21/05/05
一人暮らししながら月10万円貯めるなら、収入はいくら必要なのか
新年度を機に、一人暮らしをスタートさせた人も多いのではないでしょうか。
一人暮らしのやりくりは、自分の裁量ひとつで決まります。月10万円の貯蓄を続けるためには、収入はいくら必要なのでしょうか。
今回は、貯蓄と生活費から、必要な収入を逆算して考えてみます。
生活費は、どこに住むかで大きく違う
一人暮らしの生活費はいくらかかるのでしょうか。
もちろん、生活費は人によって大きく異なります。食にこだわれば食費が多くなりますし、趣味のお金は出し惜しみたくないと考えれば教養娯楽費が増えます。
さらに、そうした個人の暮らし方だけではなく、どこに住むかによっても大きな違いがあります。
そこで今回は、首都圏と中規模の都市、さらに規模の小さい都市に分けて、生活費の傾向を調べました。消費支出は総務省「家計調査」(2020年)を元にしましたが、家賃は一人暮らしの賃貸の方を前提とするため、公益財団法人不動産流通推進センター「2020不動産業統計集(9月期改訂」などのデータを利用しました。
地域によって異なる生活費をふまえると、必要になる収入にも違いが出てきます。
首都圏では手取り収入31万2000円
首都圏では、収入の基準が高くなりますが支出も多くなりがちです。データから、支出の平均値を見てみましょう。
●首都圏の単身世帯の支出平均の目安(1カ月)
※金額は1000円未満を四捨五入
総務省「家計調査」(2020年)、公益財団法人不動産流通推進センター「2020不動産業統計集(9月期改定)」より作成
平均的に考えると、支出の合計が21万2000円なので、貯蓄10万円をプラスすると、合計で31万2000円の手取り収入が必要になる計算です。
しかし、この数字はあくまで平均です。自分なりに節約できる項目があれば、支出を見直して貯蓄にさらに回すことも可能です。
首都圏では、食費、被服及び履物が他地域より高くなりがちです。
食費はテイクアウトもいいですが、自炊を基本にすると節約につながります。また、衣類はフリマサイトなどを利用するのも一案です。
中都市では手取り収入30万3000円
中都市は、人口10万人以上50万人未満の都市です。首都圏近郊など、いわゆるベッドタウンと言われる都市が多くあります。
家賃や食費など、首都圏よりも支出を抑えやすいこともあって人気です。
●中都市の単身世帯の支出平均の目安(1カ月)
※金額は1000円未満を四捨五入
総務省「家計調査」(2020年)より作成
支出の合計が20万3000円なので、貯蓄10万円をプラスすると、合計で30万3000円の手取り収入が必要になる計算です。
大都市圏と比べると、家賃や食費は安くなりますが、光熱・水道や交通費が高くなる傾向にあります。理由としては、在宅時間が長いことや、首都圏との温度差、自動車の保有率の差が考えられます。
光熱費の節約には、断熱効果のあるカーテンを使ったり、節電効果の高い家電に買換えたりすることも有効。自動車の利用が毎日でないようなら、レンタカーやシェアリングサービスの利用を検討してもいいでしょう。
小都市では手取り収入29万3000円
小都市は人口10万人未満の都市です。家賃などの支出は抑えられますが、移動の手段として自家用車が必要になる地域が多く、そのための支出がかかります。
●小都市の単身世帯の支出平均の目安(1カ月)
※金額は1000円未満を四捨五入
総務省「家計調査」2020年より作成
支出の合計が19万3000円なので、貯蓄10万円をプラスすると、合計で29万3000円の手取り収入が必要になる計算です。
他地域より、さらに家賃や食費が安くなり、生活の基本的な支出を抑えることが可能ですが、自動車関連費用がかかるため、節約をするなら自動車の保有、利用について考えてみるといいでしょう。
自動車を保有していると、ガソリン代以外にも保険や税金など、自動車以外のお金も維持費としてかかります。駐車場代がかかるようなら、その分も考えなくてはなりません。
レンタカーやシェアリングサービスは、乗る時だけの保険に加入できますので、全体的な節約につながります。
小都市では、給料の基準が首都圏と比べると安くなりがちなため、収支で考えると住む地域によるゆとり度合いにはあまり差が感じられませんでした。
しかし、コロナ禍をきっかけにリモートワークが広がりを見せています。勤務先は首都圏の企業、住まいは小都市、といったスタイルも決して無理ではなくなりました。
そうすると、給料は首都圏の基準のまま、生活費を安くすることができるのでゆとりを増やすことができます。貯蓄がしやすくなりますし、首都圏よりも広い部屋に住むこともかないます。
月10万円の貯蓄ができたら、2年後には240万円です。
それまでにじっくりと、自分にとってどんな暮らし方が最適なのか考え、2年後の更新時期をめどに、より自分らしい暮らしを実現できる住み替えを目標にするのもいいですね。
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タケイ 啓子 ファイナンシャルプランナー(AFP)
36歳で離婚し、シングルマザーに。大手生命保険会社に就職をしたが、その後、保険の総合代理店に転職。保険の電話相談業務に従事。43歳の時に乳がんを告知される。治療を経て、現在は治療とお金の相談パートナーとして、相談、執筆業務を中心に活動中。FP Cafe登録パートナー
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