24/05/03
相手の心を掴むビジネス雑談~世界の一流は「雑談」で何を話しているのか
「今日はいい天気ですね」「外は爽やかですね」など、仕事相手と商談を始める前にはちょっとした雑談を交わすのが常ですね。天候や話題のトレンドといった当たりさわりのない話題で少し場を温めてから本題に入るのが、私たち日本人のお決まりのビジネスの進め方です。
どの国でも同じような雑談から仕事の話を始めるものと思っていましたが、海外では全く違うようです。世界の一流ビジネスパーソンは、仕事前の軽い雑談タイムも成果を上げるための場として戦略的にフル活用しているのだとか。そうした人からすれば、商談前なのにビジネスと関係ない簡単な話題しかしない日本の会社員は、無駄な時間を過ごしていると思われているのかもしれません。
今回ご紹介する本には、世界のビジネスパーソンがどんな意識をもってどんな雑談をしているのかが紹介されています。著者はモルガンスタンレーを経て、Googleで人事開発や組織改革に従事した経営コンサルタント。雑談のスキルを向上させることで、仕事のクオリティを高めることを意図した一冊です。
世界の一流が雑談の前にやっていること
皆さんは、雑談するための準備をしていますか?「その場で思ったことを話すから事前準備なんて必要ないよ」と答える人が多いでしょう。ところが欧米のビジネスパーソンは、雑談用に時間をかけて相手先の会社のIRレポートを読み、担当者のSNSのチェックなどを行います。成果主義の彼らは、ビジネスがうまく動いていくように相手の情報を徹底的に調べ、どんな情報を求めているのかを知った上で相手に適した雑談をするのです。
その場の気分で話題を選ぶ日本人と違って、世界のビジネスパーソンは具体的に仕事に直結するようなトピックを選び、相手を不快にさせる無遠慮な発言はしないように細心の注意を払っています。たとえばプライベートに無遠慮に踏み込んだり具体的な収入の話をしたりするのはNGです。出身校や職場など、一見問題なさそうなファクトベースの質問も、相手の受け取り方次第で失敗に転ぶこともあるため、話題にするには慎重さが必要です。宗教の話題は避けがちですが、相手を尊重する上ではタブーについてむしろきちんと聞く姿勢が大切。相手に対する気遣いは信頼を失わないための最低限のマナーで、ビジネスを進める上で必要不可欠です。
世界の一流が雑談を通して得たいもの
雑談に互いの警戒を解く効果があるのは日本も世界も共通していますが、その日の空模様や世間話止まりの日本の会社員は、雑談をビジネスの最終的な目標となる成果に繋げることはできません。変化の激しいビジネス環境で良好な信頼関係を構築し、お互いの信頼感を深めて仕事の成果を出すためには戦略が必要です。
日本人がたわいない雑談をしている一方で、世界の一流たちは、雑談を「成果を挙げるためのステップ」とみなしています。彼らにとって雑談はその場限りのものではなく、多様な価値観を持つ人々と理解し合うために必要なもの。自分の考えを相手に伝え、自己開示することで、心理的距離を縮め、互いに信頼し、信用し、尊敬できるラポールを築くのが世界のビジネスパーソンにとっての雑談の目的です。私たちも彼らに見習って、相手が大切にしている価値観や正しいと思う信念、求める希望や期待を、雑談を通して知るように意識することが大切です。
雑談力を身につけよう
世界と日本では、ビジネスでの雑談の目的がまるっきり異なるものだとは知らず、仕事の成功のために雑談前に綿密な準備をするという考えには及びませんでした。世界とのビジネスの進め方の違いには、まさに目からウロコが落ちる思いです。世界の一流がする雑談は相手に関して万全な情報収集を行い、無遠慮なNG発言はせずに相手との関係性を築くためのもの。雑談を上手に活用して着実に成果につなげられる人が一流と言われます。
今後は多様な国の人と働く機会が増えることが予想されます。そこで活躍するためには、世界の感覚を身につけておくことが大切でしょう。雑談はあいさつ代わりの会話ではなく目的を実現するためのチャンスだという世界のビジネスパーソンの雑談への向き合い方を知り、そのスキルを向上することで、仕事のクオリティも高められます。日本人とする雑談は内容がなくてつまらないと思っている海外の人に、仕事に合わせた話題を振れたら話が弾みそうですね。ビジネスでより多くの成果を出したい人は、これから自分の武器として使えるように、雑談力を磨いていきましょう。
世界の一流は「雑談」で何を話しているのか
世界の一流は「雑談」で何を話しているのか
(クロスメディア・パブリッシング)
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小野寺 理香 おのでら りか
読書ブロガー。好きなジャンルは文学、歴史、アート。ふとしたきっかけで出会い、好きになったら長くつきあう……本との巡り合いは人と同じ。時に味わう〝がっかり〟も、読書のおもしろさのひとつです。ここでは、よりすぐりのすてきな本をお届けします。
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