19/02/28
4月〜6月は働き過ぎに注意! 手取り給与が決まる「標準報酬月額」のしくみ
残業は大変ですが、残業手当がもらえるのは嬉しいですよね。けれど、残業した結果、社会保険料が増えてしまい、手取り給与が減ることがあるのをご存じでしょうか?これは、残業をすると、社会保険料の基準となる「標準報酬月額」が増えてしまうからです。社会保険料が決まるしくみを知っておき、ムダのない働き方を目指しましょう。
給与から控除される社会保険料額は「標準報酬月額」で決まる!
給与の手取り額に大きな影響を与えるのは、社会保険料です。社会保険料とは、厚生年金保険料や健康保険料のこと。これらは、毎月の給与から天引きされていますよね。給与はあまり変わらないのに、社会保険料の負担が大きくなると、当然手取り額は減ってしまいます。
では、社会保険料はどのようにして決まるのでしょうか?
社会保険料は、誰もが同じではなく、給与に保険料率をかけた金額になります。社会保険料を算出する基準となる給与が「標準報酬月額」です。
標準報酬月額は、毎月の給与額と一致するものではありません。毎年4月、5月、6月の給与の平均額をもとに算出された金額が、その年の9月から翌年8月まで使われ、1年ごとに見直しされます。
標準報酬月額や保険料はどうやって計算する?
標準報酬月額は、4月から6月までの給与を合計して3で割った平均額そのものではありません。4月から6月までの給与の平均額により等級が決定され、等級ごとに定められている金額が適用されます。
たとえば、厚生年金の場合、等級は1等級から31等級に分かれます。いちばん低い1等級の場合8万8000円、いちばん高い31等級の場合62万円が標準報酬月額です。31等級より上はないので、4月から6月の給与の平均額が100万円だったとしても、標準報酬月額は62万円になります。
参考:厚生年金保険料額表(平成29年9月分~)|日本年金機構
なお、健康保険については、厚生年金とは別の等級表(1等級から50等級)を使って標準報酬月額を算出するため、健康保険と厚生年金の等級は同じではありません。
給与の平均額から、厚生年金保険料を具体的に計算してみましょう。4月から6月の給与の平均額が25万円だったとします。保険料額表によると、給与の平均額が25万円の場合、17等級となり標準報酬月額は26万円です。
厚生年金の保険料率は18.3%なので、26万円に18.3%をかけると保険料額は4万7580円となります。保険料の2分の1は会社が負担してくれますから、給与からは2万3790円の保険料が控除されます。
4月から6月の残業は損?
標準報酬月額を計算するときには、基本給だけでなく、残業手当や通勤手当も含めます。つまり、4月から6月の間の残業がたまたま多かったら、標準報酬月額が高くなってしまい、社会保険料の負担が大きくなってしまうということです。手取りを増やしたいなら、4月から6月まではできるだけ残業しない方がよいことになります。
ただし、社会保険料を多く支払うと、老後の年金のほか、健康保険から給付される傷病手当金や出産手当金、雇用保険から給付される育児休業給付金などが増えるというメリットもあります。残業しても損するだけということはありませんので、あまり無理しすぎないようにしましょう。
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森本 由紀 ファイナンシャルプランナー(AFP)・行政書士・離婚カウンセラー
Yurako Office(行政書士ゆらこ事務所)代表。法律事務所でパラリーガルとして経験を積んだ後、2012年に独立。メイン業務の離婚カウンセリングでは、自らの離婚・シングルマザー経験を活かし、離婚してもお金に困らないマインド作りや生活設計のアドバイスに力を入れている。
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