23/05/23
読めば仕事人生が激変~「コンサルが『最初の3年間』で学ぶコト」
この春から新しい環境になった人も、そろそろペースがつかめてくる5月。仕事の効果的な進め方について考える余裕が出てきた頃ではないでしょうか。今回は大手コンサルティング会社で活躍し、課長クラスまで昇進した著者が、コンサルタントが習得すべきビジネスの技術や思考法を解説した本を紹介します。
コンサルタントって何をする人?
コンサルタントは、企業が抱える問題を豊富な知識や経験を生かして分析し、解決策を提案する仕事です。求められるスキルは高く、問題分析力、コミュニケーション能力、プレゼン能力、マネジメント能力が欠かせません。企業への責任感や協調性、そして常に自己研鑽やキャリアアップにつとめる姿勢も不可欠で、それらすべてを併せ持つ人でないとコンサルタント業界で生き残るのは難しいのだとか。人気の高い花形職業ですが、仕事はハードです。
企業の問題を解決して成功を勝ち取る彼らの武器は、その優れた思考力。アイディアの質と濃さが問われる、選ばれし有能なエリートたちのようですが、彼らの思考力は生まれつきの才能ではなく習得した技術で、違う業界のビジネスマンにも幅広く応用できる普遍的なスキルだと著者は言います。この本を読んでビジネス思考力を身につけられたらしめたもの。ここでは基本的なスキル・社会人が身に付けたいスキル・ハイレベルなスキルの3つに分けてご紹介します。
基本的なスキル:質問に答えること
まず大切なのは、質問に答えること。えっ、当たり前すぎる!と拍子抜けしますね。ビジネスの基本というより人としての基本的なマナーですが、意外にもこれができていない人は多いのだそう。
たとえば上司に「頼んだ仕事は終わった?」と聞かれた場合、「別の仕事もやっており、そちらに時間がかかっています」と答えるのは間違いです。上司は依頼した業務が完了したかを質問しており、あなたの状況を尋ねているのではありません。仕事が終わっているなら「はい」、終わっていないのなら「いいえ」と答えるのが正解です。問いにきちんと答えることが大切で、質問に関係の無い説明はいりません。簡単なようですが気を付けましょう。
社会人が身に付けたいスキル:アウトプットを生み出す方法
仕事で「~しなさい」とタスクがふってきた時、そのままタスクをするのは何も考えないロボットと同じです。まず論点に戻り、課題点を整理してスケジュールを立て、タスクを実行するプロセスが大切。自分で考えることで目的が明確になり、行動に根拠が生まれ、適切な結果が得られやすくなります。
例えば「野球の練習をしなさい」というタスクが下りてきたとき、やみくもに練習するのではなく、まず「野球が上達するにはどう練習すべきか」という論点に立ちます。さらに「現在はどんな練習メニューか」「どんな練習をすると能力が高められるのか」「競争相手はいるか」など論点を細かく分け、そこから出た課題に対するタスクを改めて設計し、スケジュールを作って実践すると、言われたままタスクを行うよりもずっと効果的にアウトプットを行えます。仕事にこのやり方を応用できれば理想的ですね。
ハイレベルなスキル:限られた情報で考え抜く方法
会社が大きな決断をする際や仕事上の新しい局面で意見を求められるのがコンサルタント。たとえ決断できるほど十分な情報が揃っていなくても、的確な進言をしなくてはなりません。政治家のように「ケースバイケースで何とも言えません」と逃げ道を残す曖昧な回答では仕事は進まないし、コンサルタント失格です。決断すべき立場にいるリーダーにも共通することですが、限られた手持ちの情報の中で考え抜くスキルを磨きましょう。
また、基本的なスキルのところでで登場した、上司の「頼んだ仕事は終わった?」という質問には要注意です。生き馬の目を抜くビジネス世界では、この問いは単なる進捗確認ではなく「仕事の報告が遅い」という不満の表れだそう。こう言われてしまったら、その後いくら完璧なアウトプットをしても上司の高評価は得られません。なにげない問いかけのようですが、本書では「さよならの合図」と表現されています。
コンサルタントの3年間は、一般企業の10年間に匹敵するほど内容が濃いといわれます。本書の、仕事に役立つ思考スキルへのアプローチは、コンサルタント志望者や初心者だけではなく、広くビジネスに携わる人にとって役立つ内容。読むと自分をもっと成長させたくなる一冊です。
コンサルが「最初の3年間」で学ぶコト
【読書ブロガー小野寺理香のブックレビュー】記事
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小野寺 理香 おのでら りか
読書ブロガー。好きなジャンルは文学、歴史、アート。ふとしたきっかけで出会い、好きになったら長くつきあう……本との巡り合いは人と同じ。時に味わう〝がっかり〟も、読書のおもしろさのひとつです。ここでは、よりすぐりのすてきな本をお届けします。
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