20/05/10
2020年4月から東京都でも自転車保険義務化。加入しないとどうなる?
自転車保険の加入を義務化する地域が広がっています。2020年4月からは、東京都でも自転車保険への加入が義務化されました。とはいうものの、実は仮に未加入であっても罰則があるわけではありません。だからと言って、もし未加入のまま自転車で事故を起こし、万が一相手を死傷させてしまったら、一体どんな事が起こりうるのでしょうか。ご紹介します。
全国で自転車保険への加入義務化が広がりつつある
2015年に兵庫県で初めて自転車保険への加入が義務化されたことを皮切りに、全国の自治体で加入の義務化や促進する流れが広がっています。2020年4月には東京都のほか、奈良県と愛媛県で義務化されました。
たとえば東京都の場合、2013年に「東京都自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例」が制定されていました。都内における自転車事故の多発、一部の自転車利用者による危険な運転、自転車の放置等の社会的な問題を改善することを目的とした条例です。
2019年9月にこの条例が改正され、自転車保険への加入が義務化された、というわけです。
自転車保険に加入すべき人は、以下に該当するケースです。
・自転車利用者
・未成年の子が自転車を利用する場合はその保護者
・レンタルサイクル事業者
・自転車を業務で使用する事業者(事業用の賠償責任保険への加入の必要あり)
そもそも自転車保険とは?
自転車保険は主に、「傷害保険」と「個人賠償責任保険」の2つが組み合わされた保険です。
傷害保険は、「自分がケガをした、あるいは死亡したときのため」の補償が受けられる保険です。各保険会社で補償内容は多少異なりますが、自転車事故に限らず、入院・通院時、後遺障害が残ったときなどに保険金が給付されます。もちろん、自転車事故によるケガも対象となります。
個人賠償責任保険は、「誤って他人のモノを壊したり、他人にケガを負わせたり、死亡させたりして賠償責任を負ったときのため」の補償が受けられる保険です。
全国で広がる自転車保険への加入義務化は、どの自治体においても自転車利用者本人のケガを補償することに重きを置いているのではなく、他人を死傷させてしまい、高額な賠償請求をされた場合に備えておくことの必要性と重要性を訴えているのです。
東京都都民安全推進安全本部のホームページには「自転車を利用する場合には、対人賠償事故に備える保険等に加入している必要があります!」と明記されていることからも、そのことがわかります。
自転車保険未加入で対人事故を起こすとどうなるの?
では、自転車保険に未加入の状態で対人事故を起こしてしまうと、どうなるのでしょうか。
実は、自転車事故の多発にともない、各地で高額な賠償請求が相次いで発生しているのです。
過去の事故例を見てみましょう。
(日本損害保険協会ホームページをもとに筆者作成)
自転車事故が原因で被害者が死亡したり、後遺障害を負ったりした場合には、表のように高額な損害賠償金の支払いを命じられることがあります。
例えば、小学生が自転車事故で相手に大ケガを負わせた場合、子供であることを理由に責任を免れることはなく、賠償責任が発生することがあります。子供に責任能力が認められない場合には、保護者がその責任を負うことになります。
以上のようなことから、被害者はもちろんですが、事故を起こした加害者自身にも大きな負担がかかることが予測されますので、自転車保険等には必ず加入し、賠償額は少なくとも1億円以上で設定しておくようにしましょう。
自転車保険以外の保険でもカバーできる
自宅で加入している火災保険、自動車保険、共済等に「特約」として「個人賠償責任保険」が付いている場合は、あらたに自転車保険に加入する必要はありません。まずは既に加入している保険に該当する特約がないかを確認してみましょう。もし付いていない場合には、後から付けることが可能なケースが多いので、保険会社に問い合わせをしてみましょう。特約で加入すると、自転車保険に加入するよりもコストが抑えられることがあります。また、あわせて弁護士費用特約も付けておくと、いざというときに弁護士に相談できるので安心です。
個人賠償責任保険は、生計を共にする家族のうちの一人が加入していると、その家族全員が補償の対象になりますので、必ず加入しておきましょう。ただし、個人賠償責任保険は重複加入していても補償されるのはひとつの保険会社からのみですので、これを機に家庭で加入している損害保険や共済等に重複加入がないかを確認してみましょう。
まとめ
大人から子供まで、多くの人にとって気軽で便利な自転車ですが、道路交通法上では「車両」に位置付けられています。利用する際には交通ルールを守り、安全運転を心がけましょう。同時に自転車保険等の個人賠償責任保険に加入し、不測の事態に備えておくことが大切です。
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小河由紀子 「発達障害がある子」を育てる親御さんを元気にするFP
神奈川県出身。結婚・出産後に産婦人科で医療事務に従事。一念発起してCFP®と日商簿記2級の資格を取得。お金の勉強と数字の楽しさに目覚める。その後保険代理店勤務などを経て、2018年に独立系FPのためのプラットフォーム会社に所属。翌2019年に「FPオフィスOgawa」を開業。顧客がお金に振り回されず、自らコントロールする力を身に着けてもらえるよう、分かりやすい言葉で現実的なアドバイスを行っている。FP Cafe登録パートナー
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