22/01/03
【2022年版】お金のプロが教える「最初の100万円」の預け先5選
毎月コツコツ貯蓄して、ようやく貯まった100万円。何に使おうか考えるのは、とても楽しい悩みです。しかし、その100万円が「最初の100万円」なら、使うのはもう少し待ちましょう。
貯蓄のうち、収入の3カ月~6カ月分程度の金額は、何かあった時のために手元に置いておきたいお金です。
では、どこに預けるといいのでしょうか。
生活費口座とは別に、貯蓄口座を作る
貯蓄を続けるコツは、生活費のための口座と、貯蓄のための口座を分けて管理することです。
生活費の口座に残高が多くあると、気持ちが大きくなってつい使い過ぎてしまう経験は、多くの人が持っているのではないでしょうか。
もし、貯蓄用の口座を作らないまま生活費の口座の残高が100万円を超えた、という場合は、できるだけ早く貯蓄用口座に100万円を移しましょう。
貯蓄用の口座は、生活費の口座とは別の金融機関で作ります。
同じ金融機関で普通預金と定期預金、それぞれの口座を開設することもできますが、総合口座扱いだと、普通預金のお金が足りなくなっても定期預金の範囲内でもお金を引き出すことができます。
つまり、定期預金をしていても、その分使ってしまうので実質貯蓄が少なくなってしまうのです。
最初の100万円は、何かあった時に引き出しやすい口座が適していますので、普通預金でもOK。ただし、キャッシュカードは普段持ち歩かず、あくまでも緊急予備資金としてキープしておきましょう。
普通預金でも、金利の高い金融機関を選べばおトクに貯めておけます。
では、具体的にどこに預けるのがおトクなのでしょうか。5つ紹介します。
●最初の100万円の預け先①:あおぞら銀行「BANK」
あおぞら銀行には有人店舗もありますが、インターネット専用の「BANK」で普通預金を開設すると、金利が0.20%です。これは大手都市銀行の普通預金金利の0.001%と比べると、なんと200倍。ゆうちょ銀行のATMならいつでも手数料無料で引き出せます。
口座開設は運転免許証があればアプリでも可能です。思い立ったらさっそく開設するといいでしょう。
他行あて振込や、セブン銀行のATMでの引き出しには手数料がかかりますが、貯蓄用口座なら特に問題ないと思います。
●最初の100万円の預け先②:イオン銀行
イオン銀行では、キャッシュカード・クレジットカード(イオンカード)・電子マネー(WAON)の機能が一体になった、イオンカードセレクトというカードを利用するとおトクです。普通預金の金利が0.01~0.10%まで、利用状況に応じてアップします。また、対象店舗での買物でポイントが多く貯まったり、イオンでのお買物が毎月20・30日は5%オフになったりと、金利以外でもメリットがあるので、イオンをよく利用する人にはおススメです。
貯蓄用口座なので、ここからの支払いはしないほうがいいのですが、公共料金の支払いだけはイオンカードを使う、などのルールを決めて使うと金利アップにもつながりおトクです。
●最初の100万円の預け先③:オリックス銀行eダイレクト預金
オリックス銀行のeダイレクト預金は、インターネット取引専用預金です。普通預金の金利は0.01%ですが、定期預金を選ぶとさらに金利が高くなります。
いつ使うかわからないお金だと、定期預金の期間の設定に迷ってしまいますが、オリックス銀行eダイレクト預金には2週間定期預金(金利0.07%)があります。さらに、1年で0.17%、3年で0.22%、5年で0.25%です。状況に選べて選びましょう。
●最初の100万円の預け先④:ソニー銀行
ソニー銀行の普通預金は金利0.001%で、大手都市銀行と同じです。しかし、定期預金を選ぶと6カ月、1年では0.13%になります。また、Visaデビット付キャッシュカード、Sony Bank WALLETを利用するとキャッシュバックがあるのもうれしいメリット。
キャッシュバックは利用のステージに応じて0.5~2.0%ですが、ステージなしでも0.5%なので普段の買物だけではなく、税金や電気ガス水道代の支払いなどにも利用価値が大きそうです。
●最初の100万円の預け先⑤:個人向け国債
投資にも興味があるなら、個人向け国債もいいでしょう。個人向け国債は元本割れがなく、国が発行しているので安心です。購入できるのは固定金利の3年満期と5年満期、変動金利の10年満期の3種類です。
金利は最低でも0.05%が保障されていて、発行後1年経てば途中換金も可能です。
投資の第一歩に適した金融商品と言えるでしょう。
個人向け国債は郵便局はじめ、銀行や証券会社など各金融機関で取り扱っています。
最初の100万円を2つにわける方法も
最初の100万円は、いざという時に使える緊急予備資金としてキープしておきたいお金です。そこで、現金化しやすく、元本が確保できる預け先が第一選択。そのため、上記のような口座が適しているのです。
ただ、「100万円」は、3~6カ月分の生活費を想定した目安ですから、もっと少なくても大丈夫、あるいはもっと多くないと不安、という場合もあるでしょう。
自分のお金の使い方に合わせて、100万円を60万円にしたり、150万円にしたりして調整しましょう。
では、緊急予備資金がキープできたら、次はどこに預けたらよいでしょうか。
それには、ある程度のリスクをとってリターンを得られる資産運用の考え方を取り入れることがポイント。具体的には、次の3つが始めやすくてオススメです。
●iDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)
iDeCoは、おトクに老後資金を貯められる年金制度。60歳まで引き出せない縛りはありますが、確実に老後資金を準備できるとも考えられます。ゆとりの老後には資金計画は不可欠。
iDeCoは3つの税制優遇で、老後資金準備がしやすくなっています。
① 掛金が全額所得控除
iDeCoは月5000円の掛金から始められますが、この掛金が全額所得控除となり、所得税と住民税が安くなります。
② 運用益が非課税
iDeCoでは投資信託などで運用しますが、運用で得られた利益は非課税です。一般的な金融商品では、20.315%の所得税がかかることに比べると大きなメリットです。
③ 受取時にも税制優遇あり
60歳以降に受け取る際には、退職所得控除が使えるなどの税制優遇があります。2022年5月以降は、65歳まで加入することもできます(国民年金の被保険者の場合)。
ただし、iDeCoは原則として60歳までにお金を受け取ることはできません。掛金は計画的に考える必要があります。
●つみたてNISA(積立ニーサ)
つみたてNISAは、少額からできる、長期・積立・分散投資のための、少額投資非課税制度です。投資には興味があるけれど何から考えたらいいかわからない、という人は、まずはつみたてNISAの口座を開設して、始めてみるのもいいでしょう。
つみたてNISAの特徴は、次のとおりです。
・少額:インターネット証券などでは、100円からでも投資ができます。
・長期:最長20年間、制度が利用できます。
・積立:毎月や毎週など、自分の設定したペースで計画的に積み立てます。
・分散:国内外の株式に広く投資する投資信託や、株式・債券・不動産などにバランスよく投資する投資信託が購入できます。
・非課税:運用して得られた利益は非課税です。
つみたてNISAで購入できる商品は、金融庁の基準をクリアした投資信託とETF(上場株式投資信託)に限定されています。販売手数料が無料、信託報酬が一定水準以下とコストも小さく、投資初心者でも比較的安心して始められる投資のやり方です。
●投資信託
iDeCo、つみたてNISAで投資信託の面白さを知ったら、さらに広くやってみたくなるかもしれませんね。しかし、iDeCoもつみたてNISAも、掛金には上限があります。
iDeCoは、加入している公的年金制度の種類によって、月1万2000円~6万8000円と決められています。
つみたてNISAは、ひとり年間40万円までの投資額が上限です。
ですから、上限を超えてさらに投資信託を購入したいと思ったら、これらの制度の利用はできないことになります。購入できる商品は一気に増えますが、そのかわり、手数料などのコストをチェックし、投資先や投資バランスもしっかり見極めることが必要です。
自分なりの投資スタイルができるまでには試行錯誤もあるでしょうが、面白さも十分味わえるのではないでしょうか。
まとめ
大切なお金を預けるには、できるだけ有利なところを選びたいですね。
それには、金利もポイントですが、その他のメリットにも目を向けて総合的に考えます。普段のお買物でポイントがついたり、キャッシュバックがあったりすれば、今までのクレジットカードよりもおトクかもしれません。
また、将来に向けて投資に関心があるなら、手始めに国債の購入をするのもいいでしょう。
そして、貯蓄習慣ができているなら、毎月の貯蓄用のお金の一部を、積立タイプの投資にまわすのもいいですね。
数ある選択肢のなかから、自分にピッタリの金融商品を見つけてください。
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タケイ 啓子 ファイナンシャルプランナー(AFP)
36歳で離婚し、シングルマザーに。大手生命保険会社に就職をしたが、その後、保険の総合代理店に転職。保険の電話相談業務に従事。43歳の時に乳がんを告知される。治療を経て、現在は治療とお金の相談パートナーとして、相談、執筆業務を中心に活動中。FP Cafe登録パートナー
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