19/04/10
ポイント還元制度・プレミアム付き商品券・軽減税率…政府の消費税増税対策まとめ
消費税増税まであと半年。増税による消費の落ち込みを防止するため、政府は消費税増税時に適用される対策を準備しています。今回は消費税増税対策として発表されている3つの施策についてご紹介します。
消費税増税対策(1)キャッシュレス決済でポイントバック!「ポイント還元制度」
キャッシュレス決済を行った際に適用されるポイント還元制度です。
クレジットカードのほか、電子マネーやQRコード決済もポイント還元の対象です。ポイント還元の対象となる店舗は、中小企業の小売店・中小企業が出店するネット通販・コンビニに限定。これらの対象店舗でキャッシュレス決済を行えば、だれでもポイント還元を受けられます。
ポイント還元の対象となる利用上限額は決済事業者によってそれぞれ設定されます。期間は2019年10月~2020年6月の9ヵ月間です。
気になるポイント還元率は店舗の種類によって異なります。小売店やネット通販は5%、コンビニでは2%の還元率です。後述する「軽減税率」が適用される飲食料品もポイント還元の対象となります。
例えば、対象の小売店で飲食料品をキャッシュレス決済する場合、軽減税率適用後の8%から5%のポイント還元が受けられるので、実質税負担は3%に。お得にお買い物をすることができます。
対象店舗でのキャッシュレス決済であれば基本的にどの商品もポイント還元の対象となりますが、中には例外も。切手・商品券・宝くじ・馬券などの金券類や新築住宅・自動車などの高額商品はポイント還元の対象外です。
〇ポイント還元制度の問題点
筆者のように普段からキャッシュレス決済を行っている人にとってはうれしい制度ですが、高齢者や現金派の人には恩恵が受けにくい制度と言えるでしょう。さらに都市部ほどキャッシュレス化が普及していない地方では、利用できる店舗が少ないという問題もあります。今後どれだけキャッシュレス化が進むかが、本施策のカギになりそうです。
消費税増税対策(2)実質25%OFFで買い物ができる「プレミアム付き商品券」
2015年にも発行された「プレミアム付き商品券」が、消費税増税対策として復活。本施策は前述した「ポイント還元制度」で恩恵を受けにくい低所得者層の救済が目的としています。
プレミアム付き商品券は2019年10月の消費税増税に合わせて各市区町村で発行されます。
プレミアム付き商品券が購入できるのは、住民税の非課税世帯に加えて、9月時点で0〜3歳半までの子供がいる世帯です。
一人当たり額面2万5000円分(負担額は2万円分)が上限。10枚セットの4000円(額面5000円)から購入可能で、最大5セットまで購入できます。つまり、本商品券を利用することで、実質25%OFFで買い物ができるのです。
なお、利用時におつりは出ません。利用可能期間は2019年10月~2020年3月の半年間です。
利用できる店舗は、プレミアム付き商品券が発行された市区町村の小売店です。過疎地域などで利用できる店舗が少ない地方自治体の場合、周辺の自治体の小売店でも使えるようにする例外措置が検討されています。
〇プレミアム付き商品券の問題点
この対策の問題点は、対象となる子育て世帯の線引きです。今回対象から外れた3歳半~大学生の子供がいる世帯でも同様に家計の負担は大きいため、反発が予想されています。
また、プレミアム付き商品券は事前に購入しなければ減税の恩恵を受けられません。対象者に情報が行き届かず期間内に購入できなかったということがないよう、購入場所や購入方法などの周知の徹底が求められます。
消費税増税対策(3)飲食料品や新聞の税率が8%のまま!「軽減税率」
飲食料品(酒・医薬品・外食は対象外)や定期購読の新聞では、軽減税率が適用されます。軽減される税率は2%で、これまでどおりの税率8%に据え置かれます。対象者や対象店舗に制限はなく、どの決済方法も対象となります。利用上限額、適用期間の定めもありません。
飲食料品や新聞は日常生活に欠かせない出費であるため、誰でもどこでも軽減税率が受けられるのは家計にとってありがたいでしょう。
〇軽減税率の問題点
この対策の問題点は、対象となる飲食料品の定義が難しいことです。特に外食(ケータリング・出張料理等含む)かどうかの線引きは複雑です。政府は軽減税率の対象外となる外食の定義を以下のとおりと定めています。
出典:政府広報オンライン。
この定義を踏まえると、宅配・出前やテイクアウトは軽減税率対象の8%、フードコートやファストフード店での店内飲食は外食扱いの10%という線引きになります。
外食扱いとなるかどうかは状況に応じて各店舗で個別の判断が求められるため、準備にあたって店舗側の事務負担増加が懸念されています。せっかく軽減税率が適用されるのに、事務コストの増加に伴い本体価格が値上げされる…といった本末転倒な事態にならないことを消費者としては願うばかりです。
まとめ
筆者の場合、上記3つの対策の中で最も恩恵を受けることができそうなのは「ポイント還元制度」です。「軽減税率」と併用して最大7%の消費税減税を受けるために、「飲食料品は中小企業の小売店を利用しよう」「近所の小売店で飲食料品が買えるところってどこかな?」などお得に買い物をする方法を思案しています。
各対策とも具体的な内容については検討中の部分がまだまだあります。増税のタイミングでスムーズにこれらの恩恵が受けられるよう、最新動向をチェックしておきましょう。
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鈴木靖子 ファイナンシャルプランナー(AFP)、2級DCプランナー(企業年金総合プランナー)
銀行の財務企画や金融機関向けコンサルティングサービスに10年以上従事。企業のお金に関する業務に携わるなか、その経験を個人の生活にも活かしたいという思いからFP資格を取得。現在は金融商品を売らない独立系FPとして執筆や相談業務を中心に活動中。
HP:https://yacco-labo.com
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