18/08/10
介護保険の改正でどう変わった? 家族のために知っておきたいこと
公的介護保険が2018年8月、3年ぶりに改正されました。
大きな改正点は、自己負担割合が今の「1割」「2割」に加えて、新しく「3割」の区分ができ、ある一定の所得のある人の自己負担割合が増加になったことです。
介護はどんなきっかけで必要になるか予測できません。ある日突然、家族に介護が必要な状態に自分が置かれるかもしれません。「介護なんてまだまだ先の話」とは思わずに、身近な問題として考えておきましょう。
今回の介護保険改正点のなかで、自己負担割合の新区分3割負担について解説します。
介護保険改正のポイント
今回の改正の中でも、利用者に大きく関係するのは、自己負担割合3割が新設されたことです。介護保険創設当初は全員が1割負担でしたが、2015年に一定額の所得がある人の2割負担ができ、その中から新しく今年から3割負担となる人が出ることになるのです。
画像:厚生労働省資料をもとに筆者作成
しかし、際限なく負担が増えるわけではありません。例えば、ひと月の介護費用が20万円かかる場合、2割負担なら4万円です。それが3割負担となったことで6万円になるかというと、そうではありません。
「高額介護サービス費」という制度があり、1カ月にかかった介護費用に対する自己負担額の上限が、所得によって段階的に決められていて、昨年からの最高自己負担上限額は、世帯で4万4400円となっています。
実際の自己負担額と、自己負担上限額との差額が、高額介護サービス費として戻ってきます。ただし、あくまでも申請が必要なので、忘れないように申請してください。
困った時の「地域包括支援センター」
「地域包括支援センター」は、高齢者の介護についての相談をワンストップで受けられるよう、すべての市町村で設置されていて、全国で4,000カ所以上あります。つまり、必ず近くに高齢者の介護に関する、すべての相談にのってくれるところがある。それが地域包括支援センターなのです。
保健師・社会福祉士・主任介護専門員(主任ケアマネージャー)など、介護の知識と経験が豊富なスタッフが、病院などとも連携を取って、それぞれのケースに応じて柔軟に対応してくれるところです。困ったときは、まず地域包括支援センターで相談しましょう。
画像:厚生労働省HPより
管轄の地域包括支援センターを知るには、インターネットで、「〇〇市(介護と必要とする人の住所地)地域包括支援センター」と検索すると一覧が出てきます。悩んでいること、わからないことは、迷わず早めに相談してください。
情報は家族でシェア
介護保険は2000年から開始された制度です。家族に介護が必要となった場合、家族だけで支えるには限界がある、社会全体で支えようという趣旨のもとできた制度です。
制度は知っていないと活用できません。実際に介護している人は、介護するだけで気持ちも体も精一杯になりがちです。介護している人の身近にいる家族が制度を知って、改正にも興味を持ち、冷静に情報を伝えてあげることが必要なのです。
まとめ
2018年8月の改正点の中で、「3割」負担の新設を重点的に、介護保険についてお話ししました。3割負担といっても自己負担には上限がある、しかし実際に負担した金額と、定められた上限金額の差額は申請しないと戻ってこないことはぜひ覚えておいてください。
この機会に、ぜひ家族と介護について話してみてはいかがでしょうか。
小野 みゆき
中高年女性のお金のホームドクター
社会保険労務士・CFP・1級DCプランナー・年金マスター
企業で労務、健康・厚生年金保険手続き業務を経験した後、司法書士事務所で不動産・法人・相続登記業務を経験。生命保険・損害保険の代理店と保険会社勤務を経て2014年にレディゴ社会保険労務士・FP事務所を開業。セミナー講師、執筆、家計・年金・労務相談などを中心に活躍中。FP Cafe登録パートナー
記事提供:moneliy
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moneliy マネリー
「すべての女性を笑顔にする、マネーケア。」
マネーケアで生活に彩りを与え、女性が笑顔でいられる社会を目指すための情報を発信します。
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