20/04/30
新型コロナで保険金を割増する保険会社も。生損保、各保険会社の対応をチェック
新型コロナウイルス感染症の感染者が日々増加していく中で「もし自分や家族が感染してしまった場合、保険金はおりるのだろうか?」とお考えの方は多い事でしょう。
新型コロナウイルスは2020年の1月に政令で「指定感染症」として定められ、公的保険でPCR検査費用・入院費が公費負担となることが決定しました。
一方で民間の保険会社の対応はどうなっているのでしょうか?生命保険と損害保険に分けて各保険会社の対応を見ていきましょう。公的保険による感染時の休職中の補償についてもご紹介しますので、ぜひご覧ください。
生命保険会社の対応:休業補償と合わせて医療・生命保険も受け取れる
多くの生命保険会社では、新型コロナウイルス感染症は「疾病」にあたると判断し、医療・生命保険の入院・通院給付金・死亡保険金を給付すると発表しています。
ただ通院給付金は「入院した後○日間支払う」という入院を前提とした保険商品が多く、通院だけでは保険金がおりない場合もありますのでご注意ください。
ライフネット生命やあいおいニッセイ同和損害保険等では、就業不能になった際、休業補償を給付する保険商品も給付の対象としています。たとえばライフネット生命の場合、就業不能の状態が約款に記されている所定の日数(60日または180日)を超えて継続している場合に支給されます。ただし、自宅待機や勤務先の休業では支払い対象となりません。
一方で公的保険では多くのサラリーマンが加入する協会けんぽや自営業・フリーランス等の方向けの国民健康保険等で新型コロナが傷病手当金の支給対象となる事が決定し、収入の約3分の2が給付されることになりました。また通勤により感染したケースや、医療関係者のように仕事が原因で新型コロナウイルスに感染してしまった場合は労災保険が適用となり、休業補償給付金と休業特別支給金が支給されます。
傷病手当金・労災保険共に、勤務先から給料が支払われない場合に支給の対象となります。
傷病手当金と労災保険の併用はできませんが、民間の休業補償の保険金がおりない場合でも公的保険を利用すれば一定の収入は補償されます。
損害保険会社の対応:海外旅行保険や業務災害補償保険が対象
損害保険会社では新型コロナウイルスに罹患した際、「海外旅行保険」「業務災害補償保険」を給付対象としている会社が多いです。
ただし保険会社によって対応は異なります。海外旅行保険は損害保険ジャパンやあいおいニッセイ同和損害保険等、ほとんどの保険会社が給付の対象としています。
一方で業務災害補償保険といういわゆる「民間の労災保険」の場合、あいおいニッセイ同和損保は保険金の給付対象となり、損害保険ジャパンやAIG損保では政府で労災認定を受けた場合という条件付きで給付されます。
店舗が休業になった際の補償は、今まであいおいニッセイ同和損害保険と三井住友海上火災保険が食中毒・特定感染症利益補償特約を付加していた場合に給付の対象としており、他の損害保険会社は補償の対象外としていました。
しかし4月17日に上記の2社と東京海上日動火災保険会社、損害保険ジャパンの4社が感染に伴い休業した店舗の損失補てんを検討している事が明らかになりました。保険の契約を結んでいる飲食店やホテルが対象で、保険金または保険金に準じる「見舞金」を支払う案が浮上しています。(2020年4月21日現在)
地方自治体の休業要請に伴う営業の自粛は補償の対象外となりますが、今後新たな補償が発表される可能性がありますので注視していきましょう。
新型コロナで保険金を割増する保険会社も
保険会社の保険の中には死亡保険に「災害割増特約」という特約がある商品や、災害死亡・高度障害保険といった災害時に特別な補償をする商品があります。
かんぽ生命保険では、感染症などで死亡した場合に保険金を2倍にする制度を設けています。上記のような特約に加入していない場合でも、新型コロナウイルス感染症で死亡した場合、保険金が2倍支払われます。
民間の保険会社では今のところ、日本生命や第一生命が新型コロナで災害割増特約や災害死亡・高度障害保険を支払い対象としています。
また各保険会社は新型コロナウイルスによる経済的影響に伴い、保険料の払込み猶予期間を延長する、契約者が新規に貸付制度を利用した場合利息を免除するといった特別な取り扱いを行っています。
まとめ
新型コロナウイルスは稀に見るパンデミックとなってしまいましたが、金融庁が生命・損害保険会社協会等に柔軟な保険約款を適用し契約者を保護するよう要請したこともあり多くの保険会社が様々な保険金の給付に対応しています。
新型コロナに罹患していない方も、現在加入している保険会社の対応をホームページや担当者を通して確認してみましょう。
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田中あさみ ファイナンシャルプランナー(AFP)
大学の経済学部在学中にファイナンシャルプランナー(AFP)の資格を取得。
卒業後は製薬会社の営業を始め医療系の仕事に携わる。MR認定資格(医薬情報担当者)、簿記3級保有。記事を通し、女性に役立つ情報や金融リテラシー向上を目指しライターとして活動中。田中あさみのブログ
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