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22/09/12

相続・税金・年金

老後に自己破産したら年金は差し押さえられるのか?

老後に自己破産したら年金は差し押さえられるのか?

自己破産を考えている人の心配事のひとつに、「年金はもらえなくなる?」があります。目の前の借金を何とかしたいと思って自己破産をしても、将来もらえるはずの年金に影響が出たらと思うと不安ですよね。
実際のところ、自己破産をすると年金にはどのような影響があるのでしょうか。はたして老後の大切な収入源である年金ももらえなくなってしまうのでしょうか。
今回は、高齢の方が自己破産をする場合に知っておきたい自己破産と年金との関係について解説いたします。

自己破産すると年金はどうなる?

自己破産は分かりやすくいうと 「返済できなくなった借金を裁判所の認可を得ることで借金返済を免除してもらう」ものです。そのため、自己破産を行った方は借金の返済義務はなくなります。ただし、単純に借金がなくなるということではありません。

自己破産には、借金を返済するためにその人の財産を現金化し、債権者に配当していくプロセスがあるのです。それでもなお、借金が返済できなかった場合には「残りの借金を免除しますよ」ということなのです。

つまり自己破産は、単純に借金がゼロになるということではなく、財産を処分してもなお返済できない借金を免除してもらうという行為だということを理解しておきましょう。

自己破産を行うと、返済の過程で一定以上の財産を手放すことになります。これを財産の差し押さえといいます。その際に、退職金や貯蓄型の保険といった金融財産も差し押さえられてしまいます。では、国民年金や厚生年金、共済年金といった公的年金もこれらと同様に差し押さえられてしまうのでしょうか。

結論からいうと、年金の受給権に関しては差し押さえの対象にはなりません。一般的に、公的年金(国民年金・厚生年金・共済年金など)の受給権については、差し押さえが禁止されています。公的年金は、年金生活者にとっては生活するための収入ですから、公的年金まで差し押さえが可能となると生活できなくなってしまうことになりかねないためです。国民年金基金、厚生年金基金も同様です。ですので、年金受給者が自己破産をした後も原則としてこれまで通り年金を受給することができます。

自己破産により年金が差し押さえられるケース

しかしながら、自己破産したことにより年金が差し押さえられるケースもあります。ここでは、自己破産で年金が差し押さえられる可能性があるケースを具体的に紹介します。

●自己破産で年金が差し押さえられるケース1:国税・地方税(国民年金保険料を含む)を滞納している場合

前述した通り、老後に自己破産しても年金を受け取り続けることは可能です。しかしながら実際には法律上では国税・地方税に係る滞納処分については「この限りでない」との例外も規定されており、ある一定の限度で差し押さえが可能とされています。

【国民年金法 第24条(受給権の保護)】
給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押えることができない。
ただし、老齢基礎年金又は付加年金を受ける権利を国税滞納処分(その例による処分を含む。)により差し押える場合は、この限りでない。
【厚生年金保険法 第41条(受給権の保護及び公課の禁止)】
保険給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押えることができない。
ただし、老齢厚生年金を受ける権利を国税滞納処分(その例による処分を含む。)により差し押える場合は、この限りでない。

つまり、税金の滞納を続けていると、状況によっては年金受給権も差し押さえられる可能性があるということを意識しておいてください。

また、国民年金保険料の滞納は税金と同じように取り扱われ、裁判を経ることなく直ちに滞納処分として差し押さえを行うことができるものとなっています。これら国税・地方税(国民年金保険料を含む)の滞納を放置し続けると滞納者本人だけでなく、世帯主や配偶者の財産までも差し押さえられることもあるため、支払いが滞っている場合には、早急に対応する必要があるでしょう。

●自己破産で年金が差し押さえられるケース2:受給した年金が現金・預貯金として残っている場合

自己破産そのものが公的年金の受給に影響することはありません。ただし、受給した年金が現金・預貯金として残っている場合は、金額によっては没収される可能性があります。
裁判所により見解は多少異なるようですが、差押禁止債権である公的年金・企業年金も、具体的に次のケースにおいて、差し押さえ処分の対象となる場合があります。

・99万円を超える現金
受給した年金を現金として保管している場合、現金の総額が99万円を超えると、その超えた部分が没収されます。

・20万円を超える預金
原則として、預金残高が20万円を超えると、超えた金額が没収されます。年金が銀行口座に振り込まれれば、預金として没収される可能性があります。

●自己破産で年金が差し押さえられるケース3:個人年金の解約返戻金が20万円以上ある場合

「年金」といっても、国民年金や厚生年金などのような公的年金の他に、個人年金保険もあります。同じ「年金」なのだから、個人年金も差し押さえされることはないのかなと思うかもしれませんが、差し押さえが禁止されているのはあくまで公的年金のことであり、個人年金は差し押さえの対象になってしまいます。

裁判所によって異なるようですが、一般的に個人年金の解約返戻金が20万円を超える場合は、原則として保険契約が解約され、解約返戻金全額が没収されます。個人年金は、「年金」という名称にはなっていますが、厳密に言えば保険会社との契約により保険料を積み立てている形になります。つまり、年金というよりも貯蓄的な要素の方が強い性質の財産となります。この個人年金を解約すれば解約返戻金が戻ってくるため、それが資産とみなされてしまうのです。
ただし、「自由財産の拡張申立」が裁判所に認められれば、個人年金を解約せずに済むケースもあるようです。

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自己破産と年金にまつわる3つの注意点

次に自己破産と年金にまつわる注意点についても見ていきましょう。

●自己破産と年金の注意点1:滞納保険料は自己破産しても支払義務は免除されない

国民年金保険料を滞納している場合、自己破産しても支払義務は免除されないことにも注意が必要です。国民年金保険料は、自己破産で免責されない債権(非免責債権)だからです。

国民年金保険料に関しては、頻繁に請求は来るものの、すぐに何かペナルティが課せられるわけではないため、人によっては何ヶ月、何年も滞納しているケースも。その額もそれなりの高額になっているケースがあります。前述のとおり、自己破産をすると、すべての借金が帳消しになりますが、借金ではなく保険料の滞納が高額であった場合には、自己破産しても解決できない可能性があります。

もし、国民年金の支払いが厳しいという場合は、そのまま放置しておくと「未納扱い」となってしまい将来の受給にも影響してしまいます。ですので、国民年金保険料の支払いが厳しい時には納付の免除や猶予の手続きをしましょう。

国民年金保険料の「支払猶予」や「支払免除」は所得が少ない場合に受けられる制度です。また、学生納付特例制度、産前産後期間の免除制度、DV被害者の特例免除、失業等による特例免除など、特定の人に対する免除の制度もあります。

納付免除や猶予の制度を利用することで、未納となるよりも年金を受給する際に有利になる場合がありますので、きちんと免除や猶予の制度を利用しましょう。

●自己破産と年金の注意点2:年金を担保にして融資を受けた場合も自己破産で免責されない

年金については国民年金法により「国民年金の給付を受ける権利は他人に譲渡したり、担保に供したり、差し押さえることはできない」とされています。この法律を見ても分かるように原則として年金を担保にして融資を受ける事も出来ません。

ただし唯一、「独立行政法人福祉医療機構」が提供する年金担保貸付のみ、例外的に国から認められています。年金担保貸付は、年金を受け取る権利を担保(年金証書)に貸付を行うもので、これを利用すれば、厚生年金や国民年金を担保にして融資を受けることができます。定期収入の少ない高齢者は、緊急の資金が必要となったときに金融機関から借り入れることが難しいため、高齢者が高利貸し(ヤミ金)被害に遭うことを予防する目的で1975年に年金担保貸付制度が設立されました。

融資された後は「独立行政法人福祉医療機構」が年金の支給期間から年金を直接受け取った後に一定額を差し引いた上で残りを本来の受給者に送金することになるため、完済するまでは年金の一部を受給者が受け取ることができなくなります。

ただし、この年金担保貸付に限っては自己破産をしても免責にはならず、返済し続けなければいけません。つまり、年金は受給できるものの、年金担保貸付を完済するまで年金の支給額から天引きされ続けてしまうのです。

年金担保貸付は自己破産もできない債務ですから、非常に怖いものです。このような背景もあり、年金担保貸付は、2022年3月末で申込受付を終了しました。しかし、今でも年金担保融資を受けた高齢者の中には年金から天引きされ続けるために十分な年金を受け取ることができず、生活が行き詰まり,生活保護の申請まで至るケースも少なくないようです。

●自己破産と年金の注意点3:金融機関から借入がある場合は口座凍結に注意

本来なら自己破産後の年金は問題なく受給できますし、銀行口座に振り込まれます。ですが、銀行から借金をしている場合、自己破産をすればその銀行口座は凍結されてしまうので注意しましょう。もしも銀行口座が凍結されてしまえば、振り込まれた年金を引き出す事ができなくなってしまうためです。そして振り込まれた年金は結局銀行側に回収されてしまうでしょう。

年金が主な収入源で年金を頼りに生活している高齢者は、その大事な年金が引き出せないので、さらに生活が苦しいものになってしまいます。銀行側と交渉して口座の凍結自体を解除することもできますが、そのために無駄な時間と労力を費やすことになってしまいます。ですから、借金をしている銀行の口座が年金の振込口座になっている場合は、自己破産する前に年金振込口座を借金とは無関係の口座に変更しておきましょう。

まとめ

自己破産をすると、借金が帳消しになる代わりに一定額以上の価値のある財産は差し押されてしまいますが、個人年金を除く公的年金は自己破産をしても基本的に影響は受けないことがわかりました。しかし逆に、自己破産をしたからといって、国民年金保険料の滞納分も免責になることはなく、その支払い義務は自己破産しても逃れられないものになっています。つまり良くも悪くも年金に関しては特別扱いということなのです。

いずれにしても自己破産は将来の生活を左右する重要な決断となりますので、弁護士など信頼できる専門家に頼りつつ、正確な知識を持って判断することをおすすめします。

KIWI ファイナンシャルプランナー・社会保険労務士

長年、金融機関に在籍していた経験を活かし、個人のキャリアプラン、ライフプランありきのお金の相談を得意とする。プライベートでは2児の母。地域の子どもたちに「おかねの役割」や「はたらく意義」を伝える職育アドバイザー活動を行っている。

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