21/04/22
ポンジ・スキーム、投資勧誘詐欺…身近に潜む6つの金融詐欺とその対策
景気にかかわらずなくならないのが金融詐欺です。詐欺と聞くと被害に遭うのは高齢者だけと考えがちですが、若者や中年含めて被害に遭っている人も多数います。今回は、金融詐欺の種類や仕組み、金融詐欺に遭わないための対策について解説します。
金融詐欺にはさまざまな種類がある
警察庁が発表した2020年の特殊詐欺(振り込め詐欺などの金融詐欺)の件数は、警察庁が認知しているだけでも1万3526件、被害総額は約277億8000万円にものぼります(警察庁「令和2年における特殊詐欺の認知・検挙状況等について」)。ピーク時の2014年には約565億6000万円だったので、その約半分になってはいます。しかし、被害が少なくなったとはいえ、いまだに被害に遭う人が多いので注意が必要です。
金融詐欺の仕組みを解説!
では、そもそも金融詐欺とはどのような詐欺なのでしょうか?代表的な詐欺の種類や仕組みについて見ていきましょう。
●金融詐欺1:ポンジ・スキーム
世界の金融詐欺のなかでもっとも代表的な詐欺がポンジ・スキームです。ポンジスキームは投資の詐欺です。ポンジスキームの名前の由来は、1920年代に詐欺を行ったチャールズ・ポンジからきています。具体的には、以下のような仕組みで行われます。
1. 魅力的な条件で出資者からお金を集める
2. 運用しているように見せかける(実際には何もしない)
3. 集めたお金から毎月の利益を配る
4. この間にも出資者を募り続ける
5. 資金がショートしそうになった時点で破綻or頃合いを見計らって持ち逃げ
ポンジ・スキームでは、最初の頃は配当を毎月出して出資者を安心させます。その間にも出資者を募集し、口コミなどからさらにお金を集めます。しかし、ある日、突然配当が止まります。慌てて連絡をしてもすでに詐欺師に逃げられており、お金をほとんどもっていかれるのです。
●金融詐欺2:投資勧誘詐欺
ポンジ・スキームのほかにも、投資勧誘詐欺にはさまざまなものがあります。
・上場するといわれた未公開株に投資したのに、一向に上場していない
・仮想通貨を入金しておくだけで月利15%の利益が出るといわれたが、利益が出ない
・数十万円もするFX教材を買わされたのに、そのとおりやっても勝てない
・海外の不動産案件に手を出したが、いつのまにか連絡がつかなくなった
大学生からお年寄りまでさまざまな年代が詐欺に遭っています。初心者だけでなく投資の知識がある人でも騙されるケースがあります。
●金融詐欺3:フィッシング詐欺
フィッシング詐欺とは、以下のように口座番号や暗証番号を入力させる手口です。
1. 金融機関や有名企業を装った電子メールを送る
2. 受信者がURLリンクをクリックする
3. 表示されたページに口座番号や暗証番号などを入力させる
4. 盗み出した口座番号や暗証番号でお金をだましとる
フィッシング詐欺の特徴は、メールが送られてくるアドレスやリンク先のホームページが本物そっくりの内容であることです。さらに、実在する企業のURLを入力しても、自動的に偽物のサイトに誘導されることもあります。メールアドレスの綴りやホームページの内容をよく確認すれば本物ではないことがわかりますが、なかなか気づくのは難しいかもしれません。
●金融詐欺4:振り込め詐欺
振り込め詐欺は高齢者などにATMなどでお金を振り込ませる方法の一つです。さまざまな手口があります。
・主な振り込め詐欺の種類
筆者作成
振り込め詐欺の手口はとても巧妙になっており、警察官役や弁護士役まで用意しているケースも存在します。そのため、被害に遭われた方の中には、怪しく感じても警察官や弁護士が出てきて信じてしまうケースも多いようです。
●金融詐欺5:ネットショッピング詐欺
インターネット上には人気商品を割引価格で販売しているサイトもあります。しかし、ネットショッピング詐欺もあるので注意してください。ネットショッピング詐欺とは、注文をしても注文をした商品が一向に届かなかったり、明らかに質が悪い商品が届いたり、偽物や違うものが届いたりする詐欺です。話が違うと抗議をしようにも、すでに連絡がつかなくなっている、というケースもあります。
●金融詐欺6:キャッシュカード手交型詐欺
キャッシュカード手交型詐欺とは、銀行や警察署をかたって、キャッシュカードを新しくするので交換しようと呼びかける詐欺です。キャッシュカードを交換する前に暗証番号を聞かれるため、キャッシュカードを取り上げられると、ATMなどからお金を引き出されてしまうのです。
金融詐欺にだまされないための対策
金融詐欺を行う人は、あの手この手と形を変えてさまざまな方法でお金を奪おうとします。では、金融詐欺にひっかからない方法はあるのでしょうか?
以下のことに注意しておけば、少なくとも金融詐欺の被害に遭うリスクを減らせます。
●金融詐欺への対策1:自分は騙されないと思わない
金融詐欺は、若者から年配の方までさまざまな方が被害に遭う可能性があります。特に注意しなければならないのは、「自分は絶対に騙されることはない」と考えることです。
フィデリティ退職・投資教育研究所「高齢者の金融リテラシー」によると、
金融についての知識が「同年代と比べてかなり高い」「同年代に比べて高い」と自己評価している人のほうが、「同年代に比べて低い」「同年代に比べてかなり低い」と自己評価している人よりも金融詐欺にあっているそうです。
【金融についての知識の自己評価別の金融詐欺にあった人の割合】
・同年代と比べてかなり高い:7.3%
・同年代に比べて高い:5.1%
・同年代に比べて低い:4.1%
・同年代に比べてかなり低い:3.1%
そのため、普段から金融や投資に関心があり、知識に自身のある人ほど、注意しなければならないのです。
●金融詐欺への対策2:法律や詐欺の事例について事前に知っておく
詐欺のやり口はとても巧妙化しており、振り込め詐欺について知っている人でも投資勧誘詐欺やネットショッピング詐欺の被害に遭うことがあります。しかし、どのような詐欺が行われているのか知っていれば、途中で詐欺に気づけるかもしれません。
また、投資勧誘詐欺については金融商品取引法で、以下のような断定的判断での勧誘を禁じています。
・絶対に儲かる
・100%勝てる
・必ず上昇する
事前に法律を知っていれば、金融商品の説明を受けた際に「絶対」「100%」という言葉が出てきた時点で詐欺を見破れる可能性が高くなります。このような言葉が出たら詐欺の可能性が高いことを押さえておきましょう。
●金融詐欺への対策3:怪しいメールやURLは開いたりクリックしたりしない
フィッシング詐欺の場合、心当たりのないメールやURLは開かないようにしてください。加えて、企業や銀行の電話番号を調べて直接確認することで、被害に遭わずに済むかもしれません。もし怪しいメールやURLを受信したら、正しいものなのかを問い合わせるのもいいでしょう。
●金融詐欺への対策4:振り込め詐欺は
手口が巧妙化している振り込め詐欺の共通点は2つあります。
①ATMの操作を促して口座にお金を振り込ませたり、代理の人にお金を預けさせたりしようとする
②すぐに振り込まなければ大変なことになると思わせる
どちらも、実際にはありえないことです。自治体や税務署を名乗る人から電話がかかってきても、焦らないでください。ホームページで注意喚起されているように、職員が電話でATMの操作を促すことは絶対にありません。少しでも怪しいと感じたら、自分で判断せず身の回りの人に聞くようにすれば、詐欺に遭う確率を減らせます。
●金融詐欺への対策5:うまい話が来たら自分だけですぐに判断しない
うまい話が来ても自分だけですぐに判断しないことも重要です。
金融詐欺を行う人は早くしないと損をするかのような口調で話を進めます。また、なるべくあなただけに対して勧誘を行い、すぐにお金を騙し取りたいと考えているのです。なぜなら、時間がかかるほど、勧誘を受ける可能性が減り、ほかの人に気づかれてしまうこともあるからです。
詐欺被害に遭うリスクを減らすためには、うまい話が来た時にすぐ判断せず、ほかの人に相談してから決めるようにしましょう。そもそも投資の世界で「必ず儲かる」などということは絶対にありません。もしあるならば、あなたに教えずにその人がやればいいだけのことです。それを忘れないでください。
まとめ
ポンジ・スキーム、投資勧誘詐欺、フィッシング詐欺、振り込め詐欺、ネットショッピング詐欺、そしてキャッシュカード手交型詐欺まで、さまざまな金融詐欺を紹介しました。
金融詐欺は、さまざまな年齢の方が被害に遭う可能性があります。そのため、自分だけは被害に遭わないと考えないことが大事です。また、普段からどのような事例があるのかを把握しておけば、いざ被害に遭いそうになっても自分の身を守ることができます。常に警戒を怠らないようにしましょう。
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小栗健吾 現役のFXトレーダー及びWEBライター
地方の大学を卒業後、会社員を経て、WEBライターとして活動中。FXや仮想通貨の取引経験(FXは8年以上)があり、現役トレーダーの目線で記事を多数執筆している。また、現在はFXだけでなく、「キャッシング」「副業」「節税」などマネー系の記事も多く執筆している。
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