19/06/26
つみたてNISA(積立NISA)の8つのデメリット・注意点をまとめて解説
投資の王道は長期・積立・分散投資。長い期間をかけて、お金を少しずつ積み立てて、いろいろな資産を購入することが、堅実な投資のコツだとされています。つみたてNISA(積立NISA)は、そんな王道の投資をしながら、得られた利益にかかる約20%の税金をゼロにできる制度です。
つみたてNISA(積立NISA)は確かにいい制度ですし、オススメなのですが、絶対に儲かる万能な制度ではありません。
今回は、つみたてNISA(積立NISA)を始めるにあたって知っておきたいデメリットや注意点をまとめておこうと思います。
つみたてNISA(積立NISA)の8つのデメリット・注意点
●つみたてNISA(積立NISA)のデメリット1:元本割れする可能性がある
つみたてNISA(積立NISA)は、金融庁の基準を満たした投資信託やETF(上場投資信託)を買う、れっきとした投資です。投資は、元本が保証されていません。お金は、増える可能性もありますが、減る可能性もあることをまず押さえておきましょう。
●つみたてNISA(積立NISA)のデメリット2:決められた商品しか買えない
つみたてNISA(積立NISA)で購入できる、金融庁の基準を満たした投資信託・ETFは、2019年6月20日現在で163本あります。いずれも手数料が安く、わかりやすい商品です。
とはいえ、これらの商品を買えば儲かる、というわけではありません。場合によっては、つみたてNISA(積立NISA)の対象外の商品のほうが大きく値上がりすることもあります。しかし、そんな場合でもつみたてNISA(積立NISA)で買うことはできません。
●つみたてNISA(積立NISA)のデメリット3:株式やREIT(不動産投資信託)は購入できない
つみたてNISA(積立NISA)では、株式やREIT(不動産投資信託)を買うことはできません。これらの利益を非課税にできる一般NISAという制度もありますが、つみたてNISA(積立NISA)と併用はできません。
●つみたてNISA(積立NISA)のデメリット4:損益通算ができない
投資ででた損失を、別の利益と差し引くことを損益通算といいます。損益通算をすると、税金を安くできる場合があります。
しかし、つみたてNISA(積立NISA)で生じた損失は損益通算できません。損失があっても税金は減らせないので注意が必要です。
●つみたてNISA(積立NISA)のデメリット5:繰越控除ができない
損益通算で損失を引ききれない場合、残った損失を3年間にわたって繰り越し、翌年以降の利益から差し引くことができます。これを繰越控除といいます。損失が大きかったときなどに、3年間にわたって税金の負担を減らせる制度なのですが、つみたてNISA(積立NISA)ではそもそも損益通算ができないので、繰越控除もできません。
●つみたてNISA(積立NISA)のデメリット6:非課税期間が終わると課税口座に移される
つみたてNISA(積立NISA)の非課税期間は20年ですから、購入してから20年以内に売れば、利益に税金はかかりません。
20年を超えて持ち続けた商品は、課税口座(特定口座)に移されます(移管)。このとき、この商品は「移管したときの価格で取得した」という扱いになることに注意が必要です。
たとえば、20万円で購入した投資信託が、非課税期間の終了時に10万円に値下がりしていたとします。このとき、移管したときに「この投資信託は10万円で取得した」という扱いになるのです。
その後、この投資信託が値上がりして元の20万円に戻ったとします。すると、値上がりした10万円は「利益」にカウントされることになります。つまり、税金がかかってしまうのです。
●つみたてNISA(積立NISA)のデメリット7:所得控除の対象ではない
節税しつつ長期投資ができる制度にはもうひとつ、iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)があります。
iDeCoでは、掛金がすべて所得控除できるため、所得税や住民税が軽減できます。しかし、つみたてNISA(積立NISA)にはそのような所得控除がありませんので、iDeCoほどは有利ではないことになります。
●つみたてNISA(積立NISA)のデメリット8:リバランスがしにくい
「どの商品をどんな割合で買うか」という、商品の組み合わせをポートフォリオといいます。運用が進むと、値動きによって値上がりする商品・値下がりする商品が出てくるため、資産の割合が変わってしまいます。そこで商品を売買して、割合を元に戻すことをリバランスといいます。
リバランスは、資産の割合が大きく変わったときにしたほうがいいといわれています。しかし、つみたてNISA(積立NISA)で投資できる金額(非課税枠)は年40万円まで。しかも、非課税枠は一度使ったら復活しません。ですから、仮に上限まで商品を購入していたら、つみたてNISA(積立NISA)内でのリバランスはできなくなってしまいます。
以上、つみたてNISA(積立NISA)のデメリット・注意点を一気に紹介してきました。とはいえ、つみたてNISA(積立NISA)には、これらのデメリットがかすむほどのメリットがあることも事実。デメリットを気にしすぎてやらないのはもったいない! 資産づくりの第一歩、ぜひスタートさせてみてください。
つみたてNISA(積立NISA)おすすめ金融機関4選
つみたてNISA(積立NISA)スタートにぴったりの金融機関をご紹介します。
● SBI証券
・ほとんどの投資信託を網羅。有力商品を選びやすい
・毎日・毎週・毎月・複数日・隔月の5つの購入タイミングを選べる
・SBIハイブリッド預金を使うと入金・出金がスムーズ
● マネックス証券
・取扱商品が100本以上。100円から購入可能
・チャットによる質問対応、パソコン出張サービスなどサポートが充実
・アプリ・パソコンツールが豊富で使いやすさに定評
● イオン銀行
・イオン内に店舗があるため、買い物ついでに立ち寄れる
・年中無休で夜21時まで営業(一部例外あり)のため、相談しやすい
・「イオン銀行Myステージ」のポイントが貯まり、普通預金金利がアップ
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頼藤 太希 マネーコンサルタント
(株)Money&You代表取締役。中央大学商学部客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に現会社を創業し現職へ。ニュースメディア「Mocha(モカ)」、YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」、書籍、講演などを通じて鮮度の高いお金の情報を日々発信している。『はじめての新NISA&iDeCo』(成美堂出版)、『定年後ずっと困らないお金の話』(大和書房)、『マンガと図解 はじめての資産運用』(宝島社)、など書籍100冊、累計170万部超。日本証券アナリスト協会検定会員。宅地建物取引士。ファイナンシャルプランナー(AFP)。日本アクチュアリー会研究会員。X(旧Twitter)→@yorifujitaiki
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