、市場が不安定になったときに買われてきました。
消費税の観点からもおもしろい投資先です。金は買う人が消費税を支払うルールなので、消費税8%のときに買って10%のときに売れば、差額の2%分が儲かるというわけです。もちろん金の価格も上下しますので、必ず利益が出るとは限りませんが、狙える方は狙ってみるのもいいでしょう。

2020年はいよいよオリンピックイヤー。盛り上がりに期待したいところではありますが、オリンピック終了後の景気減速も心配されています。そんなときにもFXや金は有効な投資手段になりえるでしょう。

海外の政治動向:世界的な株安・円高も想定すべき

おそらく、今もっとも不確実な要素はブレグジット(イギリスのEU離脱)でしょう。当初離脱予定だった2019年3月29日を過ぎましたが、離脱は延期されています。今後仮にイギリスがEUから離脱すれば、リスク回避の急激な円高が考えられます。株価も連動して下がるでしょう。逆に、離脱が回避されれば現状維持、もしくは相場環境が改善するものと見ています。

アメリカの動きも重要です。この数年、金利を引き上げる利上げを繰り返してきましたが、ここにきて減速や一時停止などが取りざたされています。利上げが続くようなら米国株安・ドル高、逆に停止するなら米国株高・ドル安となるでしょう。
また、米中貿易摩擦についても、改善されるなら円安・株高となり、悪化するようならば円高・株安となるでしょう。

さらに、市場では約10年に1度の頻度で何らかのショックが起きており、それによって下落相場と上昇相場のサイクルが描かれていると言われています。これを「株式相場10年・1サイクル論」といいます。

近年の相場に起こったアメリカ発のショックを振り返ってみると、
・1987年 ブラックマンデー
・1998年 LTCMの破たん
・2008年 リーマン・ショック
という具合です。いずれも、世界中を巻き込む景気の減速が見られました。

このサイクル論にのっとるとすると、そろそろ何かショックといえるような事態が起きることも否定できません。世界的な株安や円高を想定しておくべきでしょう。

健全な資産運用をするには、国内・国外にかかわらず、社会の動きを押さえておくことが大切。日々のニュースに目を通すようにしましょう!

頼藤 太希 マネーコンサルタント

(株)Money&You代表取締役。中央大学商学部客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に現会社を創業し現職へ。ニュースメディア「Mocha(モカ)」、YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」、書籍、講演などを通じて鮮度の高いお金の情報を日々発信している。『はじめての新NISA&iDeCo』(成美堂出版)、『定年後ずっと困らないお金の話』(大和書房)、『マンガと図解 はじめての資産運用』(宝島社)、など書籍100冊、累計170万部超。日本証券アナリスト協会検定会員。宅地建物取引士。ファイナンシャルプランナー(AFP)。日本アクチュアリー会研究会員。X(旧Twitter)→@yorifujitaiki

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