18/02/07
家計が苦しい時に奨学金返済負担を軽くする3つの方法
学生時代に受けていた奨学金、社会人になるといよいよ奨学金の返済がスタートします。返済が始まったものの、返済期間が長いことや奨学金を返済するのが苦しい時もあることでしょう。
収入が減った、親族の生活費を援助することになった、自分や家族の医療費負担が大きかったなど生活環境に変化があった方は必見です。奨学金の減額や、返済期限を猶予できる可能性があります。
今回は、家計が苦しい時に奨学金返済負担を軽くする3つの方法を解説します。
そもそも奨学金とは? 奨学金は3つ種類がある
日本学生支援機構が実施する奨学金の種類は、主に「給付奨学金」「第一種奨学金」「第二種奨学金」の3つに分かれています。
申込時にハードルが高いのが「給付奨学金」で、これは返済しなくてもよい奨学金です。第一種奨学金」「第二種奨学金」は返済する必要がある奨学金です。利息の有無により第一種、第二種があります。返済に関する比較表は次の通りです。
奨学金返済負担を軽くする3つの方法(1) 繰り上げ返済
1つ目は、「繰り上げ返済」です。手持ち資金があり、毎月の返済ストレスを軽くしたい方は利用するのも一つの手です。
返済が済んでいない金額のうち、全部または一部を繰り上げて返済します。利息がつく第二種奨学金は、繰り上げた部分の利息負担が軽減されますので、返済総額は当初の金額より少なくなります。
どちらも、毎月返済に充てられていた部分が少なくなるので、返済ストレスも軽減されます。
奨学金返済負担を軽くする3つの方法(2) 減額返済
2つ目は、「減額返済」です。収入が減った場合、親に生活費を援助している場合、思った以上に医療費がかかった場合などで、奨学金の返済が負担になっている方は利用するのも一つの手です。
当初の契約では返済負担が大きいけれど、減額すれば返済が続けられるときにオススメです。ただし、奨学金返済の減額には経済的に困難な理由などが必要です。会社勤めの場合だと給与収入が300万円という基準がありましたが、平成26年4月にその基準が緩和されています。給与収入から特別な支出を控除した金額が300万円という基準になりました。
特別な支出と控除額は次の通りです。
(1) 扶養者一人当たり38万円
(2) 親や親族への生活費援助 1世帯につき38万円
(3) 本人または扶養者の医療費 年間一人当たり96万円まで(療養期間6か月以上の傷病にかかる医療費に限る)
どれくらい減額できるかというと、毎月の奨学金返済額を2分の1まで減額する方法と、毎月の奨学金返済額を3分の1まで減額する方法のどちらかを選択することができます。例えば、毎月20,000円返済していた場合、10,000円に。
減額した分、返済が完了するまでの期間は奨学金返済を減額したときから2倍に延長されます。返済総額は第一種奨学金も第二種奨学金もともに減額前と同じです。なお、15年まで延長可能です。返済期間が延長されても利息負担は変わらないので、安心して利用できますね。
奨学金返済負担を軽くする3つの方法(3) 返済期限の猶予
3つ目は、「返済期限の猶予」です。返済が難しく、返済を一定期間ストップしたい方は、利用するのも一つの手です。
収入が減った場合、親に生活費を援助している場合、思った以上に医療費がかかったなどの理由のため返済負担がかなり大きい場合、返済期限を猶予してもらうことができます。
猶予期間は10年が限度です。嬉しいことに、猶予期間中は無利息です。第一種奨学金も第二種奨学金も返済総額は当初の金額と同じになります。
まとめ
奨学金の返済総額としては、当初の支払総額よりも少なくなる繰り上げ返済以外は、当初の支払総額と同じです。返済方法が変わっても当初の支払総額より増えることないというのは心強いですね。お借りした奨学金返済を計画的に、無理なく行うため、ご自身に合った方法を選択してください。
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山田 香織 中小企業診断士、 1級ファイナンシャル・プランニング技能士
FP歴10年。会計事務所で11年間、経営・税務相談業務を経験した後、FP事務所を開業。
個人から中小企業者まで経営に関する相談実績がある。現在は、会計・税務の経験を活かして、家計・経営相談を受ける。執筆活動も積極的に行う。
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