16/07/11
届け出だけでお金がもらえる! 国や自治体が用意する給付金制度を活用しよう〜ケガ・病気・失業・就職 編〜|#3
新築、出産、子育て、ケガ・病気、転職、失業、介護など、私たちが生きていくには、人生の転機となるイベントがたくさんあります。そして、それらのイベントには、切っても切り離せないお金の問題がついて回ります。
こんな時に役立つのが、国や自治体などが用意している給付金(補助金・助成金)です。所定の届け出を提出すればOKです。
今回は、ケガ・病気、失業、就職などに助かる給付金制度をいくつかご紹介いたします。
業務外の病気やケガで欠勤した時にもらえる「傷病手当金」
ケガや病気をしてしばらく会社を休むことになって困ることと言ったら、収入がなくなること。病気やケガの治療にかかるお金は、民間の保険や貯蓄などからまかなえたとしても、収入がなくなると生活費を払えない事態になりますよね。こんな時に生活を助けてくれるのが「傷病手当金」です。
傷病手当金は、健康保険に加入している人が、「業務外」のケガや病気のせいで連続する3日間を含む4日以上仕事を休んだ場合に健康保険に申請すると受け取れます。ただし、次の条件をすべてクリアする必要があります。
(1) 「業務外」のケガや病気であること
ちなみに、業務内のケガや病気の場合は労災がおります。
(2) 連続する3日間を含めて4日以上仕事を休むこと
ここでいう3日間は「待機期間」と呼びます。傷病手当金は、この待機期間を過ぎた4日目から受け取ることができます。途中で出勤するなどして、待機期間を連続3日間とっていないと、支給されませんので、注意が必要です。
(3) 会社から給与が出ていないこと
傷病手当金は給与のないまたは少ない分を補てんするための給付金制度ですので、給与をもらっている場合は、もらえません。また、給与が傷病手当金の金額余地少ない場合は、給与と傷病手当金の差額が受け取れます。
傷病手当金の1日あたりの金額は標準報酬日額(標準報酬月額を30で割った数値)の3分の2です。標準報酬日額が10,000円の人の場合、1日あたり約6,666円が受け取れます。
申請は加入している健康保険の組合・協会に対して行います。ホームページなどで申請書をダウンロードして記入して、会社と医者の証明を受けた上で会社経由にて申請します。
失業や再就職した時にもらえる「失業給付」「再就職手当」
会社員が加入する「雇用保険」。会社を退職して、次の仕事先を探す際に、この雇用保険から「失業給付」を受け取れます。正式名称は、「雇用保険の基本手当」と言います。これによって、生活に不安を覚えることなく就職活動ができるということです。
失業給付を受けるには、自己都合で離職した場合は、離職の日以前の2年間に、月11日以上働いた月が12か月以上あることが必要です。会社都合で離職した場合は、離職の日以前の1年間に6か月以上の被保険者期間があれば受け取れます。
また、就職の意思があることも必要になります。失業給付を受け取るにあたり、ハローワークに求職票と前職の離職票を提出し、就職活動を行う必要があります。すぐに就職したくてもできない場合にもらえるのが「失業給付」なのです。
失業の認定は、会社都合の離職の場合は、原則として手続きしてから7日後。自己都合の場合は、3か月の待機期間+7日後です。
給付金の金額は、基本手当日額と呼ばれますが、離職前6か月のボーナスを除く賃金の合計を180で割った「賃金日額」をもとに計算されます。また、所定給付日数も年齢や離職理由によって変わります。
失業給付を受け取っている時に再就職が決まると、「再就職手当」を受け取ることができます。これは早期の再就職を促すためにある制度です。再就職する日の前日までの失業給付の所定給付日数が総給付日数の3分の2以上あれば支給残日数×基本手当日額×60%、3分の1以上あれば支給残日数×基本手当日額×50%の金額を受け取れます。
最後に再就職手当の申請についてですが、就職した日の翌日から1か月以内に行わなければもらえませんので注意が必要です。
ここで紹介している給付金制度は、自分で行動することが大切です。面倒くさがらずにぜひ手続きしましょう。
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・#3 | 〜ケガ・病気・失業・就職 編〜
・#4 | 〜スキルアップ 編〜
・#5 | 〜介護 編〜
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頼藤 太希 マネーコンサルタント
(株)Money&You代表取締役。中央大学商学部客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に現会社を創業し現職へ。ニュースメディア「Mocha(モカ)」、YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」、書籍、講演などを通じて鮮度の高いお金の情報を日々発信している。『はじめての新NISA&iDeCo』(成美堂出版)、『定年後ずっと困らないお金の話』(大和書房)、『マンガと図解 はじめての資産運用』(宝島社)、など書籍100冊、累計170万部超。日本証券アナリスト協会検定会員。宅地建物取引士。ファイナンシャルプランナー(AFP)。日本アクチュアリー会研究会員。X(旧Twitter)→@yorifujitaiki
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