16/08/17
届け出だけでお金がもらえる! 国や自治体が用意する給付金制度を活用しよう〜介護 編〜|#5
新築、出産、子育て、ケガ・病気、転職、失業、介護など、私たちが生きていくには、人生の転機となるイベントがたくさんあります。そして、それらのイベントには、切っても切り離せないお金の問題がついて回ります。
こんな時に役立つのが、国や自治体などが用意している給付金(補助金・助成金)です。所定の届け出を提出すればOKです。
今回は、介護を支援する制度をいくつかご紹介いたします。
介護休職をサポート! 「介護休業給付」
家族の介護で一定期間仕事を休まなければならなくなった場合には、雇用保険から「介護休業給付」として一定期間分のお給料の一部が受け取れます。
もらえる金額は、原則として介護のために仕事を休み始めた時点の「賃金日額の40%×休業日数分」となります。
要介護状態になった家族(配偶者、父母、子と同居して扶養状態にある祖父母や兄弟姉妹など)ごとに1回、通算して93日分までが支給されます。
例えば、日給1万円で介護休業を93日間取得した場合、
1万円×40%×93日間=37万2,000円
ただし、家族ひとりごとに適用されるので、何人かの家族の介護休業を一緒にとることはできない点に注意しましょう。
介護休業給付を受けるための要件は、2週間以上にわたり常時、歩行、排泄、食事、入浴および着替えなどの日常行為にサポートが必要な家族を介護し、加えて、介護休業開始前の2年間に賃金支払い基礎日数が11日以上ある月が12ヶ月以上あることなど。
支給の申請手続きは勤務先、もしくは勤務先の事業所を管轄するハローワークで行いましょう。
介護サービスの負担が高額になった時に活用 「高額介護サービス費」
両親が高齢になると介護をする可能性が高まりますが、そんな時に役立つのが公的制度である「介護保険」です。日本では40歳以上のすべての国民が加入し、介護保険料を支払っています。これにより必要に応じた介護サービスが受けられます。
介護保険の加入者は同時に被保険者でもあります。要介護・要支援認定を受けた人(40歳〜64歳の場合は老化による病気にかかっているなどの条件あり)は、訪問介護や施設サービスなどといった介護サービスを自己負担1割(現役並み所得の方は2割)で受けることができます。
ただし、要介護認定には5段階、要支援認定には2段階、計7段階の区分があります。そして、その段階ごとに介護サービスの利用限度額が決められています。この利用限度額を超えてしまった分は自己負担となりますが、実は自己負担の金額にも上限が定められていて、上限を超えた部分を申請すれば、「高額介護サービス費」としてお金を受け取ることができます。
自己負担額の上限は所得に応じて4段階に分かれますが、最低でも1万5,000円(個人)、最高でも4万4,400円(世帯)となっています。高額介護サービス費が適用される場合は、居住地の自治体から申請用紙が自動的に送られてくるので、そこに必要事項を記入して申請すれば手続きは完了です。
介護は心身とともに経済的負担が大きいもの。
ここで紹介した制度を上手く活用してほしいと思います。
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頼藤 太希 マネーコンサルタント
(株)Money&You代表取締役。中央大学商学部客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に現会社を創業し現職へ。日テレ「カズレーザーと学ぶ。」、TBS「情報7daysニュースキャスター」などテレビ・ラジオ出演多数。ニュースメディア「Mocha(モカ)」、YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」運営。「はじめての新NISA&iDeCo」(成美堂出版)、「定年後ずっと困らないお金の話」(大和書房)など書籍100冊、累計180万部超。日本証券アナリスト協会検定会員。宅地建物取引士。ファイナンシャルプランナー(AFP)。日本アクチュアリー会研究会員。X(旧Twitter)→@yorifujitaiki
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