23/06/05
年収の壁は今後なくなる?壁を気にせず働くために必要な3つのこと
いわゆる年収の壁とは、106万円もしくは130万円の年収金額のこと。
この金額を超えると税金や社会保険料の負担が増えるため、額面金額がアップしても手取りは減ってしまう、手取りの逆転現象がおきます。
政府はこの壁を解消する制度改革をすすめていますが、壁を気にせず働くにはどのようなことが必要なのでしょうか。
年収の壁による、手取りの逆転現象とは
夫が会社員で年収500万円、妻がパート勤務で年収100万円、というケースで考えてみましょう。
この場合、妻は夫の扶養家族として健康保険に加入することになり、国民年金には第3号被保険者として年金保険に加入するのですが、どちらも保険料は払わなくてよいことになっています。
ところが、妻の年収が106万円もしくは130万円を超えると、妻自身が健康保険と厚生年金に加入しなければならないので、社会保険の保険料負担が増えます。
壁になる金額がどちらになるかは、妻の勤務先などの条件によって決まります。従業員数が101人以上などの条件にあてはまれば年収の壁は106万円、100人以下などでは130万円です。
妻の年収が壁を超えると、社会保険の保険料だけではなく、所得税の負担もあり、夫の勤務先からもらえていた家族手当もなくなります。
野村総研の試算によれば、会社員の夫が年収500万円、パートの妻が年収100万円の場合、世帯の手取りは513万円。ところが、妻の年収が106万円を超えて社会保険に入ることになると、世帯手取りは逆に24万円減って489万円になってしまいます。
年収の壁があると、もっと働けるはずの人が壁を超えないように調整してしまうので、人材活用の観点からも望ましいことではありません。
政府は年収の壁解消のため、社会保障制度の改革などをすすめています。
年収の壁を気にせず働くために必要な3つのこと
では、年収の壁がなくなったら、壁を気にせずもっと働けるようになるかというと、そう単純にはいかないようです。コネヒト株式会社の調査(調査期間:2023年3月11日〜3月12日)によると、扶養範囲を気にせず働くために必要なことは、家計とは別のところにもありました。
【扶養範囲を気にせず働くために必要なものTOP3】
コネヒト株式会社「年収の壁についてのアンケート」より
●年収の壁を気にせず働くために必要なもの1:子どもの預け先の確保
扶養範囲を気にせず働くために必要なものの1位は、「子どもの預け先と確保」で76.8%です。
小さな子どもがいる場合、保育園に預けて働くことが一般的。預けられる時間帯によっては、仕事を制限せざるを得ないことも。
そうなってしまうと、せっかく年収の壁がなくなっても思い切り働くことができません。
子どもが小さい親の世代は、これからキャリアを積みたい年齢層でもあります。
目先の収入だけではなく、長い目で見てメリットになる働き方をしたいと考える人も多いのではないでしょうか。
そのためには、情報が大切です。子育て世帯に手厚い自治体地域に住むなど、妻の頑張りだけに頼らない方策も検討するといいでしょう。
●壁を気にせず働くために必要なもの2:家族や周囲との協力体制
扶養範囲を気にせず働くために必要なものの2位は、「家族や周囲との協力体制」で73.7%です。
子どもの預け先が確保できても、急な残業が入ったり、子どもが熱を出したりケガをしたり、子育て世代にアクシデントはつきものです。
そんな時に頼りになるのは、家族や周囲との協力体制です。妻が働くには夫の協力は必要不可欠。夫婦ともに、子育てや家事に当事者意識を持つことが、共働きを上手に続けるコツです。
そして、ママ友や実家の親など、困った時にはお互い様の気持ちで頼ったり頼られたりできるといいですね。自分たちだけで頑張っていると、精神的に行き詰ってしまうこともあります。
保育園や学校とのコミュニケーションを良好にしておくことも大切です。
●壁を気にせず働くために必要なもの3:職場の理解
壁を気にせず働くために必要なものの3位は、「職場の理解」で68.7%です。
子育てをしながら働いていると、行事のために休んだり、遅刻・早退をしたりすることもあります。
子どもの発表会や運動会などのイベントは、子どもの成長を実感できる大切な時間。できるだけ参加したいですよね。
そのためには、職場の理解も必要です。
職場の制度が整っていることは必ずチェックすることはもちろんですが、制度があっても現実に運用されていなければ意味がありません。
職場選びの段階では、子育て中の職員がいるなら、職場の様子を聞いてみると参考になります。
すでに働いているなら、職場の理解が得られるようなコミュニケーションは密にとっておきましょう。
急なことにも理解してもらいやすくなります。
アフターコロナになっても、リモートワークが利用できると仕事が続けやすいでしょう。
まとめ
年収の壁を気にせず働くためには、手取りの逆転による「働き損」がなくなることだけではなく、さまざまに必要なことがあります。
せっかく働くなら、収入もやりがいも、将来のキャリアアップも実現できる働き方を目指して欲しいと思います。
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タケイ 啓子 ファイナンシャルプランナー(AFP)
36歳で離婚し、シングルマザーに。大手生命保険会社に就職をしたが、その後、保険の総合代理店に転職。保険の電話相談業務に従事。43歳の時に乳がんを告知される。治療を経て、現在は治療とお金の相談パートナーとして、相談、執筆業務を中心に活動中。FP Cafe登録パートナー
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