20/04/11
国民健康保険料を払わない人の末路
国民健康保険に加入したら、保険料を支払うことは加入者の義務です。けれども、ときどき保険料を滞納してしまう人もいます。もし国民健康保険料を滞納したら、どうなってしまうのでしょうか。実は、国民年金保険料の滞納には、段階的なペナルティがあります。どのようなペナルティがあるのか、順を追って見ていきましょう。
国民健康保険に加入するのはどんな人?
日本には「国民皆保険制度」があります。これは、原則として日本国民は全員、公的医療保険に加入するという制度です。公的医療保険には、健康保険と国民健康保険があります。
親の扶養家族になっているうちは、親が加入する健康保険を利用し、就職したら勤め先の健康保険に加入することになります。それに対して、自営業の場合、パートやアルバイト先の健康保険に加入しない場合、会社を退職して勤め先の健康保険をやめた場合は、国民健康保険に加入することになっています。ただし、後期高齢者医療保険の加入者や生活保護を受けている人は加入する必要はありません。
国民健康保険を滞納するとどうなる?
家庭の事情などで国民健康保険の保険料を滞納してしまう人います。払わなければいけないものを払わずにいると、どうなってしまうのでしょうか?その影響を時系列で見ていきましょう。
●滞納の翌日から起こること
納付期限を過ぎても国民健康保険料を支払わずにいると、督促状が届きます。場合によっては担当者から督促の電話が入ることもあります。しかし、それを無視してなお支払わずにいると、次は催告書が届きます。場合によっては徴収の担当者が家を訪問することもあります。
このように滞納していると督促や催告が行われますが、実はこれだけではありません。納付期限の翌日から延滞金が加算されていくのです。たとえば東京都世田谷区の場合、納期限の翌日から3か月までは年2.6%、3か月を過ぎたら年8.9%が加算されていきます。このように、さらに負担が重くなっていくのです。ただ、保険料が2000円未満であれば、延滞金は加算されないことになっています。
●滞納1年までに起こること
国民健康保険料を滞納して、督促状や催告書が届いてもなお滞納し続けていると、滞納から1年以内に「短期被保険者証」が届きます。これは、通常の国民健康保険証とは違い、有効期間が決められた保険証です。その期間は自治体により異なりますが、概ね1ヶ月から6ヶ月です。短期被保険者証での自己負担割合は通常の保険証と同じ割合(大人は3割負担)です。
●滞納が1年以上続いたらどうなる?
短期被保険者証が交付されるようになっても、なお国民健康保険料を滞納していると、短期被保険者証を返還するようにとの通知が届きます。これを返還すると次に「被保険者資格証明書」が届きます。
被保険者資格証明書とは、国民健康保険の加入資格があることを証明するもので、保険証ではありません。この被保険者資格証明書が交付された人へのペナルティは大きく、病院へかかっても全額が自己負担になってしまうのです。ただ、後日還付手続きをすれば7割分(大人の場合)は戻ってきます。しかし、現金が戻ってくることはなく、滞納している保険料と相殺されてしまいます。
●1年半以上滞納を続けた人の末路
督促、催告、短期被保険者証への変更があったのにもかかわらず滞納を続け、あげくに全額自己負担になっても放置し続けた人はどうなるのでしょうか?
このように滞納を続けて1年半以上が経過した人に対するペナルティは、「財産の差し押さえ」です。最終催告書あるいは差押予告書といった書面が届き、差し押さえが実行されます。その際、給与や預貯金口座が優先的に差し押さえられ、場合によっては不動産に及ぶことも。滞納を続けることで、結果として大事な生活費や財産を失うことになるのです。
国民健康保険の滞納でペナルティを受けないためにできること
国民健康保険料の支払いを滞納すると、どんなペナルティがあるのかはおわかりいただけたと思います。最初に督促状が、続いて催告書、さらに短期被保険者証、被保険者資格証明書とペナルティの度合いは大きくなっていきますが、実は最悪のシナリオを避けるための方法があるのです。それは「納付相談」です。どうしても国民健康保険料を払えないときは、早めに納付相談に行きましょう。
国民健康保険には、保険料がどうしても払えない人に対して「申請減免制度」があります。災害や事故に遭った、失業した、事業が廃止になったなど、一定の要件に当てはまるときは、国民健康保険料の減免が受けられます。また、保険料が所得金額に応じて7割、5割、2割になる軽減制度もあります。なにはともあれ、国民健康保険料が支払えなくなったらそのまま放置せずに、早めに役所の納付相談へ行きましょう。
国民健康保険の切り替えを忘れずに
最後に1つ注意点をお伝えします。これまで国民健康保険だった人が就職して勤め先の健康保険に加入したときは、自分で国民健康保険を止める手続きをする必要があります。何もせず放置していると、国民健康保険を滞納していることになってしまうので注意が必要です。就職したときは、必ず役所で国民健康保険資格喪失届の手続きをしましょう。
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前佛 朋子 ファイナンシャル・プランナー(CFP®)・1級ファイナンシャル・プランニング技能士
2006年よりライターとして活動。節約関連のメルマガ執筆を担当した際、お金の使い方を整える大切さに気付き、ファイナンシャル・プランナーとなる。マネー関連記事を執筆するかたわら、不安を安心に変えるサポートを行うため、家計見直し、お金の整理、ライフプラン、遠距離介護などの相談を受けている。
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