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16/06/14

保険

FPが実例で解説! 病気で会社を休んだらどうなる?

どんなに健康に気をつけていても、かかる時にはかかってしまうのが病気の怖いところ。筆者のお客様である、東京都在住、32歳の会社員のメグミさん(仮名)の場合もそうでした。有機栽培の野菜などを積極的に取り入れるなど、健康には人一倍気をつけていた彼女が、「卵巣のう腫」だと診断されたのは、昨年春のことでした。独身で一人暮らしということもあって心細い中、治療に取り組むことになりました。

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まずは職場に報告して、上司の理解を得ることが大切

卵巣のう腫が見つかったのは、会社の健康診断でした。送られてきた診断結果に、婦人科で再検査をするように書かれていたのです。再検査をするには、会社を休まなくてはならず、忙しい職場に申し出るのは気が引けたとのことでした。
それでも身体が第一と思い直して、直属の上司に健康診断の結果と、検査のための休暇を相談しました。上司も理解をしてくれて、休む日程を調整し、病院の検査予約を入れました。病院は、健康診断の結果と一緒に送られてきた病院リストから選んだということです。「どの病院がいいか、インターネットで見たけどあまりにも情報が多すぎて選びきれなかった」とメグミさんは振り返ります。

診断後は、決めることがたくさん!

検査の結果、卵巣のう腫で手術が必要だと診断されました。卵巣の腫れが2センチくらいであれば経過観察になるケースが多いのですが、メグミさんは10センチにもなっていました。お腹の中で卵巣が破裂したり、ねじれたりするリスクも高く、できるだけ早く入院したほうがいいと医師から説明を受けました。

メグミさんはそれまで入院などしたこともなく、大きな病気も初めてです。
入院は今週中にはしましょう、手術はのう腫が大きいから開腹にしましょうなど、医師から話をされてもなかなか飲み込めませんでした。ともかく、入院の日程は職場と調整をしなくてはいけないので、と即答せずに帰ってきました。これが結果的にはよかったようです。病院で受取った資料を家でゆっくり落ち着いて確認できたからです。

まず、手術は開腹だと聞きましたが、傷口の小さな内視鏡の手術はできないものかとメグミさんは考えました。術後の回復も早く、見た目も傷が目立たないほうがいいからです。でも結局、のう腫が大きいため、開腹手術をすることにしました。
それから、入院は3~7日、その後の自宅療養が3週間程度の見込みだったので、上司に相談をして日程の調整をしました。メグミさんの有給休暇が10日あったので、まずはそちらを利用することになりました。
また、実家のお母様にも報告し、東京に来てもらう必要がありました。入院の保証人、それから手術の時に病院で待機していてもらわなくてはならないからです。ひとりでなんとか乗り切れるかな、と思っていたメグミさんでしたが、意外なところで家族のサポートが必要でした。

療養中でも受け取れる収入は、有給休暇中の給料+傷病手当金+医療保険の給付金

メグミさんは、全部で30日間、会社を休みました。はじめの10日間は有給休暇だったので、休んでもお給料は確保されますが、それ以降は欠勤となるので給料は出ません。けれども、会社員の場合は、健康保険から「傷病手当金」が給付されます。この金額は給料の約3分の2なので、無収入にならない点が安心です。ちなみに、個人事業主やフリーランスの方はこの傷病手当金はもらえません。
傷病手当金は、会社を連続して3日休んだら4日目から給付になるのですが、メグミさんの場合、10日間は有給休暇で休んだので、11日目から傷病手当金が受取れます。14日目からではないことがポイント。
また、メグミさんは医療保険に加入していました。入院前に保険会社に連絡し、給付金請求の書類を取り寄せました。退院時に病院へ書類作成の依頼をすることで、スムースに給付金を受取ることができるからです。入院日額が10,000円、手術で10万円のものだったので、治療費のほとんどを保険給付金でカバーすることができました。

支出を抑える工夫 「高額療養費制度」と「限度額認定証」

メグミさんが入院を勧められたのは月の下旬頃でしたが、いったん保留にして検討し、実際に入院したのは翌月の中旬でした。これが結果的に良い節約になりました。
医療費の自己負担は3割ですが、その自己負担分が1ヶ月間に一定金額以上になれば払い戻される制度があります。これが「高額療養費制度」です。自己負担分に上限額が設定されています。上限額は収入金額で決まりますが、メグミさんの場合は1ヶ月約8万円でした。
そしてこの「1ヶ月間」というのは、暦月といって、月の1日から月末日までの間のことです。
つまり、7月1日~6日の入院費が10万円なら、高額療養費制度に当てはまり、還付がありますが、6月28日~30日の入院費が5万円、7月1日~3日までの入院費が5万円だと還付が受けられないことになります。入院をいつするかも大切なポイントですね。
さらに、限度額認定証をあらかじめ健康保険から発行してもらい、病院に提出しておけば、窓口での支払いが限度額までに抑えることができます。


今では、メグミさんはすっかり健康を取り戻し、毎日元気に会社で仕事をしています。1ヶ月の休みの間に、今まで気付かなかったことをたくさん体験したとのこと。病気になったからこそわかった、職場や家族との人間関係のありがたさや、社会保障制度、自分で備える保険の大切さなど。健康な時にこそ、もしもの時の準備を着実にしておきたいですね。


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タケイ 啓子 ファイナンシャルプランナー(AFP)

36歳で離婚し、シングルマザーに。大手生命保険会社に就職をしたが、その後、保険の総合代理店に転職。保険の電話相談業務に従事。43歳の時に乳がんを告知される。治療を経て、現在は治療とお金の相談パートナーとして、相談、執筆業務を中心に活動中。FP Cafe登録パートナー

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