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19/01/11

家計・ライフ

将来の日本が、どのような社会になっていることを期待する?

筆者が所属する、日本FP(ファイナンシャルプランナー)協会で、先日「くらしとお金に関する調査2018」という調査結果がでました。全国の20~70代の男女を対象にしたこの調査では、経済的な環境や要望に関する質問以外に、仕事や生活に関する事まで、幅広い内容のものでした。

今回は、現代を生きる私達が抱える、「将来へのホンネ」を、掘り下げてみたいと思います。

1位は、老後の生活に不安がない社会

全国の男女1200名の全世代(20~70代)において、「30年後の日本社会がどのような社会になっているとよいと思うか」との質問に対する回答(複数回答可)の第1位は、「老後の生活に不安が無い社会」で43.4%という半数近くの人の回答でした。

これは、日々マネー相談を受けている筆者が、実際に現場で相談者から受ける相談内容と一致します。相談者の誰もが「老後の生活の為に、今からお金の知識をつけて運用をスタートしたい」と、切実に話すのです。
やはり多くの人が、老後の生活に関する経済的不安を抱えているのだ、と確信できた結果でした。

他に同じ質問で、2位「福祉が充実した社会」(35.6%)、6位「高齢者が活躍しやすい社会」(31.3%)と、全般的に高齢化社会を危惧する要素が、含まれていることを感じました。

20代は、子育てがしやすい社会

読者の多くが属する若年層をピックアップして見てみると、先ほどの質問において、他の年代よりも格段に大きなポイントをつけて差がある回答がありました。

それは、「子育てがしやすい社会」です。全世帯の平均が29.1%であったところ、20代の回答は40.5%と、プラス10%以上の乖離(かいり)がありました。同じ「若年層」でも30代は28.5%と決して高いポイントではありません。
なぜこの年代だけが突出して高いポイントなのでしょうか。

理由として筆者が考えるのは、「ミレニアル世代・Y世代・Z世代の価値観」で、これらの世代が混在する今の20代では、少なくとも彼らより10歳以上年の離れた上の世代とは、お金・仕事・家庭に関する考えが異なります。

※ミレニアル世代とは、 1970年~1980年代に生まれた世代。思春期を迎えるころにインターネットが爆発的に普及し、成人を迎えるころにアメリカの同時多発テロに始まる、世界の不況を経験してきた。政治的・経済的に自らの意思表示を持つことを、肯定的に捉える傾向がある。

※Y世代・Z世代とは、1980年~2000年代に生まれた世代。思春期を迎えたころには既にインターネットが身近にあり、ミレニアル世代よりもデジタルネイティブである。個人主義でこれまでの概念にとらわれない価値観をもつ傾向が強い。

(参照:ミレニアル世代は貯蓄の意識が高い!「ミレニアル世代のお金に関する調査(貯金編)」
https://moneliy.jp/investment/11753?fbclid=IwAR2rknfMCUtEizUkEFqPOdU3-exdwV-ZFAMDshj-AUFWE8Ngq7yDKazGBtw)

彼(彼女)達は、人生設計において保守的で、かつ行動的です。一見矛盾しているように聞こえるかもしれませんが、例えば女性が「子供を産む」という大イベントにおいて、筆者が属する30代後半世代より、20代の彼女たちのほうが「意欲的」であると感じます。

筆者を含む、30代後半の世代が20代の頃は、就職氷河期のはじまりに社会人をスタートさせ、キャリアの形成には途方もない努力と自己犠牲が必要でした。そんな世代は「いつかは(子供が)欲しい」という声が圧倒的だったのに対して、現在20代のY世代・Z世代の彼女らの多くは、「2.3年以内に欲しい」と、具体的に計画を口にするのです。

具体的な人生設計を、早々に描く現代の20代から見れば日本の「保育所不足」や「高騰化する教育費」について、興味を持たないはずはないでしょう。

誰もが暮らしやすい社会とは

その他の回答結果を見ても、やはり目に留まったのは「高齢化社会に対する不安」でした。

働き盛りの30代40代の約40%の人が、「親の介護」に不安を感じている現状であり、多くの世代が共通して「100歳までの人生設計」や「住宅にかかるコストや環境」に不安を感じているという、調査結果でした。

数十年先の生活や社会に対して、疑心暗鬼にばかりなってしまっていては、新たなチャレンジを始める原動力を失い、「いまを楽しむ」という事が人生から失われてしまいかねません。

自分や自分達の世代さえ良ければ良い、という欲とエゴは捨て、自分にない考えを持つ次の世代の意見に耳を傾けることが出来れば、一歩ずつでも「明日」は良くなるはずです。

まとめ

現代の日本人にとって、将来に対する不安が、主に「高齢化社会に対するもの」と「次世代を担う子育ての環境に対するもの」であることが分かりました。この2つは人口問題からみると、常に隣り合わせの問題です。

これからを生きる読者世代は、仕事やお金に関する「幸福感」の持ち方を、これまでに常識とされてきた見方から、すこし変えてみたら良いかもしれません。

個々に違う価値観を持つ、次世代の子らのように、あなただけの100年の人生設計を描く準備を、始めてみてはいかがでしょうか。


佐々木 愛子
ファイナンシャルプランナー(AFP)、証券外務員Ⅱ種
国内外の保険会社で8年以上営業、証券IFAを経験後、リーマンショック後の超低金利時代、リテール営業を中心に500世帯以上と契約を結ぶ。FPとして10代のうちから金融、経済について学ぶ大切さを訴え活動中。FP Cafe登録パートナー

記事提供:moneliy

moneliy マネリー

「すべての女性を笑顔にする、マネーケア。」
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