21/04/10
好成績の投資信託が受賞できる「ファンド大賞」 6大ファンド大賞の優秀ファンドを一挙紹介
私たちが購入でできる投資信託は約6000本。そのなかから優れた投資信託を選ぶ「ファンド大賞」が毎年発表されています。
今回は「R&Iファンド大賞」「リフィニティブ・リッパー・ファンド・アワード・ジャパン」「モーニングスター ファンドオブザイヤー」「楽天証券ファンドアワード」「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year」「Yahoo!ファイナンス ベストファンドアワード」の「6大ファンド大賞」の賞を受賞した主な商品を紹介。どのような商品が栄冠に輝いているのか、見てみましょう。
投資信託に詳しいマネーコンサルタントの頼藤太希さんに、商品についてのコメントも聞いてきましたので、合わせてご覧ください。
●教えてくれたのは…
頼藤太希さん
Money&You代表取締役/マネーコンサルタント
中央大学客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生保にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に(株)Money&Youを創業し、現職へ。マネーコンサルタントとして、資産運用・税金・Fintech・キャッシュレスなどに関する執筆・監修、書籍、講演などを通して日本人のマネーリテラシー向上に注力している。『1日5分で、お金持ち』(クロスメディア・パブリッシング)、『はじめてのNISA&iDeCo』(成美堂出版)など著書多数。日本証券アナリスト協会検定会員、ファイナンシャルプランナー(AFP)。
※以下、純資産総額・基準価額・信託報酬・成績などの金額・率は、特に断りのない限り2021年4月5日時点のものとなっております。
ファンド大賞の選考基準は各社で違う
ファンド大賞は、格付会社・証券会社・個人投資家たちなどが毎年選び、公表しています。受賞した商品は各大賞のサイトで大々的に紹介されるほか、受賞した商品の会社でも「○○賞を受賞しました!」などと公表されることもあります。どんな商品が選ばれたのか、投資家ならば気になるところでしょう。
各ファンド大賞の選定基準はそれぞれ異なります。
今回紹介する6大ファンド大賞のうち、「R&Iファンド大賞」「リフィニティブ・リッパー・ファンド・アワード・ジャパン」「ファンドオブザイヤー」の3つは、運営元が調査し、選定しています。
「楽天証券ファンドアワード」は、運営元が優秀な商品を選定しますが、最優秀賞は個人投資家による投票で決定します。
そして「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year」「Yahoo!ファイナンス ベストファンドアワード」は、個人投資家による投票のみで決定します。
個人投資家の投票があるか否かで、選ばれている商品にまた違いがありますので、その点も注目してご覧ください。
R&Iファンド大賞
R&Iファンド大賞は、R&I(格付投資情報センター)が2007年にスタートしたファンド大賞。投資信託、確定拠出年金、NISA、確定給付年金の4分野で優れた実績をあげたファンドを選び、毎年4月〜5月に公表しています。
R&Iファンド大賞の投資信託の評価期間には3年・10年・20年があり、それぞれの期間で受賞する商品を選定しています。ここでは、長期の資産運用に向いていること、さまざまな投資対象の商品が受賞していること、という観点から、R&Iファンド大賞2020(2020年4月発表)の「投資信託10年部門」で最優秀ファンド賞を獲得した主な商品を紹介します。投資信託10年部門では、過去10年の運用実績データと定量評価(数字をもとにした評価基準)をもとにランキングを作成し、表彰しています。
●「投資信託10年部門」で最優秀ファンド賞を獲得した商品
「ひふみ投信」は主に日本の成長企業に投資する商品。世界情勢や経済の変化を見極めて保有する株式の比率を変化させるアクティブ型の投資信託です。250銘柄程度をポートフォリオに組み入れています。「顔が見える運用」をかかげていることも特徴。代表の藤野英人氏は著書や動画セミナー、YouTubeなどさまざまな媒体で情報発信をしています。運用実績も設定来の基準価額騰落率で498.42%(2021年2月末時点)と好調です。
リフィニティブ・リッパー・ファンド・アワード・ジャパン
リフィニティブ・ジャパン株式会社が毎年3月に発表しているファンド大賞が「リフィニティブ・リッパー・ファンド・アワード・ジャパン」(以下リッパー)。収益一貫性・総合収益性・元本保全性・経費率の4つのポイントを世界共通の評価基準で公平に調査しています。
2021年3月に、20回目となる「リフィニティブ・リッパー・ファンド・アワード・ジャパン2021」が発表されました。
同賞の評価期間は3年・5年・10年の3種類。それぞれの期間で受賞する商品を選定しています。ここでも先述のR&I同様、長期の資産運用で成果を出しているという観点から、「評価期間10年」の部門で受賞した主な商品を紹介します。
●「評価期間10年」で受賞した主な商品
「セゾン資産形成の達人ファンド」は、それぞれの地域に強みを持つファンドを安全性や長期的な収益力といった基準で選び、投資を行う「ファンド・オブ・ファンズ」と呼ばれる投資信託。R&Iファンド大賞2020でも最優秀ファンド賞を受賞しています。投資先のファンドは、米国株式ファンド40%、欧州株式ファンドに30%という具合に、先進国のファンドが主体になっています。
アクティブ型の商品としては信託報酬も安く、設定来の騰落率も188.84%(2021年3月31日時点)となっています。
モーニングスター ファンドオブザイヤー
投資信託の評価機関、モーニングスターが発表しているファンドアワードです。毎年、国内の追加型株式投資信託約5500本を対象に、優れた運用実績とマネジメントを持つファンドを選考。1月末〜2月に発表しています。選考にあたって重視しているのは直近1年間の運用実績。加えて、それ以前の長期的なパフォーマンスや定性評価(運用方針やリスク管理の体制など)も評価しています。
2021年2月に発表された「ファンドオブザイヤー2020」では、計7部門のうち6部門で6つの商品が最優秀ファンド賞を獲得しました。
●「最優秀ファンド賞」を獲得した商品
「グローバルAIファンド」は、世界の上場企業の中から、AI(人工知能)の進化、応用により高い成長が期待される会社を選んで、その会社の株式に投資を行う「テーマ型」と呼ばれる商品です。AIそのものの開発はもちろんのこと、AIの開発に必要な技術・AIを利用したサービスを作り出す会社にも投資します。この1年の成績は118%と非常によくなっていますね。実際、2020年のトータルリターンが96.64%だったことが、ファンドオブザイヤーの受賞要因となっています。
楽天証券ファンドアワード
大手ネット証券のひとつ、楽天証券が毎年4月に発表しているファンド大賞です。同社で扱いのある投資信託の各部門(2021年はアクティブファンド部門10・インデックスファンド部門4の14部門)から、過去3年のパフォーマンスが優れた商品を「優秀ファンド」として表彰しています。
さらに、そのなかから最優秀ファンドを顧客(個人投資家)による投票で決定しています。
2021年4月に発表された主な最優秀ファンドは、次のとおりです。
●「最優秀ファンド」に選ばれた主な商品
「iFree日経225インデックス」は、国内の株式に投資することで、日経平均株価と連動する値動きを目指す商品です。日経平均株価は日々のニュースでも報じていますから、値動きがわかりやすいのが特徴。この1年で40%、3年でも年率11%上昇するなど好調です。
また「eMAXIS Slim 先進国株式インデックス」は、MSCIコクサイ・インデックスという日本を除く22カ国の株式の値動きで算出される指標と連動する投資信託。米国株が約6割を占めるので、米国の動向に影響を受けやすいのが特徴です。「業界最低水準の運用コストを将来にわたってめざし続けるファンド」としており、他社の商品で安いものが出てきた場合には、積極的に手数料を値下げしています。
投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year
投資信託についてのブログを書いているブロガーたちによるファンド大賞です。「証券会社の宣伝やうたい文句にまどわされず、自分たちにとって本当によいと思える投資信託を投信ブロガーたちが投票で選ぶ」という趣旨で、毎年商品が選ばれ、毎年1月に公表されています。
2021年1月に発表された「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2020」でベスト10に選ばれた商品は、次のとおりです。
●ベスト10に選ばれた商品
「eMAXIS Slim」シリーズがベスト10の中に5つもランクインしていて人気ですね。なかでも1位の「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」は、実は前年の「2019」でも1位でした。日本を含む先進国・新興国の株式市場の値動きに連動することを目指す商品で、MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスという、世界の先進国・新興国の株式で構成された指標との連動を目指します。年0.1144%というとても安い信託報酬で、世界中の株式に分散投資できます。
Yahoo!ファイナンス ベストファンドアワード
投資情報のポータルサイト「Yahoo!ファイナンス」が1月〜2月に公表するファンド大賞。2020年にスタートしました。「ファン投票部門」は、Yahoo!ファイナンスのファンクラブ「サポーターズクラブ」のメンバー投票で投票の多かった順に表彰。「ポートフォリオ部門」では、Yahoo!ファイナンスの「ポートフォリオ」の機能に登録された数が多い順に表彰されます。
2021年2月に公表された「Yahoo!ファイナンス ベストファンドアワード2020」で、「2020年を通して、良かったと思う投資信託」として多くの票を集めた、ファン投票部門の受賞商品は以下のとおりです。
●ファン投票部門の受賞商品
大賞は「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year」9位のeMAXIS Slim米国株式(S&P500)、優秀賞には同1位の「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」が選ばれています。
「ひふみプラス」の運用方針は「ひふみ投信」と同じですので、運用成績も似通っています。ひふみ投信はレオス・キャピタルワークスでしか買うことができませんが、ひふみプラスは証券会社などの販売会社を通じて購入することができます。ひふみ投信とひふみプラスは、どちらもNISA(ニーサ・少額投資非課税制度)にも対応しているので、運用益を非課税にしながら投資することもできます。
複数受賞している商品は?
以上、6つのファンド大賞で受賞した主な商品を紹介してきました。このなかで、複数受賞・ランクインしている商品は、次の8本です。
・eMAXIS Slim 先進国株式インデックス(楽天・投信ブロガー)
・eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)(投信ブロガー・ヤフー)
・eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)(投信ブロガー・ヤフー)
・<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド(投信ブロガー・ヤフー)
・ひふみ投信(R&I・投信ブロガー・ヤフー)
・エス・ビー・日本債券ファンド(R&I・楽天)
・セゾン資産形成の達人ファンド(R&I・リッパー)
・投資のソムリエ(モーニングスター・楽天・ヤフー)
「eMAXIS Slim」シリーズの3本と「ニッセイ外国株式インデックスファンド」はインデックス型の商品です。個人投資家がランキングに関係すると、インデックス型が好まれる傾向にあります。販売先の金融機関が多いので、購入しやすいというのも理由として考えられます。
「ひふみ投信」「エス・ビー・日本債券ファンド」「セゾン資産形成の達人ファンド」「投資のソムリエ」はアクティブ型の商品です。もちろん、これまでの成績が良かったからといって、これからも運用がうまくいくとは限りません。しかし、少なくともここに挙げた商品については、これまでの実績もあり、支持されている商品だといえるでしょう。運用成績がいい商品を探すための参考にしてくださいね。
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畠山 憲一 Mocha編集長
1979年東京生まれ、埼玉育ち。大学卒業後、経済のことをまったく知らないままマネー本を扱う編集プロダクション・出版社に勤務。そこでゼロから学びつつ十余年にわたり書籍・ムック・雑誌記事などの作成に携わる。その経験を生かし、マネー初心者がわからないところ・つまずきやすいところをやさしく解説することを得意にしている。2018年より現職。ファイナンシャル・プランニング技能士2級。教員免許も保有。趣味はランニング。
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