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21/12/23

相続・税金・年金

年収300万円・500万円・700万円が支払う保険料と年金額の関係 年収が少ないほうが有利?

会社員は給与天引きで厚生年金保険料を納めていますが、納める保険料に対し、将来受け取れる年金額がどうなっているのか気になります。それに、年収が低い人のほうが手厚く年金を受け取れるという話を耳にしたことがありますが、実際のところはどうなのでしょうか?今回は、年収による年金保険料と年金額の関係と、年収の低い人が受け取る年金が手厚くなる理由を解説します。

年収による厚生年金保険料と公的年金との関係

自営業者やフリーランス、無職の人が納める国民年金保険料は、年収に関係なく、誰もが同じ額の保険料を支払っています。しかし、会社員や公務員が納める厚生年金保険料は、年収が異なると納める保険料の額も変わってきます。それに伴い、65歳から受給する公的年金の額にも違いが生じます。なぜ厚生年金保険料と年金額は収入によって額が変わるのか、その理由を解説しましょう。

●厚生年金保険料はどう決まる?

厚生年金保険料は、標準報酬月額により決まります。標準報酬月額とは、給与の総支給額が該当する報酬月額の等級ごとに設定されている額のことで、社会保険料を計算する際に用いられます。厚生年金保険料は、自分の給与が該当する標準報酬月額に一定の保険料率を掛けて計算されます。ちなみに厚生年金保険料は会社と折半することになっており、会社員は計算された保険料の2分の1を給与天引きで納めます。

●老齢厚生年金はどう決まる?

老齢厚生年金では、老齢基礎年金に該当する定額部分と、加入期間中の収入により異なる報酬比例部分を合計した額を受け取ることができます。報酬比例部分の年金額は、厚生年金に加入していたときの標準報酬月額の総額と標準賞与額の総額を合算して加入期間の月数で割った平均標準報酬額を用いて計算されます。

報酬比例部分の年金額=
平均標準報酬額×5.481/1000×平成15年4月以後の被保険者期間の月数

●厚生年金保険料と年金額にはどんな関係がある?

厚生年金保険料は、毎月の給与が該当する標準報酬月額により決まるのでしたね。また、老齢厚生年金も、厚生年金保険の加入期間中の平均標準報酬額により決まります。つまり、年収が高ければ、その分標準報酬月額も高くなるので、納める厚生年金保険料は高くなるのです。そして、年収の高い人は65歳から受け取る老齢厚生年金の額も年収の低い人に比べて多くなります。

所得代替率から見えてくる将来の年金額

年収が高ければ高いほど、厚生年金保険料は高くなり、受給する老齢厚生年金も増えていくという関係性はわかりました。ただ、日本の年金は積立方式ではなく、現役世代が納めた保険料で老齢年金を支える賦課方式なので、納めた保険料をそのまま自分の老齢厚生年金として受け取れるわけではありません。ここで気になるのは、保険料を納めた分、将来受け取れる年金額はどうなるのかという点です。

●手取り収入と年金額の関係を表す「所得代替率」

賦課方式の年金制度では、現役世代の収入が公的年金に影響を与えます。この関係性を示すものが「所得代替率」です。これは、現役世代の手取り収入に対し、65歳時点の年金額がどれくらいの割合かを示したものです。たとえば、所得代替率を 50%としましょう。この場合、現役世代の手取り収入の50%を年金として受け取ることができていることを表しています。

また、所得代替率の求め方は、以下の通りです。
所得代替率(%)=65歳時点での年金受給額÷その時点での現役世代の手取り収入×100

ではここで、年収300万円・500万円・700万円の所得代替率がどれくらいになるのか見てみましょう。なお、以下の計算ではすべて「夫は厚生年金保険に40年間加入、妻は夫に扶養されていた」とします。

●年収300万円に対する所得代替率

○65歳夫婦の年金受給額:18万7000円/月
(内訳:定額部分 6万5000円×2人=13万円・報酬比例部分 5万7千円)
○年収300万円の会社員の手取り収入:19万7000円/月
→年収300万円に対する所得代替率
18万7000円÷19万7000円×100=94.9%
この場合、年金を受け取り始めた夫婦は、年収300万円の会社員に支給される手取り給与の94.9%を年金として受け取っていることを示しています。

●年収500万円に対する所得代替率

○65歳夫婦の年金受給額:22万円/月
(内訳:定額部分 6万5000円×2人=13万円・報酬比例部分 9万円)
○年収500万円の会社員の手取り収入:32万3000円/月
→年収500万円に対する所得代替率
22万円÷32万3000円×100=68.1%
この場合、年金を受け取り始めた夫婦は、年収500万円の会社員に支給される手取り給与の68.1%を年金として受け取っていることを示しています。

●年収700万円に対する所得代替率

○65歳夫婦の年金受給額:25万9000円/月
(内訳:定額部分 6万5000円×2人=13万円・報酬比例部分 12万9000円)
○年収700万円の会社員の手取り収入:43万8000円/月
→年収700万円に対する所得代替率
25万9000円÷43万8000円×100=59.1%
この場合、年金を受け取り始めた夫婦は、年収700万円の会社員に支給される手取り給与の59.1%を年金として受け取っていることを示しています。

年収が低い人ほど公的年金が手厚くなる理由

年収300万円・年収500万円・年収700万円の所得代替率を試算したところ、年収300万円の場合が最も所得代替率が高い(94.9%)ことがわかりましたね。要するに、年収が低い人ほど社会保障が手厚いということです。

では、なぜ所得代替率は年収が高いと低くなり、年収が低いと高くなるのでしょうか?その理由は、所得の再分配というしくみがあるからです。

年収が高い人は貯蓄や運用などで資産形成をする余裕があります。しかし、年収の低い人は経済状況から老後資金を貯蓄する余裕がない場合もあるでしょう。そこで、国は所得の格差を少なくするために、年収の高い人の税金や社会保険料の負担を大きくし、反対に年収の低い人の税金や社会保険料の負担を少なくしています。そうして、年収の高い人が納めた税金や社会保険料を社会保障制度の給付に回すことで、所得を再分配するしくみを機能させているのです。
その結果、年収が低い人の所得代替率が大きくなり、公的年金が手厚くなるのです。

まとめ

年収が高い人ほど、受け取れる公的年金の金額は増えますが、手取り収入と年金額の関係を示す所得代替率は、年収が低い人ほど高くなることをご紹介しました。その意味では、年収が低い人ほど公的年金が手厚くなり、所得の再分配ができているといえます。年金は、どんな方にとっても、老後の収入の柱であることは違いありません。保険料を漏れなく支払う、繰下げ受給を行うなど、きちんと受け取れるようにしておくことが大切です。

前佛 朋子 ファイナンシャル・プランナー(CFP®)・1級ファイナンシャル・プランニング技能士

2006年よりライターとして活動。節約関連のメルマガ執筆を担当した際、お金の使い方を整える大切さに気付き、ファイナンシャル・プランナーとなる。マネー関連記事を執筆するかたわら、不安を安心に変えるサポートを行うため、家計見直し、お金の整理、ライフプラン、遠距離介護などの相談を受けている。

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