23/09/02
心配事の9割は起こらない~『精神科医Tomyの気にしない力』
まず言いましょう。人生、気にしすぎないのが一番です。それが幸せになれる道ですが、たいていの人はいろいろなことを気にしすぎるあまり、心配事をたくさん抱えこんでしまっています。気持ちがラクになる人生の秘密があったら知りたいですね。
今を見つめて、今のことを考えよう
あなたは過去・現在・未来のどこに視点を置いて過ごしていますか。それによって、時間の質や幸福度は異なるそうです。未来を見つめる人というと前向きな感じがしますが、未来のことが常に頭にある人は、先のことはどうなるかわからないのに、今後起きるかもしれない悪いことをあれこれと気にして、とめどなく不安になっています。
それとは反対に、過去に重点を置く人は「あの時もっとああしておけばよかった」と思い返しては、くよくよと後悔しています。過ぎたことを気にしても、何の解決にもならずにただ自分がつらいだけ。未来と過去に目を向けすぎると、悩みは増えるばかりで生きるのが苦しくなってしまいます。一方、現在を見ている人は、その時問題になっていること以外は気にしないため、今という時間を楽しむことができます。余分に悩むことで気持ちが消耗しないため、現在に重点を置く人は幸せを感じやすいのです。
今を見つめて生きるのがいいのですが、なかなか簡単にはいかないものですよね。しかも気にしやすい人は、考えることがないとわざわざ自分から気にするネタを探しにいきがち。休みの日でも仕事のことが頭から離れずにモヤモヤしながら過ごすため、心が休まりません。気にしない人は、休み中は仕方がないと切り替えて、仕事のことは考えずに休日ならではの行動をするため、リフレッシュできます。心配性の人は、環境ではなく自分自身がその状況を作っているかもしれないことを自覚して、考えすぎずに身体を動かして気分転換するようにしましょう。
他人が気にならなくなる考え方とは
他人が自分を叱咤激励したり慰めたりアドバイスをくれたりするのは、自分のことを考えてくれているからだと思いますよね。もちろんそうでしょう。ただ、相手も人間ですから、時には本心とは違う、単なる気まぐれやお節介でしかないことを言ったりもします。打算や嫉妬による発言もあるでしょう。そんなその場のノリかもしれないことを真に受けて、言われたこと全てに真剣に向き合っていると、すべて消化できずに混乱してしまいます。
ラクに生きられる人は、周りにあれこれ言われても、割り切って参考程度にとどめています。人の言うことは少し距離を置いて聞くほうが、ストレスをためずにいられます。
それでも気になるときはそこから抜け出すセルフケアをしましょう。旅行の予定を立てたり、夢の実現に向けて行動をとったりするなど、ポジティブな目的に取り掛かってみるのが効果的です。気になる心配ごとよりも大きな興味を持てることができれば、それまでがんじがらめになっていた嫌な想像から解放されて、際限のない不安の中から抜け出すことができます。
自分のことを認めよう
周りの意見に従う人は、いつも他人の様子を伺いながら生きています。周囲に自分を合わせるのは大切ですが、肝心な時には自分の意志を通すようにしましょう。相手への配慮や思いやりがあれば、自分の信念を貫くことはわがままにはなりません。わがままとは、相手に迷惑をかけて我を通すこと。自分がどうしたいかを考えて好きなように生きることとは別なのです。
気にしない力の根本に必要なのは、自分軸を持つこと。自分を尊重して認めることが大切です。あるがままでいいと考えて自分の意志を大切にし、自分のペースで生きていければ、「他人からどう思われているか」を気にしなくなり、人生が少しずつラクになっていきます。すぐに変えるのは難しくても、何か選択肢があるときに、人ではなく自分の意見をもとに行動してみるようにしましょう。
本書には、ラクに生きるためのヒントが他にもいろいろと紹介されています。どんどん増えていくばかりの心配事に振り回されてなかなか心が休まらないという人は、この本を読むと気持ちが軽くなるでしょう。オネエ口調の優しい言葉で精神科医ならではの的確な指摘をくれる著者の文章は、読んでいるとほっと安心できます。細かいことは気にせずに晴れやかな気持ちでラクに生きる練習をはじめましょう。
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小野寺 理香 おのでら りか
読書ブロガー。好きなジャンルは文学、歴史、アート。ふとしたきっかけで出会い、好きになったら長くつきあう……本との巡り合いは人と同じ。時に味わう〝がっかり〟も、読書のおもしろさのひとつです。ここでは、よりすぐりのすてきな本をお届けします。
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