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19/01/10

家計・ライフ

データで考える日本の「超高齢社会」。遠いようで近い2025年問題とは

「高齢化社会」
このワードはもう十分すぎるほど浸透し、わが国においては20代の若い読者世代でも、将来を危惧する要因の一つであることでしょう。

各業界において、2025年と2050年を一定の節目として発生すると考えられる、人口・医療・経済にかかわるさまざまな問題を、「2025年問題/2050年問題」として取り上げる事が多いのですが、今回はこの2025年問題を掘り下げてみたいと思います。

沖縄県の高齢化率が21%突破。これで47都道府県すべて超高齢社会に

内閣府の発表によると、2017年の全国都道府県ごとの高齢化率(65歳以上の人口÷総人口×100)が、47都道府県全てにおいて20%を超えました。これまで唯一20%を下回ってきた沖縄県の高齢化率が、ついに20%を超え、21.0%になったのです。

高齢化の進行具合を示す言葉として、7%超で「高齢化社会」、14%超で「高齢社会」、そして21%を超えると「超高齢社会」と呼びます。(公益財団法人長寿科学振興財団HPより)

この定義にはめると、日本は全国まんべんなく「超高齢社会」に突入したということです。最も高齢化率の高い秋田県で35.6%ですから、県内では3人に1人が65歳以上ということで、最も高齢化率の低い沖縄県でさえ、5人に1人は65歳ということになります。

実は日本の高齢化の進行は、世界的に見てもトップの位置にいるのです。

画像:国際統計グローバルノート世界の高齢化率より

GDP世界トップの米国は高齢化率15.41%で37位、中国は同じく10.64%で65位です。日本がこれだけの高齢社会で、よくGDP第3位として世界経済を担える立場にあるなと、むしろ感心します。

日本の高齢化は「少子化」と同時進行

先ほども述べたように超高齢社会とは、人口の21%以上が65歳以上の人であるというのが定義ですが、日本ではすでに27.7%が高齢者です。では超高齢社会の何が問題なのでしょうか。

高齢化が一貫性のものであれば、さほど大きな問題にはならないでしょう。ご存知の通り日本が抱えている問題は、「少子高齢化」といわれるように、少子化が同時進行であることがポイントです。

画像:内閣府HP平成30年度版高齢社会白書「高齢化の推移と将来推計」より

人口統計は、よほど大きな災害などが無い限り、予測を大きく外れる事はありません。日本は今後、経済を支える15歳~64歳の「労働力となる人口」が減ってゆき、年金の支給を受ける側の高齢者人口が増えてゆきます。

2025年には、全国平均で高齢化率30%超えとなり64歳未満2人で1人の高齢者を支える社会になるのです。簡単に言えば、1人の高齢者の年金支給額を、2人の労働者が毎月仕送りしている、という構造です。

さらに悩ましいのは、次世代の労働力となる14歳未満の人口も減っていく事です。

画像:内閣府HP平成30年度版高齢社会白書「出生数及死亡数の将来推移」より

2006年に年間死亡者数と出生数がおおよそイーブンであったのを境に、今後48年以上、生まれてくる子供は減少し続けるというデータです。これは、高齢化とあわせて日本の将来の人口数そのものが減っていくという確定的な事実です。

高齢化の原因は、出生数が年々下がり続けている現状が生み出しているのです。

医療費負担も増加の一途。求められる「自立」

高齢化が及ばす影響は、年金だけではありません。高齢者は比較的病院に行く事が多くなりますので、その医療費負担も年々増え続けています。

厚生労働省のデータによれば、2016年には42.1兆円の医療費がかかり、GDPに占める割合は7.8%。ここ数年は横ばいで推移しています。しかし、今後もうなぎ上りの高齢化率を鑑みると、税負担率を上げるか、更なる保険料の引き上げをしなければ、国民皆保険制度を維持するのは困難を極めるでしょう。

ただでさえ、子育てに大きな経済的負担を強いられる30代~50代の世代が、更なる課税や社会保険料の高騰に苦しむ事になれば、ますます出産を断念し出生数の減少に拍車を掛ける事になりかねません。

将来日本は、現在の手厚い医療制度や生活保護制度を、いつまで維持できるかはわからないのです。個々が、真の意味で「自立」をしなければなりません。

病院で莫大な医療費がかかる前に、多少のコストを掛けてでも健康維持を各自が行うことや、年金受給はなるべく繰り上げ、65歳を超えても給与や事業での収入を確保できるようにしておくことなど、各自の小さな働きで、医療費の増加や年金額の減少は、改善できるかもしれません。

国や制度に頼るのではなく、すでに皆さんは国の将来から、頼られていると自覚する必要がありそうです。

佐々木 愛子 ファイナンシャルプランナー(AFP)、証券外務員Ⅰ種

国内外の保険会社で8年以上営業、証券IFAを経験後、リーマンショック後の超低金利時代、リテール営業を中心に500世帯以上と契約を結ぶ。FPとして10代のうちから金融、経済について学ぶ大切さを訴え活動中。

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