16/11/25
悟りへと続く「菩薩の道場」、伊予国を巡る
ライター吉田明乎の四国遍路ひとり旅、いよいよ最終回になりました。土佐国(高知県)の「修行の道場」を終え、伊予国(愛媛)の「菩薩の道場」をめぐります。
愛媛の「菩薩の道場」へ。第四十番・観自在寺(かんじざいじ)
第四十番からは伊予国(愛媛)に入ります。伊予国は煩悩を断ちきり、悟りへと目覚める「菩薩の道場」。第四十番・観自在寺(かんじざいじ)は、807年に弘法大師・空海が開きました。1番札所の「霊山寺」から最も距離が離れていることから、「四国霊場の裏関所」とも呼ばれています。お遍路さんにとって、大きな通過ポイントになる札所です。
このお寺には、空海さんが1本の霊木から彫ったされるご本尊の薬師如来と脇侍の阿弥陀如来、十一面観音菩薩が安置されています。本堂は過去に二度の災害に遭っていますが、ご本尊と脇侍は奇跡的に逃れたとのこと。現在は、再建された鎌倉様式のコンクリート造の本堂に安置されています。ありがたくお参りしましょう。
画像提供:Akiko Yoshida
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お寺なのに神社の鳥居? 第四十一番・龍光寺
第四十番から50キロ、第四十一番・龍光寺は小高い丘の上に鎮座しています。まず、石段の先に見える赤い鳥居に驚くかもしれません。ここは神仏習合の歴史が色濃く残っているお寺で、地元では「三間(みま)のお稲荷さん」として親しまれています。
この地で稲束を背負った白髪の老人と出会った空海さん、「このお方は、五穀豊穣の神様である稲荷大明神に違いない」と悟り、老人の姿を稲荷明神像として刻み、本地仏として十一面観世音菩薩、脇侍に不動明王と毘沙門天を刻んで祀りました。龍光寺は、五穀豊穣、商売繁盛などのご利益があるとして信仰を集めています。
画像提供:Akiko Yoshida
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第四十三番・明石寺
さあ、7回に渡ってご紹介したライター吉田明乎のお遍路旅も、最後の札所になりました。
第四十三番・明石寺です。「めいせきじ」と読みますが、もともとは「あげいしじ」と呼ばれていました。美しい女性に化身した千手観世音菩薩が、深夜に大きな石を軽々と山の上まで運んでいた、という伝説によるそうです。ご本尊はもちろん、千手観世音菩薩。人々のさまざまな苦しみに手を差し伸べ、救済してくださる仏さまです。
重厚な仁王門に唐破風(からはふ)造りの屋根の本堂、大師堂、地蔵堂、いずれも国の登録有形文化財。明治時代の建物です。風情ある建物を眺めながら、伝説に想いをはせることができるのも、長い歴史のある霊場ならではですね。
四国八十八カ所お遍路の旅は、昔は時間をかけて歩いて巡ったものですが、現代ではバスツアーやマイカー、バイク、自転車、徒歩と様々な手段を選べます。体力や予定などに合わせ、自分にぴったりの方法でぜひ巡礼にチャレンジしてみてくださいね。
画像提供:Akiko Yoshida
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【四国八十八カ所、“逆打ち”お遍路の年】特集記事
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・おいしい名水に美しい庭園。イケメン不動明王にも逢える神峯寺
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・お遍路泣かせの難所中の難所を超えて、絶景へ!
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吉田 明乎 編集ライター/地域エディター
弘法大師・空海の超人ぶりに惚れています。自宅の机に鎮座する、弥勒菩薩半跏像に毎日癒されている瞑想女子。ロケ取材などで全国をめぐるかたわら、日本の美しい癒しスポットをHP「Akiko Yoshida Official Website」で発信中。
近著に『高野山に伝わるお月さまの瞑想法』(祥伝社黄金文庫)、共著に『こころ安らぐ仏教女子入門』(洋泉社)他多数。
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