21/10/13
「株高」と言われる今からつみたてNISAをスタートしても大丈夫なのか
つみたてNISA(積立ニーサ)は、投資初心者でも比較的安心して投資ができる、おトクな制度です。とはいえ、いつ始めたらよいのか、タイミングに悩む人は少なくありません。
投資で利益を出すには、安く買って高く売ることが基本。株高と言われる今の時期は避けて、株価が下がった頃に始めた方がいいのでは、と考える人もいるでしょう。
しかし、本当にそうなのでしょうか。今回は、株高と言われる今の時期、つみたてNISAを始めるべきかどうか、考えてみたいと思います。
つみたてNISAは安心できるおトクな制度
NISA(ニーサ)は、投資で得られた利益に、税金がかからない制度。「少額投資非課税制度」とも言われます。
通常、投資の利益には20.315%の税金がかかります。そのため、投資で10万円の利益が出ても、税金が差し引かれると手元に残るのは8万円弱。しかしNISAなら10万円を丸ごと受け取れるので、おトクなのです。
とはいえ、利益が出る投資先を選ぶのが難しそう、と考えてしまうかもしれませんね。
その点でも、つみたてNISAはオススメです。つみたてNISAで投資できるのは、金融庁が定めた基準を満たす投資信託・ETF。長期の投資に適した投資先があらかじめ選ばれているので、比較的安心して投資を始めることができるでしょう。
つみたて投資が手堅い理由
しかし、投資をするなら株安の時期がよいとも言われます。安く買って高く売り、差益を得るにはタイミングも大切です。
日本株も日経平均3万円を回復し、米国株もS&P500やNYダウが高値更新というなかで、積立投資・つみたてNISAをスタートしても大丈夫なのでしょうか。
結論から言って、株価が高い時期でもスタートして大丈夫です。
なぜなら、積立てタイプの投資には、ドルコスト平均法によるリスク回避の仕組みがあるからです。
株価が高い時にしてはいけないのは、高額でまとまった金額を一括で投資すること。高値づかみをしてしまうと、利益を上げるのは難しくなりがちです。
しかし、積立てタイプの投資は、毎月や毎週など定期的に一定額ずつ投資を続けるスタイルです。つみたてNISAで投資する投資信託には価格変動があるので、安い時には多く買い、高い時には少なく買うことになります。投資を続けていくと購入額が平均化され、高値づかみのリスクをおさえられます。
これがドルコスト平均法です。
ドルコスト平均法でおトクに投資?!
では、具体的に考えてみましょう。
毎月1万口ずつ同じ量を買う投資方法と、毎月15000円ずつ同じ額を積み立てる投資方法を、6カ月続けた場合の平均を比べてみました。
●基準価額と購入金額・口数の推移
筆者作成
投資信託の基準価額は変動します。たとえば、今回のように変動した場合、毎月1万口購入したときは、合計で9万円投資して6万口購入、1万口あたり1万5000円です。
一方、毎月1万5000円ずつの積立て投資では、合計9万円の投資金額は同じですが、6万5000口購入できていますので、1万口あたり約1万3846円。より有利に購入できていますね。
この表で考えると、最も安い3月や6月に9万円分購入すれば9万口買えるので、さらに有利です。しかし、3月、6月が安かったと分かるのはその時期が過ぎてから。あらかじめ知ることはプロでも難しいのです。
また、1月や5月の高い時期に9万円分購入すると、4万5000口しか買えず、高値づかみとなります。株価が高い時期は「これからもっと高くなるかもしれない」、と考えてしまい、慌てて買ってしまうことがあります。
ドルコスト平均法なら、その時の価格などに一喜一憂せず、コツコツと続けていくことができます。誰にでもできる、有利な投資方法と言えるでしょう。
長期投資でさらにおトク
そして、つみたてNISAによる長期投資はさらにリスクを回避できます。
株価は上昇と下落を繰り返しますが、長い目で見ると経済成長とともに、右肩上がりになっていきます。そのため、1年間程度の短期間で利益が出なくても、コツコツ長期間続けることで着実な利益が見込めるのです。
つみたてNISAの非課税期間は、投資した年から最長20年間。じっくり続けられそうですね。
万が一、急に現金が必要になっても、いつでも引き出せる点も安心です。
ただし、投資できる金額は年間40万円まで。おトクな制度をしっかり活用できるよう、つみたてNISAをスタートしてはいかがでしょうか。
つみたてNISA(積立NISA)おすすめ金融機関3選
つみたてNISA(積立NISA)スタートにぴったりの金融機関をご紹介します。
● SBI証券
・ほとんどの投資信託を網羅。有力商品を選びやすい
・毎日・毎週・毎月・複数日・隔月の5つの購入タイミングを選べる
・SBIハイブリッド預金を使うと入金・出金がスムーズ
● マネックス証券
・取扱商品が100本以上。100円から購入可能
・チャットによる質問対応、パソコン出張サービスなどサポートが充実
・アプリ・パソコンツールが豊富で使いやすさに定評
【関連記事もチェック】
・楽天、SBI、マネックス…3社のつみたてNISA(積立NISA)をお金のプロが徹底比較
・つみたてNISA(積立NISA)とは何?基本の仕組み・メリット・デメリット・注意点をお金のプロが徹底解説
・SBI証券と楽天証券、つみたてNISA・iDeCo・米国株投資をするならどっちがいいのか
・つみたてNISAでよくある3つの勘違い
・つみたてNISAで解約している人は意外と多い! 早期で解約すると被る3つのデメリット
タケイ 啓子 ファイナンシャルプランナー(AFP)
36歳で離婚し、シングルマザーに。大手生命保険会社に就職をしたが、その後、保険の総合代理店に転職。保険の電話相談業務に従事。43歳の時に乳がんを告知される。治療を経て、現在は治療とお金の相談パートナーとして、相談、執筆業務を中心に活動中。FP Cafe登録パートナー
この記事が気に入ったら
いいね!しよう