20/01/19
【書評】さあ、頭を活性化させよう~『学びを結果に変える アウトプット大全』
「読む」「聞く」だけでは忘れてしまう
令和初めてのお正月休みは、例年よりも長く取れましたね。帰省をしたり旅行をしたり、映画を見たり本を読んだり、皆さん休暇中にいろいろなことをされたことでしょう。
しかし、どんなに楽しい思い出や役に立つ情報でも、残念なことに時がたつにつれてどんどん薄れていってしまうもの。それでも、ほかの人にその体験を話したり、日記に書いたりすると、なにもしないよりも記憶に残るものです。
今年初めてご紹介する本は、樺沢紫苑著『学びを結果に変える アウトプット大全』。
なにかを学び情報を頭に「入れる」ことを「インプット」、入れた情報を頭から「出す」ことを「アウトプット」といいます。
学校で習う勉強はインプット。小学生から高校生の頃は、先生の授業を聞くだけで教科書の内容が頭に入りましたが、それは発育中のみずみずしい脳を持っていたから。一般的には20歳を超えると、一方的に教わるだけでは知識は身につかないと言われています。ハタチすぎればタダの人というわけですね。
ところが、勉強は子供の頃のようにひたすら教わるものだと思っている人は、大勢います。そしていくらテキストを読んでも思うように知識が身につかないと困っている人も、やはり多いものです。
勉強や読書の情報は脳に格納されますが、そこは2~4週間で忘却されてしまう短期的な記憶領域です。忘れたくない重要な情報は、長期的な記憶領域の方に格納しなくてはいけません。そのために有用なのがアウトプットなのです。
インプットよりも大事なアウトプット
アウトプットについて、いまひとつよくわからないという人も多いでしょう。
「読む」「聞く」がインプット、「話す」「書く」「行動する」がアウトプット。自分の中にインプットした知識は、外にアウトプットすることで脳に保存されます。
読書や勉強会などでいくら頭に知識を入れても、詰め込むばかりでそれを出さなければ、記憶として定着することはありません。この脳の仕組みを知らないと、いくら学んでも、その端からどんどん忘れていってしまいます。
長く記憶に留めておくためには、教科書を読んだり先生の話を聞くインプットよりも、問題を解いたりテストを受けるアウトプットの方が大事なのです。
一番手軽なアウトプットは「話す」ことです。読んだこと、聞いたこと、自分が学んだことを他の人に伝えたり教えたりすることで、その内容が自分の頭に残ります。それを手紙やブログに「書く」と、さらに深く記憶に残ります。
そうしてアウトプットの量を増やしていくと、脳が活性化され、能力が引き出され、より効率的な仕事をこなせるようになるのです。
内に抱え込まずにどんどん出そう
アウトプットはビジネス面で効用があるだけでなく、メンタル的にもいいそうです。
悲しさや苦しさをため込むと、よけいつらくなるもの。我慢せずに吐き出すことが、心のデトックスになります。けがをした時、ぐっとこらえているよりも「痛い」と言うだけで痛みはやわらぐといいますね。
「苦しい」「つらい」と言葉にすることは「癒し」の効果につながります。口に出せなくても、手帳やノートに気持ちを書くだけで、気が楽になるもの。
大人だからと遠慮せずに、「笑う」「泣く」といったベーシックな感情をアウトプットすることは大切です。笑うとハッピーな気持ちになれるし、涙にはストレス発散効果があるからです。
知識も感情も、あまり自分の中にため込まず、上手に外に出すのがいいということですね。取り入れて出すということには、心身の循環機能を高めるようなイメージがあります。インプットとアウトプットを繰り返して、自分自身を活性化させていきましょう。
『学びを結果に変えるアウトプット大全』
(サンクチュアリ出版)
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小野寺 理香 おのでら りか
読書ブロガー。好きなジャンルは文学、歴史、アート。ふとしたきっかけで出会い、好きになったら長くつきあう……本との巡り合いは人と同じ。時に味わう〝がっかり〟も、読書のおもしろさのひとつです。ここでは、よりすぐりのすてきな本をお届けします。
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