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21/12/28

資産運用・経済

つみたてNISAの運用シミュレーションは間違いが多い? 正しい姿はどうなっているのか

税金を抑えながらコツコツと積立投資できるつみたてNISAが人気です。近年、特に若い人を中心に、口座開設数が急速に増加しています。しかし、ネットや書籍などにあるつみたてNISAの運用シミュレーションの中には、間違っているものも…。今回は、つみたてNISAの正しい運用シミュレーションの姿を紹介します。

投資の利益が非課税になるつみたてNISA

つみたてNISAは、投資で得られた利益にかかる税金が非課税にできる制度です。投資の利益にかかる税金は通常20.315%ですが、つみたてNISAならばゼロにできる、というわけです。税金を引かれずに利益を受け取れるのですから、効率よくお金が増やせます。

●つみたてNISAの概要

著書「はじめてのNISA&iDeCo」より

つみたてNISAは2018年にスタートした制度。金融庁が定めた基準を満たす投資信託やETF(上場投資信託)に毎年40万円まで積立投資ができます。そうして得られた利益を最長20年にわたって非課税にできます。

このことを図で表すと、次のようになります。

●つみたてNISAの非課税期間のイメージ

筆者作成

つみたてNISAの非課税期間は20年間です。ですから、たとえば2018年に投資した40万円は、2037年まで非課税で運用できます。2037年までに売却しない場合は、つみたてNISAの口座から課税口座に資産が移されますが、引き続き運用をすることができます。

同様に、2019年に投資した40万円は2038年まで非課税、2020年に投資した40万円は2039年まで非課税…という具合に、毎年非課税で運用できる期間が1年ずつずれていきます。そうして、2042年に投資した40万円が2061年まで非課税になるところまで続いていきます。

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よくある運用シミュレーション、本当に正しい?

ここまでを踏まえた上で、よくあるつみたてNISAの運用シミュレーションを見てみましょう。下のグラフは、2021年から毎年40万円ずつつみたてNISAで投資し、年3%の運用ができた場合の元本と運用益の合計額を示したものです。

●つみたてNISAのよくある運用シミュレーション例

筆者作成

2021年から2042年までの22年間にわたって40万円ずつ投資をしますので、元本の合計は880万円。投資を続けるうちに、運用益が少しずつ増えて335万円になるので、資産合計は1215万円になりました。一見、なんだか正しそうに見えます。

しかし、思い出してみてください。2042年に投資した40万円は、2061年まで非課税になるのでした。同様に、2041年の40万円は2060年、2040年の40万円は2059年まで非課税という具合に、まだ非課税期間を残しています。にもかかわらず、このグラフはつみたてNISAの非課税期間が2042年までだからなのか、2042年で終わってしまっているのです。
つみたてNISAの運用益を考えるのであれば、非課税期間がすべて終了する2061年まで考えないと、おかしなことになってしまいます。

つみたてNISAの正しい運用シミュレーションは?

では、つみたてNISAの正しい運用シミュレーションを考えてみましょう。先ほどと同じく、2021年から毎年40万円ずつつみたてNISAで投資し、年3%の運用ができた場合の元本と運用益の合計額を示します。ただし、非課税期間が終了しても資産は売却せず、課税口座に移して運用を続けることにします。また、課税口座に移した後の利益には税金がかかります。ここでは簡易的に利回りを税引後の2.39055%(3%×1-0.20315)として試算しています。

●つみたてNISAの正しいシミュレーション例

筆者作成

つみたてNISAで新規に投資できる期間は2042年までですから、元本は880万円のまま変わりません。しかし、2043年以降の運用益が追加されるため、運用益が引き続き増加。2061年時点では1120万円に達する計算です。つまり、元本+運用益の合計は2000万円になります。今回の試算では、すべての非課税期間の運用益と、非課税期間終了後も運用することで得られた運用益によって、資産を2倍以上に増やせることがわかるのです。

これは、今からつみたてNISAをきちんと活用していけば、2000万円ほどの資金を貯められる可能性が高い、ということを表しています。

まとめ

つみたてNISAで新規に投資できる期間は2042年までですが、2042年に投資した分は2061年まで非課税期間が続きます。非課税期間はもちろん、20年経過後に課税口座に資産を移した後も投資を続けることで、2000万円ほどの資金が貯められる可能性があることを紹介しました。

つみたてNISAは、早く始めて長く続けることが大切です。堅実に資産を築くためにも、ぜひ早く行動しましょう。

今回の内容は動画でも紹介しています。よろしければご視聴ください。

頼藤 太希 マネーコンサルタント

(株)Money&You代表取締役。中央大学商学部客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に現会社を創業し現職へ。ニュースメディア「Mocha(モカ)」、YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」、書籍、講演などを通じて鮮度の高いお金の情報を日々発信している。『はじめての新NISA&iDeCo』(成美堂出版)、『定年後ずっと困らないお金の話』(大和書房)、『マンガと図解 はじめての資産運用』(宝島社)、など書籍100冊、累計170万部超。日本証券アナリスト協会検定会員。宅地建物取引士。ファイナンシャルプランナー(AFP)。日本アクチュアリー会研究会員。X(旧Twitter)→@yorifujitaiki

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