22/03/10
定年後、年金以外にもらえる10のお金
定年後の収入の柱は年金だけ。現役のときのように収入がなく、出ていくお金が増えるとなると、どう生活していくのか不安が増します。しかし、定年後の「困った!」を助けてくれる制度があります。その制度も自分で申請しないともらえないものが多く、制度を知っているかがカギになります。
今回は、定年後、年金以外にもらえる、困ったときに役立つ給付金や支援金を紹介します。
雇用に関する給付の制度
会社員であれば、毎月給料から雇用保険料が天引きされています。定年を迎えたり、収入が減ったりした場合にもらえるお金は助かります。どんな場合にもらえるのか事前に知っておくと、計画が立てやすくなります。
●定年後、年金以外にもらえるお金1:高年齢雇用継続基本給付金
定年後も働き続けたいけれど、給料がガクンと下がると働く意欲が下がってしまいます。「高年齢雇用継続基本給付金」は、定年後も同じ会社で引き続き働く際、60歳時点の賃金とくらべて75%未満に下がった場合に60~64歳の人が受け取れます。受け取れる金額は、60歳時点の賃金を100%として何%に下がったかで変わります。定年後の賃金が61%以上75%未満のときには、定年後の賃金の15%から一定の割合で逓減された率になります。定年後の賃金が61%以下になった人は、一律で低下した賃金の15%が支給されます。
●定年後、年金以外にもらえるお金2:高年齢再就職給付金
高齢者が一度退職して失業給付を受け取り、再就職をした場合で、賃金が下がったときには、「高年齢再就職給付金」がもらえます。高年齢雇用継続基本給付金と同じように、60~64歳で再就職した先の賃金が60歳時点の賃金とくらべて75%未満に下がったことと、失業給付の支給日数が100日以上残っていることが条件になります。受け取れる金額は、60歳時点での賃金より下がった率に応じて決まりますが、最大で定年後の賃金の15%です。受け取れる期間は、失業給付の残りの日数に応じて、65歳になるまでの1年または2年間です。その間に65歳になった場合には、そこで終了します。
●定年後、年金以外にもらえるお金3:再就職手当
定年後、失業給付(失業保険)を受けている人が就職した場合に、失業保険の残りを支給する制度です。再就職後に一度にまとめて受け取ります。しかし、60~64歳で再就職した場合には、高年齢再就職給付金と再就職手当の両方を受け取ることはできず、どちらかを選びます。
さらに再就職先の賃金が離職前の賃金より低い場合には、再就職手当に加えて基本手当の支給残日数の40%を上限として、低下した賃金の6か月分を支給する「就業促進定着手当」いうものもあります。
年金に関する給付
年金と一口にいっても、その金額はひとそれぞれ。公的年金を含めた収入が少ない場合にもらえるお金があります。
●定年後、年金以外にもらえるお金4:年金生活者支援給付金
年金生活者支援金は、生活の支援を目的として、年金に上乗せして支給するものです。65歳以上の老齢基礎年金の受給者で、同一世帯全員の市町村民税が非課税であって、前年の公的年金とその他の所得が88万1200円以下の場合に支給されます。公的年金には、障害年金・遺族年金の収入は含みません。月額5030円を基準に、保険料の納付期間に応じて給付額が決まります。
●定年後、年金以外にもらえるお金5:障害年金生活者支援給付金・遺族年金生活者支援給付金
障害基礎年金や遺族基礎年金の受給者で、前年の所得が472万1000円以下の場合に受け取れる給付金です。障害年金生活者支援給付金の給付額は障害等級1級の場合月額6288円、2級の場合月額5030円です。また遺族年金生活者支援給付金の給付額は月額5030円ですが、2人以上の子が遺族基礎年金を受給している場合は、5030円÷子の人数の金額がそれぞれに支払われます。
病気やけが、介護に関する制度
老後にかかるお金として多くの人が不安に感じるのが介護にかかるお金です。介護度が高くなったり、病気にお金がかかったりした場合には、申請で軽減できる制度があります。
●定年後、年金以外にもらえるお金6:高額介護サービス費
介護保険では、自己負担が1割から3割で介護サービスを受けることができます。介護度が高くなると1か月で使える金額は増えますが、その分サービス費の負担も大きくなります。1か月のサービス費が高額になって、自己負担額が上限額を超えた場合には、いったん利用料を支払った後、超えた分のお金が戻ってきます。
高額介護サービス費の上限額は、所得によって分かれています。たとえば年金とその他の所得金額が80万円を超えて、世帯全員の住民税が非課税の場合の自己負担限度額は、月額2万4600円です。市区町村の介護保険の窓口で手続きを一度行うと、次からは自動的に口座にお金が振り込まれます。
●定年後、年金以外にもらえるお金7:高額医療・高額介護合算療養費制度
毎年8月1日~翌年7月31日の1年間の医療保険と介護保険の自己負担額の合計額が高額になる場合に、負担を軽減する制度です。申請することで負担額の一部が払い戻しされます。自己負担限度額は、世帯収入によって異なります。費用支給の対象となる場合には、保険者から書面が送られてくるので、市区町村の窓口に申請書を提出します。
●定年後、年金以外にもらえるお金8:介護休業給付金
介護休業給付金は、要介護状態の家族の介護のために、仕事を休業する場合に給料の67%が保証される制度です。介護休業は、2週間以上仕事を休む場合に取得できます。介護休業終了後に職場復帰する人が対象で、対象家族1人あたり最大で通算93日まで、最大3回までの分割で支給されます。
住まいに関する制度
●定年後、年金以外にもらえるお金9:高齢者向け住宅リフォーム助成金
自宅のリフォームが必要になったときに、お住まいの自治体がリフォーム工事費の一部を助成するものです。助成を受けるためには、工事をする前に自治体への申請が必要です。
助成の条件や内容は各自治体で異なり、介護保険の要支援・要介護の認定を受けていなくてもよい場合や、介護保険の住宅改修と同時に行える場合もあります。年度ごとに助成の総額や件数が決まっていることがあるので、情報を集めて早めに申し込みましょう。
●定年後、年金以外にもらえるお金10:介護保険住宅改修費(高齢者住宅改修費用助成制度)
高齢者の転倒は、その後におおきなケガにつながることがあります。介護保険で要支援・要介護の認定を受けると、居宅住宅改修費として上限20万円の工事に補助金がでます。限度内であれば、分割して何回かに分けて利用することもできます。
定年後の補助金・助成金はほかにもある
もらえる補助金や助成金は、このほかにも老人介護手当やおむつ支給券、悪質電話対策機器購入費補助金など自治体独自のものもあります。定年後にもらえるお金は、年金だけではありません。お住まいの自治体で受けられる補助や助成給付がHPに掲載しているので、定年後の人生設計の一環として調べてみてはいかがでしょうか。
※本記事は2022年2月24日時点の情報で作成しております。制度や金額などの変更や、お住まいの自治体による違いなどがある場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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池田 幸代 株式会社ブリエ 代表取締役 本気の家計プロ®
証券会社に勤務後、結婚。長年の土地問題を解決したいという思いから、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)を取得。不動産賃貸業経営。「お客様の夢と希望とともに」をキャッチフレーズに2016年に会社設立。福岡を中心に活動中。FP Cafe登録パートナー
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